431 星野富弘・相田みつを展
相田みつを美術館(有楽町・国際フォーラム)で開催中の「星野富弘・相田みつを展」に行ってきました。
以前から星野富弘さんの絵に惹かれ画集を持っている母が、正月休みの時に教えてくれたのです。「自分は行けないけれど」(遠出するのがしんどくなってきて)という様子の母に、なんとなく「自分が行かなくちゃ・・」という思いで出かけたのですが、なんとなく・・ではない、招かれた必然のような、深く静かな衝撃が待ち構えていたのです。足を踏み入れた瞬間、感動を越えた何ものかに触れあった、そんな思いに突き動かされました。
花の詩画を描く星野富弘さん。ご存じの方も多いと思いますが、事故が元で手足を動かす事ができません。口に筆をくわえて描きます。
学生時代、器械体操を得意とした星野富弘さんは、大学卒業後、中学校の体育の教師となりましたが、着任わずか2ヵ月の時クラブ活動の指導中に頚髄損傷という大怪我をして、首から下が完全に麻痺してしまうという運命に見舞われました。苦しく辛い入院生活は・・ほんとうに想像を絶しますが、入院して2年を過ぎたある日、身体を横向けにしていると(床ずれをふぜぐために日に何度かこの姿勢をとっていた)、「そのままの姿勢で口に筆をくわえて字を書いたらどうでしょう」と、なにげなく看護学生から言われたのがきっかけで、書くことをはじめます。最初はほんとうにゆっくりと。そしていただいた手紙の返事の余白に(字はあまりたくさんは書けませんでした)病室の枕元にある花を描くようになりました。
長い入院生活では嫉妬で友人の回復を素直に喜べない自分、つきっきりで看病にあたってくれた母親を罵倒したり、苦しみは続きました。そんなとき、一人のクリスチャンから借りた三浦綾子さんの本で心を激しく揺さぶられます。三浦さんも闘病生活をおくられていた方でした。以前に送られた聖書をそっと出して(それまで神様にすがるような自分の弱さをさらけだすのがいやだった)そして生かされていることの重さに気づかされたといいます。
病室にあるお見舞いでもらった花が小さな自然だったそうです。「絵を描こうと思うことはやめて、美しいものをあるがままに、みえるがままに写しとろうと思った」9年に及ぶ入院生活の中で、最初は病院の隅で、母子の小さな展覧会だったのをきっかけに、地元での展覧会へとつながり、そしてやがて大きな輪へと広がっていきました。
悲しみの意味(左)
展覧会は3月2日(日)までです。
by tsukinoha
| 2008-02-12 05:50
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