238 花鳥 愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉第4期
宮内庁三の丸尚蔵館での展覧会。早いもので、もう4期に入りました。
上野のプライスコレクションとのかけもちはさすがにこたえるので、日を改めて出かけました。しかしながら、同日かけもちされている方がちらほら。それとなく聞こえてくる会話や、カタログ持っているのですぐわかります。
動植綵絵の今回の展示の導入に同じく若冲作「旭日鳳凰図」が待ち構えておりました。
これは・・・見て度胆を抜かれる一枚です!!!あでやかでなまめかしい2対の極彩色の鳳凰。でも決して下品でない。そんな絵を・・・想像してみてください!!
展示解説にの中に
若冲は元なる図像を自分なりに消化し変容させる感性にすぐれていた。
とありました。鳳凰・・・この想像上の瑞鳥は、江戸時代以前の調度品などで随所に見ることができますが、これらは奈良時代までに入ってきた大陸文化(中国)の流れの一貫です。羽にはクジャクのような五色の紋があり、声は五音にかない気高いとされるそうです。
画像の方は動植綵絵の「老松白鳳図」。
梧桐(ごどう)に住み、竹の実を食べ、醴泉(れいせん)の水を飲むとされた・・・という鳳凰。描かれたものには必ずといって言いほど、桐がセットになっています。といってもこの絵、松の方が堂々としていますね。それになんと言ってもハート型の羽文様に釘付け。ちなみに「旭日鳳凰図」では、桐ではなく、あしらわれているのは、竹。
今回の動植綵絵の6点は以下の通り。
老松白鳳図
向日葵雄鶏図
大鶏雌雄図
野鶏図
池辺群虫図
貝甲図
なんだなんだ〜これは〜〜〜!と思うのが、「池辺群虫図」。
かわいいじゃありませんか。カエルさんが。とおもいきや(この画像ではわかりずらいのですが)おたまじゃくしがうじゃうじゃいます。
さながら昆虫図鑑と言うか、水辺のいきもの博覧会。思いついちゃったんでしょうかね。こんな構図・・・。
カブトムシ、カタツムリ、カマキリ、バッタ、アリ、などなど、63種にもおよぶ生物が描かれています。
そして極めつけは「貝甲図」。その数146種!
自分なりに消化し変容させる感性にすぐれていた。
確かにそうでしょう。書籍「目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』」の解説によると、「奄美や沖縄でしか採集できない熱帯産のものも含まれる」のだそうです。
実際にありえない光景を描くというそのこころは・・・?
若冲流博物誌は、博物学が盛んになってきたこの時代を反映しつつも、流派を踏襲しない独自の方法を実験したとも言えるかもしれません。“写実”を越えた“写実”とでも言ったらいいでしょうか。単なる旦那の道楽(京の青物問屋のボンボンだった)を遥かに越えているように感じます。
さて、今期のその他の展示ですが、前回の中国絵画の流れとはうって変わって、ほぼ同時期の江戸時代の流れ。
「東都時名画帖」(1804〜18)に、博物誌では若冲の「貝甲図」に合わせてか「奇貝図譜」(1775)というのがありました。そして見どころのひとつが、江戸琳派として名高い酒井抱一(1761〜1828)の「十二ヶ月四季花鳥図」。プライスコレクションの展示(「十二ヶ月花鳥図」)に合わせたのでしょうか。
余談ですが手元に平成15年に日本郵政公社設立記念に発売された酒井抱一画「四季花鳥図」(東京国立博物館蔵)の記念切手があります。切手なので画像アップできませんが、トリミングされた10カットの花鳥の80円切手シート。コレクターでなくとも、さすがにこれは使用できず(笑)。
上野のプライスコレクションとのかけもちはさすがにこたえるので、日を改めて出かけました。しかしながら、同日かけもちされている方がちらほら。それとなく聞こえてくる会話や、カタログ持っているのですぐわかります。
動植綵絵の今回の展示の導入に同じく若冲作「旭日鳳凰図」が待ち構えておりました。
これは・・・見て度胆を抜かれる一枚です!!!あでやかでなまめかしい2対の極彩色の鳳凰。でも決して下品でない。そんな絵を・・・想像してみてください!!
展示解説にの中に
若冲は元なる図像を自分なりに消化し変容させる感性にすぐれていた。
とありました。鳳凰・・・この想像上の瑞鳥は、江戸時代以前の調度品などで随所に見ることができますが、これらは奈良時代までに入ってきた大陸文化(中国)の流れの一貫です。羽にはクジャクのような五色の紋があり、声は五音にかない気高いとされるそうです。
画像の方は動植綵絵の「老松白鳳図」。
梧桐(ごどう)に住み、竹の実を食べ、醴泉(れいせん)の水を飲むとされた・・・という鳳凰。描かれたものには必ずといって言いほど、桐がセットになっています。といってもこの絵、松の方が堂々としていますね。それになんと言ってもハート型の羽文様に釘付け。ちなみに「旭日鳳凰図」では、桐ではなく、あしらわれているのは、竹。
今回の動植綵絵の6点は以下の通り。
老松白鳳図
向日葵雄鶏図
大鶏雌雄図
野鶏図
池辺群虫図
貝甲図
なんだなんだ〜これは〜〜〜!と思うのが、「池辺群虫図」。
かわいいじゃありませんか。カエルさんが。とおもいきや(この画像ではわかりずらいのですが)おたまじゃくしがうじゃうじゃいます。
さながら昆虫図鑑と言うか、水辺のいきもの博覧会。思いついちゃったんでしょうかね。こんな構図・・・。
カブトムシ、カタツムリ、カマキリ、バッタ、アリ、などなど、63種にもおよぶ生物が描かれています。
そして極めつけは「貝甲図」。その数146種!
自分なりに消化し変容させる感性にすぐれていた。
確かにそうでしょう。書籍「目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』」の解説によると、「奄美や沖縄でしか採集できない熱帯産のものも含まれる」のだそうです。
実際にありえない光景を描くというそのこころは・・・?
若冲流博物誌は、博物学が盛んになってきたこの時代を反映しつつも、流派を踏襲しない独自の方法を実験したとも言えるかもしれません。“写実”を越えた“写実”とでも言ったらいいでしょうか。単なる旦那の道楽(京の青物問屋のボンボンだった)を遥かに越えているように感じます。
さて、今期のその他の展示ですが、前回の中国絵画の流れとはうって変わって、ほぼ同時期の江戸時代の流れ。
「東都時名画帖」(1804〜18)に、博物誌では若冲の「貝甲図」に合わせてか「奇貝図譜」(1775)というのがありました。そして見どころのひとつが、江戸琳派として名高い酒井抱一(1761〜1828)の「十二ヶ月四季花鳥図」。プライスコレクションの展示(「十二ヶ月花鳥図」)に合わせたのでしょうか。
余談ですが手元に平成15年に日本郵政公社設立記念に発売された酒井抱一画「四季花鳥図」(東京国立博物館蔵)の記念切手があります。切手なので画像アップできませんが、トリミングされた10カットの花鳥の80円切手シート。コレクターでなくとも、さすがにこれは使用できず(笑)。
by tsukinoha
| 2006-07-21 21:28
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