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たまゆらデザイン日記

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265 ギョッとする江戸の絵画

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「ギョッとする江戸の絵画」というエグいタイトルですが、曾我簫白の「群仙図屏風」の表紙絵。10月からスタートするNHK知るを楽しむの辻惟雄先生のテキストです。こちらで情報をいただきました。簫白のインパクト、はたまた簫白と言えばコレに勝るものはないんでしょうね。昨年の芸術新潮の表紙も然り。
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私が簫白の実物とはじめて対面したのは、1997年板橋区立美術館の「奇想天外江戸絵画展」です。このとき「群仙図屏風」がありました。(手元に図録・・公費で購入していたので・・もなにも残っていないので断定的に語るのが少しばかりためらわれます)板橋区立美術館は小さいながらもユニークな視点の展覧会が多く、ひそかに贔屓にしています。交通の便さえよければ通いたい美術館のひとつ。

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それから約1年後、千葉市美術館(1998年3/24〜5/5)で曾我簫白展がありました。辻惟雄先生が美術館の館長をしておられた頃のことです。

眼球が飛び出るような驚きを体験したい方は是非「曾我簫白展」へ!などというのはすこしオーヴァかもしれませんが、江戸時代にもこんな元気のいい破天荒な画家がいたことをお知らせしたくて、この展覧会を企画しました。(美術館ニュースの辻先生の言葉)

「群仙図屏風」と2度目の対面でした。図録(上記画像)も美術館ニュース(下記画像)も「群仙図屏風」です。まったくなんちゅー絵なのでしょうか。
しかし私が簫白の魅力にはまったのは、この絵に代表されるエログロテスクなかたちと色彩そのものでなく、対象的な「商山四晧図屏風」のような、一気に描き切ったような大胆な山水のもうひとりの簫白の顔と言うべき発見でした。(「商山四晧図屏風」・・右隻は樹下の4人の隠者、左隻にはいまにもつぶれそうなロバ(馬?)にまたがった隠者の後姿。ユーモラスで哀愁漂う画風。特に左隻の絵が好きです)対照的なこのふたつの屏風絵を前に「なんて(この人は)自由なんだ!」と気持ちが高ぶりました。「もしかして私(たち)は江戸時代という時代を、とんでもなく勘違いしているのではないだろうか?」とひそかに心に思ったものです。最近ではそれが確信に近づいていますが・・・いや、おそらく前世、私は江戸時代にいたのかもしれません(ああ、妄想癖・・・)。
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「簫白はいかにして忘れられたか」ということで、千葉市美術館ニュースの展覧会の紹介に美術史家の佐藤康宏氏の3頁に渡る随筆が掲載されています。それによると、おそくとも1890(明治23)年代に発表された美術専門誌『国華』4号の解説であろうとの指摘で、次のような記述の紹介があります。
「簫白のような画家が日本の美術史に上に再び出現するのはけっして好ましいことではない」


「みんな知らないみたいだけど、江戸時代にはこんなおもしろい絵があるんだよ」とでも言うように、若かりし辻先生が執筆された『奇想の系譜』(1969年)。簫白のほか伊藤若冲、長澤芦雪など、当時の概念からすると一線から外れた絵師たちを取り上げるという、おそらくは超マニアックな著作。その視点が30数年かけてじわじわと“世間”へ浸透してゆきました(画像は2004年文庫版で表紙は曾我簫白「雲龍図襖」)
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およそ100年近くにわたって植え付けられた簫白らへの偏見を拭うにあたって、辻先生が果たした役割は大きかった。と、後世(すでに現在)語り継がれるのでしょう。

というわけで、10月スタートの「ギョッとする江戸の絵画」シリーズを楽しみにしています。
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by tsukinoha | 2006-09-28 22:22 | 日本の伝統文化

264 小学校の行事あれこれ

2学期(娘の通う学校は3学期制です)が始まったと思っていたらもう9月も後半。
保育園と違って小学校は用事が多いな〜というのが感想。1学期だけでも保護者会が2回、家庭訪問に学校開放日、特別授業の参観。休日の親子カレー大会、運動会、夏まつり。
先週のある日の午後は、5時限目の道徳の授業参観〜保護者会〜道徳地区公開講座(地域のカウンセラーの方のお話)の講演会がありました。
仕事をしているからこそ学校や子どもの様子を知る機会ははずせないという感じです。そのたびに「仕事を持っていても(子どもの用事や急病で)うしろめたいような気持ちにならないような社会になればいいんです」と、おっしゃっていらした、保育園時代の園長先生の言葉を思い出します。「仕事のために保育の延長は必要かもしれないけれど、いちばん大事な乳幼児期に親子の時間を十分にとってあげてください」「保育が“サービス”になってしまったらますます格差が生まれる」保育者として、そして社会の大先輩としてのご意見やお話はいつも有り難いものでした。そしてさまざまな局面で、いくら制度が作られようと、対処療法では何の解決にもなっていないと思わさざるを得ない気持ちになります。

さて、我が娘は幼児から児童になってしまいましたが、先の講演会では「低学年のうちは、甘えてきたら十分受けてあげてください」というお話を受けました。最近はどすん!と膝にのっかってこられると重たくて「どいて!」と言ってしまいますが、ちょっと我慢することにします(笑)。

先週は1年生になってはじめてテストというものをやってきました。それは漢字検定(へぇ〜そういうのがあるんだと、親の方は相変わらず知らないことだらけ)の予行練習のテストでしたが、本番の今日は揃って14級(出題=1年生で習うひらがな)を受けてきました。
どういうわけか自信満々なのですが、おっちょこちょいをするなんてこと十分ありえそう・・・。

明日は遠足の予定ですが雨になりそうです。でもお弁当用意しなきゃ、です。
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by tsukinoha | 2006-09-25 22:36 | 子ども

263 ワインライト

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ワインライト  
グローヴァー・ワシントンJr.
1980年




1. ワインライト
2. レット・イット・フロウ
3. イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ
4. テイク・ミー・ゼア
5. ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス
6. メイク・ミー・ア・メモリー


音楽は知ってるんだけど、誰のかわかんない〜ということが結構あって、「Just the two of us」(本アルバム5曲目)もそのうちのひとつでした。たまたまタワーレコードかどこかへ行ったときに(といっても10数年前の話し)コレがかかっていてビンゴ!最初は非常に懐かしく、そして今ではお気に入りの定番のひとつ。
私と同じような年代だったら、ビル・ウィザースのヴォーカルの「Just the two of us」を聴いた事があるはず。主役のグローヴァー・ワシントンJr.を差し置いて、このビル・ウィザースの歌が秀でています。ベストヒットUSA(というだけで年代がわかる?)でもちらっと出たことがあるんですよ。AOR(Adult Oriented Rock)の走りの時代です。
音楽もジャケットも80年代の香りがプンプンしますね。
秋の一日にぴったり合いそうな1枚です。
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by tsukinoha | 2006-09-24 07:35 | 音楽

262 大江戸庶民いろいろ事情

d0009581_635912.jpg大江戸庶民いろいろ事情
石川英輔
2005年 講談社文庫






私の記憶では江戸ブームが訪れたのは1990年代初頭。ちょうどその頃携わっていた雑誌でも、水運を中心とした江戸文化の特集がありました。「江戸名所図屏風」の掲載許可を取るために某美術館に出向いたのも懐かしい思い出(ふつうは編集者が行うもの。人手がなかったのと、どういう手順を踏むのか興味があったのとで、やらせてと・・・笑)。江戸時代のリサイクル事情に感心しながらレイアウトをしていた時分、それはバブル景気が怪しくなるのと入れ替わるように、江戸の生活を見直そうとする視点が肯定されるようになった時期でもありました。

時代SF小説の執筆をきっかけに、以後小説ではなく江戸時代の研究に傾倒されていったという著者(1933年京都生まれ)。こと江戸時代に関して言うならば、鎖国をして世界に遅れていた日本という印象でしかなかった学校で学んだ日本史は、いったい何だったのだろうという疑問がきっかけで執筆がはじまった、「大江戸シリーズ」のうちの1册。1970年代頃までは少しでも江戸時代を前向きに評価ししようものなら、右(=悪)とみなされ攻撃されてきたそうです。
話がちょっと飛びますが、この年代一部の流派以外の絵師たちが(たとえば若冲とか)まったくと言っていいほど評価されなかったゆえんが見えてくるようでもあります。ようやく呪縛から逃れられ、今になって流行歌続出の「桜」も然り。(そういえば秋草ソングってないな〜。秋桜(コスモス)はもともとメキシコ産の外来種だし。中島みゆきはデビュー曲で〜秋には桔梗〜って歌ってました。それから〜すすきが揺れる遠いふるさとの町に〜という世間的にはマイナーな歌があります)

前出『国民のための百姓学』で、江戸末期にやってきた西洋人は、日本ではおんな子どもが大切にされているのに驚いた、太った子どもが多かった、江戸時代の一揆は八割がた百姓の勝利で、それも武器を置いて出かけていた・・・などの記述に驚きましたが、本書においても、江戸府内の半分は農地だったとか、99%の子どもが手習いに通ってたとか、そして太陽エネルギーによって育った植物原料だけで生きていた時代がモノがいかに貴重だったか・・読みすすめるほどに、ほんとうの豊かさとは何なのか?と幾度も問いかけられます。「人類は経済を成長させるために生存しているのではない」のです。

少々クセのある物言いが気になるものの、江戸の雑学ということでは、楽しく興味深く読める1册だと思います。
最後に・・・
「江戸時代を代表する文化が貴族文化ではなく、庶民文化だったのは、庶民の教育水準が高かったからにほかならない」との指摘があります。宗達や光琳、若冲に北斎らなどなど絵画だけを見ても多彩な顔ぶれを輩出した江戸の時代がいかなるものだったか・・・想像は膨らむばかりです。
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by tsukinoha | 2006-09-23 06:07 |

261 国民のための百姓学

d0009581_20334242.jpg国民のための百姓学
宇根豊
家の光協会 2005年








目次
第1章 技術・生産
第2章 生きもの
第3章 土地・風景・自然
第4章 食べもの
第5章 仕事・精神
第6章 くらし・政治
第7章 歴史

この本の内容は、ことごとく従来の農業に対する「常識」を覆すものになっているだろう。日本の農業がここまで落ち込んできたのは、「時代の流れ」(成り行きと言ってもいい)に流されっぱなしだったからである。(略)「この流れに身を任せなさい」というささやきに、農業の倫理は対抗できずに敗北したのだった。私は農に関わる者の一人として、どうにかできなかったのだろうか、といつも感じてきた(本文より)。
オビ表4(裏表紙)より



少子化、格差社会が叫ばれている21世紀初頭のこの国。そういった問題が起きてしまうのも、私たちが何か大事なものを亡くしてしまったゆえのツケではないかという気がしてくる。
日本の農業は危険な状況にきているということをこの国に住む人たちはどのくらい理解しているだろうか(私も)。そもそも農業を経済という視点で見てきたことに大きな問題があったようだ。さらには過去すべての農民は封建制度の中で悲惨な生活を送っていたという過った歴史観。安くて安全に振舞わされるでなく、消費という幻想から目覚めなければならない。一人ひとりの意識改革が必然なのではないのか。何よりも農を大事にしなければ国は滅びるのではないのかという危機さえ感じる。とにかくこのタイトルのように、国民すべての人にこの書籍を読んでいただきたい・・・と、思ってしまいました。


中身の力強さをばっちり表現してくれているブックカバー(+オビ)が良いです。
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by tsukinoha | 2006-09-20 20:36 |

260 馬込文士村散策

この休日中は遠出はしないで、近所を散歩することにしました。
せっかくここの地区に居住しながら歩いてないところがいっぱいあります。今ではただの住宅街ですが、かつて文士達が住んでいたところに解説版が設置されています。(参考までに馬込文士村のホームページというのがあります)
ひとつとして平行する道がないここの地区を、幹線道路(環七)がぶった切っているという感じ。方向感覚は良いことを自認(笑)している私でも今だに迷います。さらに道幅が狭すぎるところもかなりあって、山王地区など災害時に消防車が入れない危険地域と認定?されている場所もあります。


まずは以前見つけられずに挫折した三島由紀夫邸。娘の通う小学校の学区内にあります。地形が複雑きわまりないので、番地を記憶していてもあれっ?と迷いに迷います。南馬込のバス通りから小道を入って斜面をくだる途中にまた小道に入ってを繰り返して・・よ〜く注意していると、なんと!!!三島由紀夫と表札が出ているのを見つけました!!!実にさりげなくひっそりとある感じで、うっかりすると見過ごしてしまいそうな場所です。白い塀に囲まれているので中を見ることはできませんが、白亜のコロニアル様式の邸宅とのことです。


次は郷土博物館。ここはいつでも無料で常設展(大昔の大田区/馬込文士村/大田区のd0009581_5541941.jpg職人/海苔の養殖/昔の暮らし)を見ることができます。特別展がない時はいつも閑散としていますが、散歩でひと休みにはちょうど良い場所。
モース博士が発見した大森貝塚が有名ですが、その他にも大田区は先土器時代からの遺跡の出土がたくさんあります。個人的なことですが、私がいちばん最初に大森駅西口に降り立った時、ここに住もう!とかなり直感で決めた場所は、大昔から住み良い場所だったようです。(今は交通も激しくて必ずしも住み良いとは言えませんが・・)さて、博物館でうっかり千葉市美術館のチラシを見つけてしまい、今、非常に心が揺れています(笑)。画像は博物館で購入できるガイドブック200円。


最後に龍子記念館に行きます。昨年の北斎の「冨嶽三十六景展」以来です。d0009581_5545180.jpgおよそ半年ものあいだ(2006年5/31〜12/21まで)、川端龍子名作展(所蔵展)が開催されています。(大人200円/子供100円)おそるおそる入ってみると・・・案の定誰一人いません!大丈夫でしょうか。ここの美術館。
娘と2人、貸しきり状態で観賞で「筏流し」「都会を知らぬ子等」の6曲の屏風絵の大作などをゆっくりと堪能。12〜14歳の時のスケッチ(筆による)のすばらしいのに驚きました。と、横で監視カメラに向かってしきりにポーズをとるおばかな我が娘がいるのでした。
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by tsukinoha | 2006-09-19 06:00 | 観光

259 国宝 風神雷神図屏風

先週明けの月曜の早朝、東京地方は今年一番の雷雨に見舞われました。
雷鳴が轟く中、公開されたばかりの「風神雷神図屏風」のことを思っていました。
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俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、三つの風神雷神図屏風が66年振りに一堂に展示。
それは貴重な、少々大袈裟に言うと、歴史的なある瞬間に立ち会うことになるのです。

でも、本心は俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が目当て。
これまで幾度となく、豪華本で見てきたあの名品に出会いたい一心でした。
休日はとんでもなく混雑して見るどころではない・・との情報を得ていた折、運良く仕事帰りに立ち寄る時間が出来たのです。神さまの思し召しをありがたく受けることにしました。出光美術館じたい3年振りくらいでしょうか。近くにあってもなかなか行かないというか行けないと言いますか、時間が思うままにならないからこそ、行けるとなった時のパワーは昔よりも強くなった気がします。おっと話がそれてしまいましたが、何はともあれ、小雨降るある夕刻に実現を果たします。

胸の奥から込み上げてくる感情と同時に拝みたくなるような気持ちにかられ、涙が出そうになります。久し振りに何かに取り憑かれた感覚がしました。言葉を変えると、絵を通して別の感動が訪れると言ったらよいでしょうか。これは絵に限ったことではありませんし、もちろん国宝に限ったことでもありません。昔の人の感覚で言うならばありがたくて、平伏したくなるような絵や仏像を前にしたときの気持ちなのかもしれません。

さて、宗達の「風神雷神図屏風」を偶然発見したのは、なんと光琳でした。落款も何もないこの屏風絵を、まごうことなき宗達の作であるとした光琳の、宗達に対する敬愛の眼差しが汲み取れます。配置が微妙にずれているものの、ピタリと一致する風神雷神の輪郭。光琳は宗達の絵をトレースしたと明らかになったそうなのです。そして一方の抱一は、宗達の作を知らずに、つまり光琳のオリジナルと思い込み、模写をしたそうです。

いずれにしても、尊敬する先人の模写をするというのは、かつてのならわしのようなものです。
これは『花伝書』を著した、世阿弥の芸事は物真似であるとする・・に通ずるものがあります。または写しという手法であり、日本文化を読み解くひとつの鍵が潜んでいることが伺えます。

恐れながら、経験の浅い20代の頃の私がデザインやレイアウトで悩んでいる時分、当時の師匠から、「まずやってみたいものの真似をしなさい、そしてもっと良いものを見なさい」と良く言われました。これは大変です。やってみたいものが、まずわからない、何が良いものかもわからない。そこから修行が始まるわけです。真似をすることで、修得するものがあります。またそのような行為が抑制した自己から現れるその人自身のものが滲み出るのです。作為が見られないこと、それが本来の個性というものなのではないでしょうか。もっともその窮地に達することは並大抵のことではないことを記しておきたいと思います。
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by tsukinoha | 2006-09-17 06:50 | 展覧会

258 秋草図の遺伝子

いつもは学童保育から帰宅する娘を気にかけながら駆け足で家路に着く日々ですが、およそ1年振りくらいに仕事帰りに美術館に立ち寄るということをしました。
俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が目的でした。冊子や豪華本でこれまで幾度となく見てきた風神雷神との対面で胸がいっぱいになるのですが、その他の展示にも驚くました。その予想外の展開で、さらに胸がいっぱいいっぱいになります。


琳派芸術の継承と創造
  梅を愛でる
  秋草図の遺伝子
  燕子花図の変容
  受け継がれる琳派

という章立てで、宗達、光琳、抱一らの屏風絵やらがどど〜んとありました。
梅も燕子花もすばらしいのですが、今の季節、やはり秋草がピタリと来ます。ちょうど前の晩に秋草のことを思っていたばかりだったので、何かが引き寄せたという感じです。

俵屋宗達「月に秋草図屏風」
照明にふわりと浮かんだ六曲の金泊のススキに萩や桔梗がちらちら見え隠れ。まるで黄金のススキ野原をひとりで佇んでいるような錯覚にとらわれます。月は光悦好みの半月。

酒井抱一「夏秋草図屏風草稿」
東京国立博物館所蔵の屏風絵「夏秋草図屏風」の、いわゆる下絵。近年見つかったものだそうです。東博の常設展は諦めていた矢先、まさかここで下絵にお目にかかれるとは思いませんでした。

鈴木其一「秋草図屏風」
抱一の愛弟子だった其一の作。抱一のが屏風絵ならば、こちらは襖絵。たらし込みの技法を用いています。


秋草図は武蔵野や嵯峨野など、古来歌枕として知られた秋の名所のイメージが強い。

と、パンフレットにあります。中国から渡ってきた山水画に対してやまと絵と称される障屏画などの絵の殆どは、歌が元になっています。それは逆を言うと歌のない絵はないということです。
そう見てみると、尾形光琳没後に誕生した若冲、応挙など写生画の人たちが、いかに革新的だったかが伺えます。

目の前の皇居の風景はすっかり夜になっていました。
小雨降る夕刻の美術館はゆったりと時間が過ぎていくようでした。
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光悦好みの半月。画は俵屋宗達、書は本阿弥光悦。
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by tsukinoha | 2006-09-15 05:56 | 展覧会

257 秋の野に咲きたる花

旧暦の秋は今でいうと7〜9月あたり。

秋の七草は、万葉集で山上憶良が秋草を詠んだときに選定されたものです。

秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
萩の花 尾花(をばな) 葛花(くずはな) なでしこの花 をみなへし また藤袴(ふぢはかま)  朝顔の花



さて、春を代表する花が桜だとすると、秋は野に咲く秋草。
読んで字のごとく秋に花をつける草の総称。
花木(かぼく)に対する草花。

昨年、復元を終えた国宝源氏物語絵巻。
五島美術館所蔵の御法(みのり)の場面の庭先には、くっきりと秋草の姿が現れました。
命のはかなさを庭の萩についた露にたとえている場面です。
王朝文化で愛でられた秋草。ススキなどの秋草の生えるところは、田畑などの人の手が加わらない荒れ地。
その荒れ地に生える草花を愛でるという感覚は、日本人特有のものだと聞きました。
爛熟を迎えた後の退廃は、もののあわれという美意識につながるようです。


桃山ルネサンスで、秋草の意匠は蘇ります。
光悦、宗達、光琳、抱一ら、江戸琳派が描く秋草は、源氏物語や伊勢物語などの意匠に出現し、あるいは自然の光景を描いた秋草図になります。秋草の茂みの中に月が埋もれているようなダイナミックな武蔵野図は、狂言の装束のモチーフにも見られます。

光琳図案から。
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by tsukinoha | 2006-09-12 22:34 | 日本の伝統文化

256 その時歴史が動いた

1951(昭和26)年9月8日。
55年前の今日は、サンフランシスコ講和条約が締結された日です。
「その時歴史が動いた」では2週にわたって特集をしていました。番組のテーマ曲は谷川賢作(谷川俊太郎氏の御子息)。
シリーズ 日本独立 その光と影
〜吉田茂とサンフランシスコ講和条約〜

敗戦国としては異例な寛大な処置はどうやってなされたか。
その功罪とは何か。いろいろと考えさせられました。

「あなたがたが我々に与えた傷は、どんな黄金やこの世のものをもってしても、元に戻せるものではない。しかし、運命は我々を隣人にした。我々は共に平和に生きるほかはない。そのためには我々が許しと友情の手を差し伸べる前に、日本には心からの悔恨と生まれ変わる証拠を示して欲しい」
(フィリピン・ロムロ代表の演説)

52カ国中、49カ国が調印。しかし中国、朝鮮はこの会議に出席していなかった。
すべてはこの調印からはじまった戦後日本。

前編(再放送)
平成18年9月5日 (火)
16:05〜16:48 総合 全国 (福岡県のぞく)
平成18年9月8日 (金)
 2:00〜 2:43 (※木曜深夜) 総合 近畿地方のみ
平成18年9月8日 (金)
 2:45〜 3:28 (※木曜深夜) 総合 全国 (近畿のぞく)
後編(再放送)
平成18年9月15日 (金)
0:00〜 0:43 (※木曜深夜) 総合 近畿地方のみ
平成18年9月15日 (金)
1:35〜 2:18 (※木曜深夜) 総合 全国 (近畿のぞく)
平成18年9月26日 (火)
16:05〜16:48 総合 全国


余談ですが、今日はデザイナーの杉浦康平氏の誕生日でもありました。
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by tsukinoha | 2006-09-08 20:29 | 社会

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