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たまゆらデザイン日記

274 胎児の生命記憶

前の記事を書いている時に、この本の、とある記事を思い出しました。
もうとっくに絶版になっていると思われ、人目に触れる機会もそうないだろうということで、ちょこっと記録しておきたいと思います。
ブックデザインは杉浦康平氏。

274 胎児の生命記憶_d0009581_7202670.jpg
DOLMEN(ドルメン)第2号〈人類学・民俗・民族学・考古学〉
特集 胎児の生命記憶---ネオテニー
1990年 ビジュアルフォークロア

三木成夫(1925-1987 解剖学者、発生学者)氏の講演記事、
胎児の世界と〈いのちの波〉より。
小見出し(●印)ごとに掲載されている資料の解説等を抜粋をします。(かなり簡素に・・)

●魚時代の卵生の名残り
大きさ2ミリ。稚魚のようなかたち。受胎後23日。
●魚類から両生類の面影へ
32日で約7ミリだったのが38日で15ミリ。首の付け根のエラ孔がしだいに消えて、耳たぶが出来てくる。もう半月以上生理が遅れてどうしたのかな?という頃。
●デボン紀の上陸劇の再現
36日。爬虫類の面影がある。魚の心臓だったものが、隔壁ができて右と左に分かれる。3億年前の古生代の終わりの上陸ドラマ。32〜38日、そこでは1億年を越す幻の上陸劇が1週間で経過している。この頃、ドラマチックにつわりが起こる。
●ニワトリ胎児の上陸ドラマ
エラがとれて肺ができる時期、ニワトリでは卵を温めて4日目にあたる。
●サンショウウオの上陸の瞬間
人間は子宮の中で、ニワトリは卵の中で、つまり胎児の状態で行われる“上陸”は、サンショウウオだけは実際に生活をしながら上陸をする。生きた化石。
●原始哺乳類としての出発の時
エラの血管が肺の血管に変わり、さあこれから人間になろうという原始哺乳類、原始霊長類として出発する記念すべき時。40〜45日くらい大きさ2cm。60〜90日で10cm近くに成長する。120日目でやっと人間らしい顔貌になる。法的に人間として認められている時期。
●30数億年の生命進化の圧縮と「胎児の世界」

最後にこのように締めくくられています。

こうして、胎児の世界は、ようやく終わりをつげてきます。それは気の遠くなるような、永い時の流れのおそろしい程の圧縮でした。どんな生きものも「いのちの波」の連なりの中で、毎回、毎回、受精卵の発生にあたって、この生命進化のドラマをかならず走馬灯のごとく再現させていくのです。私たち一人一人もみな、このように発生してきました。母親の胎内で十月十日、遠い祖先の悠久の歩みを文字通り“からだを張って”なぞり、復習しつづけてきたのです。それは私たち一人一人の“生命記憶”となって文字通り骨の随までしみ込んでいる……。ものすごい自然の摂理というものでしょう。



by tsukinoha | 2006-10-22 07:28 |

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