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たまゆらデザイン日記

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365 金比羅宮 書院の美

d0009581_7293930.jpg金比羅宮 書院の美 応挙・若冲・岸岱
東京藝術大学美術館

待ち焦がれていた展覧会に行ってきました。
(1週間経ってしましましたが)

実際の書院を再現したということが売りでもある今回の展示。金比羅さんからやってきた現物を交えて、インクジェットで出力した(キャノンが全面協力)バーチャルな絵画をはめ込んで書院に見立てた構成が功を奏し、会場は刺激的でした。展覧会はやはりモノだけでなく、どう演出するかで大きく変わってきます。

まずは岸岱の蘭陵王(衝立)がお出迎え。これだけで(私は)気分が一気に盛り上がります。
つづいて展示室手前の書院障壁画の円山応挙の空間。他を寄せつけない圧倒的な存在感。七賢の間、山水の間、虎の間と、隙を与えぬ落ち着きを感じさせる空間はさすが大御所。
娘はさっそくお気に入りをみつけて襖絵の前に突っ立ってにらめっこ。やっぱりコレか〜とついつい微笑ましくなる『遊虎図』(下左)円山応挙。おみやげ用に選んだハガキもこれです。一緒に『芦丹頂図』(下右)も。小学生がシブイ選択。印刷もなかなかよい出来です。
d0009581_7303931.jpg


そして奥書院へ。ここはもともと伊藤若冲画による間だったそうですが、四つのうち三つは、描かれてから80年経った頃には痛みが激しく(ほんとか〜!?)大改修が行われたとのこと。その時申し出た岸岱によっての作画になっています。岸岱はもともとあった若冲のテーマを踏襲したということですが、『群蝶図』など若冲がどんな構図で描いていたかと思うと・・・とは言っても岸岱もなかなか素敵でした。個人的には菖蒲の間が印象に残りました。

そして今回のメインイベント若冲の花丸図。その空間は濃厚で息がつまるんじゃないだろうかと思うくらいです。が、実際、ほんとうにその場に行ったらどうなんでしょう。違う感覚が待ち受けているのかもしれません。さて、そのひとつ蓮の花に注目するわけですが、同じく並んだ牡丹の花の色味が濃厚だったのに対し蓮の花は色が薄めでした。同じ画面でも微妙に描き分けていたんだ〜と発見。過去に思いを巡らしながらお別れを言ってきました。

最後の部屋は応挙の表書院の背面に位置するという二部屋。
邨田丹陵(むらたたんりょう)明治時代に描かれた『富士山図』『富士巻狩図』。端正な雰囲気の画面に、後味のよいデザートをいただいたような感覚でした。

そしてトリに『富士山杉樹図屏風』伝狩野永徳
力強い垂直の杉と円錐の富士の対比が特徴的な屏風絵。解説に、狩野永徳と伝えられているが、どちらかというとこの表現は長谷川等伯に近いとあります。遠くから見た時、てっきり長谷川一派かと思った私。これには納得です。
図録も見応えたっぷりです。
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右から表1(応挙『遊虎図』“水呑みの虎”に岸岱『水辺花鳥図』の鳥が・・・)、表4(若冲『花丸図』)


d0009581_7413733.jpgそれにしても秋に公開という本家・金比羅宮で観ることができたなら・・・(左のチラシ10/1〜12/2、12/29〜1/31)。当初は若冲の花丸図だけが念頭にあったものの、やはり金比羅さん全体を見てみたい・・・
と、ここから余談になりますが、実は金比羅さんへは、私、行ったことがあるのでした!
何もわけわからない時代・・・高校の修学旅行の時立ち寄ったのですが、長い石段しか憶えておりません。同県の回遊式庭園で有名な栗林公園にも行きましたが、ほんと高校生にはもったいなかった〜。今思えば贅沢なコース(広島・原爆ドーム→松山城・道後温泉→金比羅さん・栗林公園→後楽園・倉敷)だったと思うのですが、本土と四国の交通はフェリーでしたので、移動時間が多く、京都5日間自由行動主体だった前年度の上級生をうらやましく思ったものでした。
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by tsukinoha | 2007-07-29 07:46 | 展覧会

364 思い出の展覧会

夏休みに入ったので(子どもが、です)早速ある展覧会へ出かけたのですが、
感想が後回しになっています。

さて、こちらでこのような記事を拝読後、思考が過去の時空へと遡ってしまい、せっかくなので記録として留めておこうと思いました。ほとんど自分の思い出に浸っているわけですが・・・これでもほんの一部です。芋づる式にあれこれ思いを巡らしてしまいます。


*もう一度観たい展覧会
「シルクロードのかざり 中央アジアとコーカサスの美術」
千葉市美術館
1998年 11月
工芸品が主体の展覧会。織物品などのまばゆい色彩と質感に圧倒されました。会場のディスプレイや照明もとてもよかったのを記憶しています。印刷物の落差にがっかりして図録は購入しなかったのですが、今思えば惜しい事しました。余談ですがまだ脊椎動物への進化以前の娘がお腹ににいました。

「曾我簫白展」
千葉市美術館
998年3月
曾我簫白に注目していた頃のことですから記憶にしっかりと残る展覧会でした。当時は美術史家・辻惟雄氏が館長をされていた頃です。ボストン美術館所蔵の『商山四晧図屏風』を観ることができて幸せでした(展示室の情景まで憶えています)。このときはしっかり図録を入手しました。


*曾我簫白つながりで・・・
「奇想天外江戸絵画展」
板橋区立美術館
1997年 秋
この時はじめて目の当たりにしたあのサイケな『群仙図屏風』。
なにしろこんな地味な美術館に!?と思うほど豪華なラインナップだったのです。長澤芦雪の『白象黒牛図屏風』も(プライスコレクションだったか?この作品は確か2通りあるはずなので)このときはじめて実物を観ました。残念なのはやはり図録が手元にないことです。

*写真展では・・・
「アンセル・アダムス展」
原美術館
80年代後半
アンセル・アダムスが捉えたアメリカの大自然に圧倒されました。原美術館のシチュエーションともよくマッチしていました。アンセル・アダムスは後に2度ほど展覧会へ足をのばしています。tsukinoha文庫に写真集が一冊。後年、武満徹がインスピレーションを得るものとして作曲時にアンセル・アダムスの写真集を観ると知って驚きました。


*かなり過去に遡って・・・
「シャガール展」
プランタン銀座
1984年頃
フランスのデパート、プランタンの上陸を記念しての第一段の展覧会だったと記憶しています。「サラ・ムーン(写真)」や「一竹辻が花(きもの)」など、当時は見応えのある展覧会がぞくぞくと開催されていました。今は完全に足が遠のいている場所。

「イヴ・クライン展」
セゾン美術館 
1985年 
軽井沢という立地もあって、違う世界に迷いこんだようでした。それまで以上に「青」の世界に惹き込まれるようになりました。イヴ・クラインの青は独特です。その後買い求めた顔料は、大事にしまってあります。「青」といっても純粋にBLUEだけでなく藍もあればにひすいのような緑まで総合的に大好きな色です。

「ジョナサン・ボロフスキー展」
東京都美術館 
1987年 
アメリカ現代アートの巨匠と呼ばれるボロフスキー。作品はまったく憶えていないのですが、強烈に印象として記憶に留まっています。確か壁の一部が壊されていたような・・・。


みなさんの思い出の展覧会は何ですか?
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by tsukinoha | 2007-07-27 21:46 | 展覧会

363 誕生日

今日はあの日と同じ暑い日でした。
午後2時。真昼間に誕生した娘も8歳になりました。

前日・・・
「まだ10日くらい(予定日まで)ありますから」とお義母さんに電話。
そしてひとり銀座をうろつく。ぎりぎりまで仕事していたのが急に暇になってしまって何をしたらよいのやら・・・身体動かした方がいいって言うし。
夜は友人に「元気だよ〜」と電話。
異変はダンナのカエルコールを切った後起った。
“おしるし”があって・・・下腹部にかすかに痛みを感じる。
「ただいま〜」と帰宅した夫に
「もう産まれるかも!」
「!?」
夜中の2時産院に電話するも
「まだ大丈夫だから朝になったら来てください」とやんわり。
規則的に徐々に痛みの感覚が短くなって・・・もう朝が待ち遠しかった!

たまたま仕事が入っていなかったので夫は立ち会い出産に。
そこの医院では、異常がないかぎり、助産婦さんが赤ちゃんを取り上げる。当日当直だった方が担当になる。その方とは今も年賀状のおつきあい。
誕生の瞬間は感動とかよりも「疲れた〜。髪の毛が真っ黒だ〜」が感想。
およそ12時間は順調だと言われてぐったり。

きれいにしてもらって数時間後、教えもしないのにおっぱいをごくごく飲んだのにはびっくり。母乳の出がすこぶるよく、99%母乳で育つ・・・というか、哺乳びんのチクビが大嫌いで、保育園入園時(8ヵ月)では思いがけず苦労。その後4歳になるまでおっぱいで寝付く(授乳時期を過ぎると出ませんが・笑)毎日になろうとは予想だにしなかった私でした。
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by tsukinoha | 2007-07-24 22:20 | 子ども

362 今日から夏休み

「もう大丈夫でしょう」ということで、娘の首も完治。
医者からの帰り道の途中、馬込銀座にあるおいしいコロッケ屋さんでメンチカツを買った後、まだ時間があるのでちょっと離れている文房具屋さんに行くことにしました。地理感覚がないと迷子になってしまうくねくね道も、学区のあたりはどうにか頭の中に地図が出来てきたところ。いつもは殆ど通らない道を歩いているとついつい家ウォッチングをしてしまいます。古くて味のあるお宅、突如現れる豪邸や神社の杜など見ていて飽きません。

そして昨日気になった一件のお宅!
通りに面した北側の2階部分がガラス張りになっていて、「原色 日本の美術」などの豪華本の類いが整然と並んでいる。どんなことされている人なんだろ〜〜と興味津々。
そういえば小学校では“まちたんけん”といって近くを散策することがあるらしいのですが、「友達の家を興味をもって探していました」とは先生のコメント。おうち発見は親ゆずりか(笑)。

小学校は今日から夏休みです。
近頃は2学期制のところも増えてきているようですが、娘の学校は3学期制。1年生の学期末の時、プリント類などと一緒にまるごと学校に置き忘れてきた通知表も、ちゃんと持ち帰りました(笑)。来週からはお弁当を持って学童保育へ。プールやサマースクールなどの学校行事は中抜けすることができるので、とっても助かっています。延長が実施されないのが残念ですが、数人で帰宅するので私が仕事から戻るまでの小1時間は留守番させるつもり。そろそろそういうのにも慣れさせないと。
親の方の夏休みが不確定なので大きな予定は未定。まず上野あたりの小さいとこから出かけるとします(笑)。
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by tsukinoha | 2007-07-21 07:19 | 子ども

361 虎の尾の花

直射日光の当たらない北西向きの窓際に置いてある虎の尾(サンセベリア)が、ぐんぐん育っていたのですが・・・気がつくとつぼみが出ていてびっくり!
虎の尾って花が咲くんだ〜!和む気持ちよりもギョッとしたのが正直なところ。それもこれも空気清浄効果(マイナスイオン)があるのは知っていても花が咲くという知識がなかったから・・・。
根元の葉のあいだからにょっきりとでた細い茎に、ちいさなつぼみがいくつもついて、そしていっせいに透き通ったような白い花が咲いきました。しかも蜜をたたえた花から香りがするのです。花の香りには敏感です。微香だったら大丈夫なのですが、香水とか苦しくなってしまってダメ・・・。気管支系が強くないせいかもしれません。扁桃腺が大きくて子ども時代はよく熱を出したので。たばこもダメです。


首にコルセットを巻いている娘を留守番させて、30分くらい自転車でおつかいに出ました。
海の日の休日のことです。戻ってくるとピアノの音。練習している様子。近くに寄って「ただいま」を言うも、返事もせずにこわばった表情でピアノに向かっている・・・なんか変な感じ。ネットを立ち上げてみると、ほんの5分くらい前に地震があったことが判明。この辺りは震度3くらい?自転車に揺られているときだから全然わからなかった!「今地震あった?」と聞くとようやく口を開いて「うん」と言ってくれました。テーブルの下にもぐって揺れがおさまった後、音があれば怖くなくなると思ってピアノを弾いてたとのこと。


昨日の夕方、空を見上げると白い鳥の群れが北東に向かって飛んでいく・・・!
娘と2人びっくり。
いるはずのない場所にいたあの仔猫のときのことを思い出す。
そして前日に逝ってしまったあの方のことを。
仕事が好きで、朗らかなお母さんで、そして病魔と戦って・・・。とくに親しかったわけでもないのに、やはりやるせない。
心のなかでそっと手を合わせました。
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by tsukinoha | 2007-07-19 21:53 | 随想

360 ブリリアンティッシモ

台風接近中ですが、水が大好きな来日中のヘルフゴットさんは(今日はラフマニノフの第3番演奏する日なんだよな〜と思いつつ)喜んでいるのだろうか・・・などと思いつつ期限ギリギリになったCDを返却しに図書館へ行くのですが、こともあろうか、外ケースを忘れてしまって・・・「延長できますか?」と聞いたところ「次の予約が入っていますので」とやんわり・・・雨の中自転車で2往復しました。このあいだリサイタルやったばかりなので、前後、予約が入りっぱなしのようです(私も予約したので・・・買えばいい?じゃん?)。

d0009581_761347.jpgブリリアンティッシモ
ヘルフゴット・プレイズ・ロマンティック・アンコール
1997年




1. ハンガリー狂詩曲第2番(リスト)
2. 3つの演奏会用練習曲~ため息(同)
3. アンダルシアの思い出(ゴットシャルク)
4. 前奏曲第15番変ニ長調op.28-15「雨だれ」(ショパン)
5. 前奏曲ハ長調op.12(プロコフィエフ)
6. 即興曲変ト長調D.899(シューベルト)
7. 前奏曲嬰ト短調op.32-12(ラフマニノフ)
8. 練習曲嬰ハ短調op.2-1(スクリャービン)
9. パガニーニによる超絶技巧練習曲集~ラ・カンパネラ(リスト)
10. アンダンテとロンド・カプリチオーソ(メンデルスゾーン)
11. 抒情小品集第3集~蝶々(グリーグ)
12. 6つの小品~春のささやき(シンディング)
13. バレエ「恋は魔術師」~火祭りの踊り(ファリャ)
14. 練習曲ホ長調op.10-3「別れの曲」(ショパン)
15. 風刺op.59(ゴットシャルク)
16. くまばちは飛ぶ(リムスキー=コルサコフ/ラフマニノフ編)




そして、ここのところ毎日聴いているのは、先週のリサイタルで買い求めた、今回のツアーで演奏される曲目が収録されている会場内限定CD。演奏中のヘルフゴットさん・・・歌いながら「ラ・カンパネッラ」を弾いていたあの姿など・・・を思い出すと今でも目頭がツーンとしてきます。明日は日本での最後の公演(神戸)。また来日してくれることを願います。
d0009581_764285.jpg
HELFGOTT MAGIC 2007 Tour CD

List
Chopin
Rachmaninov

〈リスト、ショパン、ラフマニノフ〉とありますが、シューベルトが1曲入っています。
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by tsukinoha | 2007-07-15 07:18 | 音楽

359 若冲の花丸図

台風が近づいているのもさることながら、娘が首にコルセット巻いている状態なので、しばらく外出もお預け。怪我は学校の休み時間に逆上がりの練習していたのが原因。一昨日帰宅後の「痛い」(すでに学校で「痛い」と報告していたらしい)が昨日も続いていたので、朝遅刻させて、とりあえずと気軽な気持ちで夫が病院に連れて行くのですが、レントゲン撮ったら首の骨の咬みあわせがずれている・・・ということでちょこっと慌てました。幸い、ふつうの生活には支障がないということでそのまま学校へ。児童館の先生へは予め電話して事情を説明して学童もいつも通り行かせることに。昨日はしめきり(製版入稿のための修正やらデータ作成)もあったのでどきどきしながら仕事していました。帰宅後は担任の先生から電話がありあれこれ状況のすり合わせ。



東京芸術大学美術館で開催中の「金比羅宮 書院の美」も、しばらくおあずけなので、若冲の花丸図についての思い出話で訪問までの間の序章を楽しみたいと思います。


家に「若冲の花丸図」のうち蓮の花の色校正がおさまった額縁があります。
それは私が20代半ばだった頃のこと。ひとり住まいの恐ろしく殺風景な土壁のアパート。インテリアのことを考える余裕もなかったままでしたが、思い出したように大事にしまっていたままの若冲の蓮花の色校正を取り出します。そしておさまりのよいサイズの額縁を求めて、飾ってみたのです。それは小さな浄土の空間が出現したようでした(ちなみに当時若冲についての私の理解は、青物問屋のボンボンだった、くらいしかなかった)。それから2回転居して、少し色褪せてしまった蓮花ですが、捨てられずに残っています。


印刷所から色校正の入った封を開けると表紙用の若冲の蓮の花がふわっと出てきた・・・その光景が今でも目に焼き付いています。それは「蓮」をテーマにしたある美術系の日記帳でした。「フィルム通りにではなく、描かれた当時の色調を再現するつもりで色は鮮やかに出してください」というのが大先輩のアートディレクターの製版指示でしたが、1回目の校正が色調が鮮やかすぎて軽めになってしまったので、2回目少し緑を落ち着かせた色合いで仕上がってきました。蓮花の白も引き立ってとてもいい感じに。ふつう色校正は用を終えるとさっさと捨てられてしまいます。がそんなこと(捨てる)できるわけない!と、すかさず嬉々として持ち帰ったのでした。今から18年前のことです。


当時の職場の本棚にあった「若冲の花丸図」の赤い布地の豪華本(おそらく今はなき、京都書院)には、たくさんの種の花々が描かれていました。それが高校生の時修学旅行で立ち寄った金比羅さんにあるなんて!とも。

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というわけで伊藤若冲との記念すべき最初の出会い・・・私の場合は「花丸図」なのでした。
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by tsukinoha | 2007-07-14 06:48 | 日本の伝統文化

358 輝いていたデヴィッド・ヘルフゴット

デヴィッド・ヘルフゴット“Shine”Your Life 2007に行ってきました。
「演奏するときは、与える気持ち、慈しむ気持ち、分け合う気持ちでなくちゃ」とは『すべては愛に』の一節。コンサートの前に賛否両論、たくさんのうんちくを入れ過ぎたかな〜と思いつつ、でも待ちに待ったこの日がやってきてしまったのでした。


開演時間になり、舞台が明るくなると、左ソデからタッタッタ〜とまるで欽ちゃんみたいに走ってきて、親指を立てイェ〜イとやる。雨のような拍手のなかに笑いが混じる。笑いのなかにデヴィッド・ヘルフゴットに出会えた感動の涙が混じるような・・・いきなり場の空気を作り上げてしまった。序幕からすでに私が知っている(数少ない)クラシックのコンサートの想像の領域を超えている。会場の人たちへの“挨拶”が終わると椅子に腰掛け間髪入れずいきなり弾きはじめるショパンの「幻想即興曲」。鳥肌が全身に走る・・・こんな体験いままであっただろうか。2曲目は“シャイン”の冒頭にもあった、9歳の時初めてのコンクールで弾いた「英雄ポロネーズ」(このとき、特別賞だった)。正式なピアノのレッスンを受けはじめたのがこのコンクール後の10歳だというから、本人の非凡さもさることながら、父親がいなければピアニストとしての芽を見い出すことも、成長もなかった・・・などと思いを巡らしてしまう。

結構長身であるということと、極度の近眼と聞くので、ピアノに向かっている時は猫背で、鍵盤の近くに顔を持っていく。ピアノを弾きながらデヴィッドは、ちょくちょく客席の方を向いて「僕のピアノはどう?」とでも言うように笑顔を振りまく。ピアノが大好きで、まるで歌うように(カンタービレか・・)弾いている。いや、ほんとうに彼は歌っている(声が聞こえる)。とても気分よさそうに!演奏が終わるたびスクッと立ち上がり、イェ〜イとやる。右に左に前方に後方に向かって。そして舞台左ソデに向かって。するといそいそと次の曲へ向かう。おそらくギリアン(妻)に次の曲やって!と促されているのだろう。ああ、わかったというようなデヴィッドの素振りに、笑いが・・・。


休憩中、座席の横や後から
「すごい(演奏)ねぇ・・・」とささやきが聞こえてきます。

「CDも売っているみたいよ」
私の左隣に音楽好きの老夫婦が座っておられた。「終了後も販売しているそうですよ」と、私はついさっき購入したばかりの、このツアーの限定販売CDをお見せしながら奥さまの方についつい声をかけてしまう。
「あのひと、病気、なんでしょう?」
「精神を病んだそうですよ」
「でもあんなにすばらしい演奏なのよね〜。今おいくつなんでしょう?」
「今年60歳だそうです」
「あら、まだまだ若いわね!」
「!!!」(返答に困る^^)
「この“Shine”て映画は今はやっていないんですよね?」
「私も最近観たばかりなんですが、レンタル屋さんとかであると思いますから、是非ご覧になってください!」

みんなを幸せにするコンサートでした。


“Shine”Your Life 2007
デヴィッド・ヘルフゴット
7月8日(日)
大田区民ホールアプリコ

ショパン 幻想即興曲嬰ハ単調op.66
ショパン 英雄ポロネーズ第6番変イ長調op.53
ショパン バラード第1番ト短調op.23
リスト パガニーニによる大練習曲第3番嬰ト短調ラ・カムパネッラ
リスト バラード第2番ロ短調

リスト ハンガリー狂詩曲第2番嬰ハ短調
シューベルト 即興曲第2番変ホ長調op.90
ラフマニノフ ソナタ第2番変ロ短調op.36

アンコール
ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
ハチャトゥリャン バレエ「ガイーヌ」より“剣の舞”


d0009581_2120338.jpg隣は占星術師らしいオーラをたたえた15歳年長の奥様のギリアン。
CDにサインをしてもらいました。
握手した手は柔らかでした。
キッスもされました(笑)。

公式ホームページはこちら。フォトギャラリーもあります。今年のツアーはこれからヨーロッパの予定があるそう。
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by tsukinoha | 2007-07-09 22:06 | 音楽

357 コンチェルトDE「スペイン」

生茶CMの「スペイン」。
ファンのあいだで話題になって久しいです。

オリジナルの「スペイン」がなんと言ってもベストなのですが、
さて・・・
先月借りてきたチック・コリアソロピアノの解説に、アコースティックバンドでこれが最後のつもりで「スペイン」を録ったが、オリジンのメンバーとオーケストラでやることになって云々・・・とあり、なになに〜?知らなかった!
「スペイン」オーケストラバージョンがここにありました。

d0009581_2147254.jpgコンチェルト 
チック・コリア
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
featuring オリジン
1999年


スペイン(セクステットとオーケストラ版)
 チック・コリア(p)
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 ステーヴン・メルクリオ指揮
 ボブ・シェパード(fl,tsax)
 ジェフ・バラード(dr)
 アビシャイ・コーエン(b)
 スティーブ・ウィルソン(ssx)


ピアノ協奏曲第1番(曲・ピアノ・指揮/チック・コリア)



1995年、パルテノン多摩で開催された(翌年も開催)「チック・コリア〜フロム・ジャズ・トゥ・クラシカル」の締めは「スペイン」(新日本フィルとの共演)でした。オケとのコンチェルトを実現した「スペイン」はこの時はじめてのもよう。実は私はこの95年のコンサートに出かけているのですが、開演時間に遅れ、野外での広い会場の後方で芝生に寝っころがって状態だったせいもあり、コンサート聴くというより、お祭りの空気楽しむみたいな感じで、残念ながら演奏自体の印象が薄かった記憶があります。

自身の曲をオーケストラで演奏するということにあたっては、モーツァルトの音楽との関わりがはずせないとチック・コリアは言っています。
若きチックは、クラシックよりもジャズの魅力にのめり込み、ジュリアード音楽院を退学してしまったという経歴(?)の持ち主。しかし1982年にオーストリアのピアニスト、フリードリッヒ・グルダとの共演で、グルダが奏でる即興に用いられた美しい旋律がモーツァルトであることを知り、ものの見方をすっかりと変えられたそうなのです。参考はこちら。

ピアノとオーケストラのそれぞれのイントロ、オープニング、その後の演奏の主体となるスペインのテーマはクラシック的なものとジャズ的なものとが混在したパート。
「スペイン旅行を音楽でコラージュしたものと思ってもらえればいい」byチック。
20年以上に渡って寝かされた音が熟成され、芳醇な味わいに結実した「スペイン」という感じです。

ただしですね・・・生茶でのBGMはCMのオリジナルのようですよ?
聴き比べをしましたが、このコンチェルトではありませんでした。
どなたがアレンジされているのでしょうCM。気になる〜。
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by tsukinoha | 2007-07-04 21:50 | 音楽

356 青春のかけら達

d0009581_612147.jpg青春のかけら達
NSP
ポニーキャニオン
1978年



NSPの初のベスト盤として1978年リリースされた「青春のかけら達」が当時の姿のままLPレコード盤で復刻!しかも(プレイヤー持っていない人のために)CD2枚付き!

ファンからCD化を望む声が一番高かった2枚組ベストがポニーキャニオン通販限定で発売中、今日からお届けです。メンバーの平賀さんは、「天野の三回忌に合わせた訳ではありませんが」と言っていますが・・・。

先行シングル(「冬の花火はおもいで花火」)、新録音曲(「漁り火」)、新バージョンアレンジ入りで、限りなくオリジナルに近いベスト盤。しかもジャケットはイラストで!(「夕暮れ時はさびしそう」のイラストレーター)とNSPが直々に希望したそうで。「NSPが一番NSPらしかった頃だったかな」(平賀氏)とおっしゃっていますが、その通りだと思います。

中学生だった私は、このベスト盤新録音の「漁り火」という曲が大好きでした(今でもですが)。さりげなく奥の深い詩にとても感銘を受けたものです(詞が載せられないのがすごく残念です)。こんな詩が書ける天野さんて天才!と傾倒していましたが(笑)、ほんとうに不思議なんですけれど、NSPの、天野さんの詩というのは、風景が浮かんでくるんです。NSPの曲を聴いて、きっと一人ひとり違った風景を胸に描いている。

NSPにはシングルになっていないけれどたくさんの名曲があります。「白い椅子の陰」なんかギターのイントロ聴くとほんと切なくなります。最近気がついたことでは「八十八夜」のピアノは羽田健太郎さんだったということ。「勝手にしやがれ」や「秋桜」の時代でしたから・・・。もひとつびっくりしたのは、香港の四天王の1人レオン・ライ(と言いつつ、詳しくないのでよくわからないのですが)が「情感的禁區」いうタイトルでこのベスト盤にも収録されているNSPの「誰かが落した悲しみを」をカバーしていたということです。


三回忌の今日「天野滋トリビュートライブ」が行われます。
私は出かけるのをやめました。いろいろ悩んで・・・。
気がついたらあっというまにチケット完売。

でもこれからもNSP好きでいることには変わりはないのだから!

平賀さん、すみません。「青春のかけら達」、私は当時のLP盤で聴いています。
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by tsukinoha | 2007-07-01 06:14 | 音楽

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