たまゆらデザイン日記

004 20年前の新人

新入社員の入社式や研修などの報告が続々と入って、4月というのを実感していますが、身近なビッグニュースといえば、連携組織を含めた大改革のなかで、関連企業に30代前半の若き社長が誕生したことでしょうか。新社長とそれを支えるベテラン役員の様子の熱気までもが、通信の発達のお陰でリアルタイムで感じることができます。
この臨場感、製作事務所にいるころには、当然想像つかなかったものであります。一般社会の有り様の一端を見せてもらっているようで、過去に「デザインはパブリックなものだ」と豪語していた自分が、若かったなぁと、恥ずかしくもなります。

私の新人時代はというと、改まった式もなく、即実践でした。
おつかいごとはもちろん、1日中暗室にこもって、先輩たちから頼まれた紙焼きをもくもくとやり、写植指定をおぼえ、見よう見まねで版下を作り、頭を混乱させながら色指定をし…。
技術というものの一切は、すべて真似をして覚えるもので、先輩の横で技術は盗むものでした。

この20年で現場のあり方は大きく変化していきました。
今やPCさえ持っていれば誰でもデザイナーになることができるのです。しかし、モノを作る上で大事なのは、PCの操作が出来ることだけではありません。キーボードやマウスは、ひと昔前の三角定規やピンセット、カッターなのです。道具を使いこなすことは必要ですが、デザインを考えるのは人間自身です。
ああそれなのに、今の私はいわば社内フリーランス状態で…つまり、デザイナーは私一人で…伝えるべき後輩が側にいないことに、一抹の寂しさと、危機感さえを感じてしまうのです。
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# by tsukinoha | 2005-04-04 22:46 | 随想

003 東京タワー

といっても、話題の20歳差の男女(女性が年上)の恋愛映画(と小説)ではなくて、ほんものの東京タワーのこと。

久し振りの東京タワーが30年振りくらいだということに気がつきました。
展望台、鑞人形館にトリックアートギャラリー。至る所に漂ったキッチュで懐かしい香りは、子供時代の思い出をそのまま引き連れてくるようで、少しだけセンチメンタルな気分になります。

「もうしばらくは、(東京タワーに来なくて)いい。次は30年後くらいに…。」

2011年の地上デジタル放送に向けて、新東京タワー(有力候補地に墨田区)が現在の330mの倍の高さで計画されていますが、昭和33年に開業された東京タワーは、1960年代にかけての高度経済成長時代を象徴する過去の遺物となってしまうのでしょうか。

ところで『東京タワー』のように、自分より20歳下の男性と恋に落ちるなど、想像を絶するのですが、これが珠玉のラブストーリーと謳われています。

   恋はするものじゃなくて、落ちるものだ

「する」というのが行動であるのに対して、「落ちる」というのは五感、特に視覚的であるように思います。ついでに言うと、webなどはまさに視覚からの情報であり、それだけで十分に「落とされる」ことも考えられますね?

で、『東京タワー』を観るには至らず…キャッチコピーで、もう十分おなかいっぱいです。
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# by tsukinoha | 2005-04-03 06:15 | 観光

002 グラフィックデザインのこと

昨日、3月はじめに手がけた仕事が手許に届きました。
主に語学学校などで使われる、中国語のテキストの表紙デザインが2册。
1册はシンプルにとの注文でしたが、この「シンプルに」というのは意外に難しい。
もう1册は、メインは日本語タイトルで、中国語(フォントがないので、作字します)と、ローマ字の発音読みのものを組み合わせて、さらに本文で使用のイラストを入れて…楽しい雰囲気にしてください。というオーダー。
「シンプル」も「楽しく」も非常にどちらも感覚的なものに変りはないのですが、そんな感覚をヴュジュアルで提案していくという何とも感覚的な仕事であります。付け加えると、当然私は中国語ができません…。

中国語で思い出すのは、十数年前に事務所にアルバイトに来ていた中国人のことです。
彼は上海から語学の勉強に来ていた画家でした。覚えたてのカタコトの日本語でコミュニケーションをとるのに四苦八苦していた時に、私たちがとった意思疎通は「漢字」でした。
ボディランゲージよりも何よりも、紙に書いた漢字の一文字で、意味がわかってしまう。漢字とはなんと素晴らしいヴュジュアルコミュニケーションツールなのでしょう!

かつてグラフィックデザインのことは、視覚伝達デザインと呼ばれていました。
視覚伝達はヴュジュアルコミュニケーションとも訳されていますが、グラフィックという言葉事体も、絵画や写真のような“絵”を指すばかりでなく、記号や図象などの意味までを含んでいます。
大先輩のデザイナーからは、グラフィックの語源には、指示とか指定、つまりディレクションの意を含んでいたとも伝え聞きました。

しかし現実は、グラフィックデザインとは、web以外の印刷物の総称として、あるいは見栄えのことのように認識されていることが常のようです。実際に辞書などで引いても、
「主に印刷で大量生産される、絵画や写真を用いた広告やポスターなどを指す云々…」
という解説が殆どです。商業デザインなら、まだ許される範疇ですが、
「印刷によって大量に複製されるデザイン」、
などと表記されているのには本当にがっかりで、グラフィックデザインが、何故、印刷デザイン(プリンティングデザイン)と呼ばれていないかなどと、到底考えるに及ばないのだなぁと、思います。

グラフィックデザインという言葉の見栄えだけが残って、真意がどこかに置き去りにされてしまったら、何のためのデザインなのを見失っていくのではないかと、相変わらず危惧しているのです。
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# by tsukinoha | 2005-04-02 06:35 | デザイン

001 処女航海

   男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。

とは、紀貫之『土佐日記』の冒頭。
日本文学の専門家でない私でも、この一文を頭にかすめます。
さしずめ今の心境は

   皆もすなるブログといふものを、我もしてみむとて、するなり。

といったところです。

当時、貴族や役人が記した漢文体であるべき日記を、和文の仮名で、しかも男なのに女を装っているということをした、『土佐日記』とは、実験的要素を多分に含んでいたようであります。
おこがましくも、そんな実験精神を見習って私も日記を試みることにしました。
日常の気づきや趣味、専門分野に閉じこめがちなデザイン論や美意識に至るまでの、さまざまのデザイン観を、我流にて綴っていこうと思います。

奇しくも『土佐日記』は、土佐から京までの主に船旅を綴った日記ですが、旅立ちを出航に例えることは多いと思います。
昔の私のボスは、大航海時代に夢を馳せ、新大陸を発見した船のイニシャルを、事務所の名に掲げていました。
そんな門出のタイトルは、ハービー・ハンコックの名曲から。

2005年4月1日、本日出航。
ゆっくりペースですが、おつき合いいただけると幸いです。
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# by tsukinoha | 2005-04-01 05:13 | ごあいさつ

日々のよろずデザイン観
by tsukinoha
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