125 あまのしげる
あまのしげる
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
(2004年3月31日)
1 かくれんぼ鬼は誰
2 電信柱 帰り道
3 淋しがり屋かごろつきか
4 もう一度 逢えたら
5 恋は終わりのない追いかけっこ
6 歌は世につれ
7 野良猫夜話
8 黄昏に語りて
9 追想の詩
10 コンサートが始まる (ボーナストラック)
11 チグハグな夜 (ボーナストラック)
12 優しさがわかりかけて (ボーナストラック)
13 スターダストテレフォンライン (ボーナストラック)
高校時代もそうだったように、中学時代は部活を中心に日常が回っていたように思う。
部のボスでもあった友人のひとりは、CHAR(チャー)の大ファンで、私がNSPが好きだと知ると「CHARは天野さんにすっごいお世話になって〜」などと、ことあるごとにまるで自分の身内のことのように話すのだった。
ファンは当然のことながら知る人ぞ知る、CHARはデビュー前に、NSPのコンサートツアーのバックを務めていたのだ。デビュー曲『ネイビー・ブルー』の詞は天野滋によるもの。デビューアルバムにもいくつか詞を提供している。今年の7月1日に天野さんが逝かれた直後のCHARのライブでは、ステージ終了後にNSPの曲が流れていた…CHAR流の追悼の思い。業界関係者を集めて開かれた9月の「天野滋を送る会」で、CHARは、今年3月12日(事実上最後のコンサートになってしまった)以来誰も触っていなかった天野さんのギブソン・ハミングバードを鳴らし、自身のデビューアルバムに収録されている『空模様のかげんが悪くなる前に』を歌ったということをNSPのメンバー平賀氏のメッセージで知った。
*
この4月に、新作『Radio Days』『水のせいだったんです』とともに、昨年再版された1976年発表の『あまのしげる』を入手したのだが、実は新作よりもこちらばかりを聴いていた。なんというか、懐かしさもさることながら、耳にすっごく新鮮だった。CHARをはじめ、高中正義、芳野藤丸、後藤次利、佐藤準…参加ミュージシャンとアレンジの影響と効果が大きいのだろうか。70年代を彷佛させるロックのリズムに、か細いビブラートのボーカル。「チョコレートの後のみかんがすっぱい」なんて、朴訥(失礼)とも言えそうな歌詞に、独特の天野ワールドは広がる。
後の名曲『歌は世につれ』は、レコーディングの寸前に出来上がった最後の曲だという。今ひとつ気にいらなかったらしく、NSPのアルバム『八月の空へ翔べ』でアレンジを変えて歌い直している。それでも不満が残るようなことを当時のエッセイでつぶやいていたものの、ステージのラストで良く歌われた曲だ。NSPの3月12日のステージのラストも『歌は世につれ』だった。
*
実家に置きっぱなしのLPがある、しかも家ではレコードを聴けるという環境にも関わらず、わざわざこのCDを入手した理由はボーナストラックがあるからだった。後にNSPのアルバム『瞬(まばたき)』に収録された『スターダストテレフォンライン』以外の3曲はアルバム未発表曲。
「音質は決して良いものではないが、おまけがついていた方が良いのではないか」
1976年のソロアルバム『あまのしげる』から6年経っての初めてのソロコンサートの模様。CDで『あまのしげる』に続けて聴くと、6年の歳月の距離を感じる。田舎の匂いを振り切った天野滋の、大人のラブソングが聞こえる。
そしてこの収録された1982年草月会館でのコンサートの客席に10代だった私がいた。
「君の中に住む少女と女にとまどう」
語りかけるような歌詞。
天野さんの詞の住人たちの気持ちが理解できるような歳を過ぎていたんだな。そんなことを感じていた折、ふいに天野さんは旅立ってしまった。
「過去の作品を聴くのは少しの懐かしさを除くとあまり気持ちのいいものではない。欠点が目立つのだ」
ソロアルバムを再リリースすることへの思いが語られているコメントは、こう結ばれている。
「後はこのアルバムを手にした君が、どう感じ受け止めてくれるか、それだけだ」
記された日付は、2004年1月29日。病の宣告を受けた時期ではないかと憶測する。
合掌。
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
(2004年3月31日)
1 かくれんぼ鬼は誰
2 電信柱 帰り道
3 淋しがり屋かごろつきか
4 もう一度 逢えたら
5 恋は終わりのない追いかけっこ
6 歌は世につれ
7 野良猫夜話
8 黄昏に語りて
9 追想の詩
10 コンサートが始まる (ボーナストラック)
11 チグハグな夜 (ボーナストラック)
12 優しさがわかりかけて (ボーナストラック)
13 スターダストテレフォンライン (ボーナストラック)
高校時代もそうだったように、中学時代は部活を中心に日常が回っていたように思う。
部のボスでもあった友人のひとりは、CHAR(チャー)の大ファンで、私がNSPが好きだと知ると「CHARは天野さんにすっごいお世話になって〜」などと、ことあるごとにまるで自分の身内のことのように話すのだった。
ファンは当然のことながら知る人ぞ知る、CHARはデビュー前に、NSPのコンサートツアーのバックを務めていたのだ。デビュー曲『ネイビー・ブルー』の詞は天野滋によるもの。デビューアルバムにもいくつか詞を提供している。今年の7月1日に天野さんが逝かれた直後のCHARのライブでは、ステージ終了後にNSPの曲が流れていた…CHAR流の追悼の思い。業界関係者を集めて開かれた9月の「天野滋を送る会」で、CHARは、今年3月12日(事実上最後のコンサートになってしまった)以来誰も触っていなかった天野さんのギブソン・ハミングバードを鳴らし、自身のデビューアルバムに収録されている『空模様のかげんが悪くなる前に』を歌ったということをNSPのメンバー平賀氏のメッセージで知った。
*
この4月に、新作『Radio Days』『水のせいだったんです』とともに、昨年再版された1976年発表の『あまのしげる』を入手したのだが、実は新作よりもこちらばかりを聴いていた。なんというか、懐かしさもさることながら、耳にすっごく新鮮だった。CHARをはじめ、高中正義、芳野藤丸、後藤次利、佐藤準…参加ミュージシャンとアレンジの影響と効果が大きいのだろうか。70年代を彷佛させるロックのリズムに、か細いビブラートのボーカル。「チョコレートの後のみかんがすっぱい」なんて、朴訥(失礼)とも言えそうな歌詞に、独特の天野ワールドは広がる。
後の名曲『歌は世につれ』は、レコーディングの寸前に出来上がった最後の曲だという。今ひとつ気にいらなかったらしく、NSPのアルバム『八月の空へ翔べ』でアレンジを変えて歌い直している。それでも不満が残るようなことを当時のエッセイでつぶやいていたものの、ステージのラストで良く歌われた曲だ。NSPの3月12日のステージのラストも『歌は世につれ』だった。
*
実家に置きっぱなしのLPがある、しかも家ではレコードを聴けるという環境にも関わらず、わざわざこのCDを入手した理由はボーナストラックがあるからだった。後にNSPのアルバム『瞬(まばたき)』に収録された『スターダストテレフォンライン』以外の3曲はアルバム未発表曲。
「音質は決して良いものではないが、おまけがついていた方が良いのではないか」
1976年のソロアルバム『あまのしげる』から6年経っての初めてのソロコンサートの模様。CDで『あまのしげる』に続けて聴くと、6年の歳月の距離を感じる。田舎の匂いを振り切った天野滋の、大人のラブソングが聞こえる。
そしてこの収録された1982年草月会館でのコンサートの客席に10代だった私がいた。
「君の中に住む少女と女にとまどう」
語りかけるような歌詞。
天野さんの詞の住人たちの気持ちが理解できるような歳を過ぎていたんだな。そんなことを感じていた折、ふいに天野さんは旅立ってしまった。
「過去の作品を聴くのは少しの懐かしさを除くとあまり気持ちのいいものではない。欠点が目立つのだ」
ソロアルバムを再リリースすることへの思いが語られているコメントは、こう結ばれている。
「後はこのアルバムを手にした君が、どう感じ受け止めてくれるか、それだけだ」
記された日付は、2004年1月29日。病の宣告を受けた時期ではないかと憶測する。
合掌。
by tsukinoha
| 2005-11-19 14:56
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