484 トップアスリート
トップアスリート
小松成美
扶桑社
2008年7月30日
JALの機内誌に掲載されていた「アスリートインタビュー」をまとめた、ノンフィクション作家・小松成美による35人のラインナップ。中ページに各アスリートのモノクロの写真つき。
松坂大輔(野球)/吉田沙保里(レスリング)/為末大(400mハードル)/中嶋一貴(レーサー)/清水宏保(スピードスケート)/菅山かおる(バレーボール)/朝青龍(相撲)/柳沢敦(サッカー)/野口みずき(マラソン)/井口資仁(野球)/冨田洋之(体操)/別府史之(自転車ロードレース)/北島康介(水泳)/田臥勇太(バスケットボール)/村主章枝(フィギュアスケート)/井上康生(柔道)/本橋麻里(カーリング)/室伏広治(ハンマー投げ)/五郎丸歩(ラグビー)/小笠原道大(野球)/石川佳純(卓球)/末續慎吾(陸上短距離)/鈴木絵美子(シンクロナイズドスイミング)/柴田亜衣(水泳)/山本隆弘(バレーボール)/田山寛豪(トライアスロン)/上野由岐子(ソフトボール)/梅崎司(サッカー)/土佐礼子(マラソン)/伊調千春・伊調馨(レスリング)/田中将大(野球)/福士加代子(陸上)/宮本慎也(野球)/鈴木徹(走り高跳び)
トップアスリートは強者である。鍛え上げられた肉体は、まるで彼らをサイボーグのように見せている。ところが、彼らは人知れず声を上げて泣いていた。ときには自分の可能性に絶望し、地面に伏して立ち上がれないこともあった。英雄たるアスリートたちは、実は、誰もが小さなひとりの人間であり、この時代を懸命に生きる若者だったのだ。
彼らは弱い—。
彼らの弱き姿、儚き心にこそ真実がある。
剥き出しの魂をさらけ出してくれた彼らの言葉は、必ずや私たちの人生の光となる。なぜそう思うことができるのかと言えば、私こそ、彼らに生きる勇気を与えられているからだ。(まえがきより一部抜粋)
よく、「夢をあきらめないで」という言葉を聞きます。そんなことは実際にトップになったから言えるセリフだろう・・・と、ひねくれものの私は思ってしまっていました。が、そのような邪念は本書を読んで一掃されました。ある時は国を背負い、どれほどの恐怖と対峙しているのか・・・アスリートたちの言葉の重さに、いちいち涙が出そうになりました。北京での北島選手の「なんも言えねぇ」や陸上男子リレーの「陸上をやってきたすべての人に感謝しなければ」もリアルに蘇ってきます。「強い、けれど弱い」と指摘する著者の視点、ひとりの人間としての苦悩が浮き彫りにされ、文字通り勇気と感動を与えてくれる一冊。
今月のブログキーワード検索でダントツトップの体操の冨田選手も本書に登場していますが、アテネでの最終演技者として臨んだ鉄棒の、想像を絶する重圧を「はじめて」知りました。そして今回の北京での個人総合で、予期せぬアクシデントに見回れ、それでも4位だった冨田選手の演技終了後のインタビューを、再び思い出しました。
(吊り輪でのハプニング。しかしその後の演技をほぼ完璧にやり通したことに対して)
「我慢強くなったと思います」
加えて
「幸せなオリンピックでした」
短い中に凝縮された、トップアスリートの名言に言葉をなくします。
小松成美
扶桑社
2008年7月30日
JALの機内誌に掲載されていた「アスリートインタビュー」をまとめた、ノンフィクション作家・小松成美による35人のラインナップ。中ページに各アスリートのモノクロの写真つき。
松坂大輔(野球)/吉田沙保里(レスリング)/為末大(400mハードル)/中嶋一貴(レーサー)/清水宏保(スピードスケート)/菅山かおる(バレーボール)/朝青龍(相撲)/柳沢敦(サッカー)/野口みずき(マラソン)/井口資仁(野球)/冨田洋之(体操)/別府史之(自転車ロードレース)/北島康介(水泳)/田臥勇太(バスケットボール)/村主章枝(フィギュアスケート)/井上康生(柔道)/本橋麻里(カーリング)/室伏広治(ハンマー投げ)/五郎丸歩(ラグビー)/小笠原道大(野球)/石川佳純(卓球)/末續慎吾(陸上短距離)/鈴木絵美子(シンクロナイズドスイミング)/柴田亜衣(水泳)/山本隆弘(バレーボール)/田山寛豪(トライアスロン)/上野由岐子(ソフトボール)/梅崎司(サッカー)/土佐礼子(マラソン)/伊調千春・伊調馨(レスリング)/田中将大(野球)/福士加代子(陸上)/宮本慎也(野球)/鈴木徹(走り高跳び)
トップアスリートは強者である。鍛え上げられた肉体は、まるで彼らをサイボーグのように見せている。ところが、彼らは人知れず声を上げて泣いていた。ときには自分の可能性に絶望し、地面に伏して立ち上がれないこともあった。英雄たるアスリートたちは、実は、誰もが小さなひとりの人間であり、この時代を懸命に生きる若者だったのだ。
彼らは弱い—。
彼らの弱き姿、儚き心にこそ真実がある。
剥き出しの魂をさらけ出してくれた彼らの言葉は、必ずや私たちの人生の光となる。なぜそう思うことができるのかと言えば、私こそ、彼らに生きる勇気を与えられているからだ。(まえがきより一部抜粋)
よく、「夢をあきらめないで」という言葉を聞きます。そんなことは実際にトップになったから言えるセリフだろう・・・と、ひねくれものの私は思ってしまっていました。が、そのような邪念は本書を読んで一掃されました。ある時は国を背負い、どれほどの恐怖と対峙しているのか・・・アスリートたちの言葉の重さに、いちいち涙が出そうになりました。北京での北島選手の「なんも言えねぇ」や陸上男子リレーの「陸上をやってきたすべての人に感謝しなければ」もリアルに蘇ってきます。「強い、けれど弱い」と指摘する著者の視点、ひとりの人間としての苦悩が浮き彫りにされ、文字通り勇気と感動を与えてくれる一冊。
今月のブログキーワード検索でダントツトップの体操の冨田選手も本書に登場していますが、アテネでの最終演技者として臨んだ鉄棒の、想像を絶する重圧を「はじめて」知りました。そして今回の北京での個人総合で、予期せぬアクシデントに見回れ、それでも4位だった冨田選手の演技終了後のインタビューを、再び思い出しました。
(吊り輪でのハプニング。しかしその後の演技をほぼ完璧にやり通したことに対して)
「我慢強くなったと思います」
加えて
「幸せなオリンピックでした」
短い中に凝縮された、トップアスリートの名言に言葉をなくします。
by tsukinoha
| 2008-09-23 06:21
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