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たまゆらデザイン日記

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227 先週、そして明日の美の巨人たち

このところ日中の仕事量がものすご多くて、その反動でか家に戻ると一気に疲れが。
集中力を養うため睡眠を優先(笑)にしていたので、更新の少ない6月となってしまいました。
さて、明日のTV東京「美の巨人たち」は「京都ルネサンス」と題した特集です。若冲、簫白、蕪村らも登場しそうですので見逃せませんね?

先週は葛飾北斎の『琉球八景』でした。
実際は琉球へ行ったことのない北斎。それが何故、琉球を描けたのか・・・その謎はホームページの「一枚の絵」にあります。行ったことのない江戸の世界へタイムスリップするみたいに、その事実は驚きですよ・・・。
この道21年。私もたくさんの行ったことのない国や地域などのレイアウトをしてきました。(って大家と比べるのもなんだかな〜)そういえば以前いた職場、総人数があまりいなかったのに、沖縄出身者が2名もいました。琉球、行きたいな〜。
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by tsukinoha | 2006-06-30 22:08 | 芸術全般

226 高島野十郎展

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三鷹美術ギャラリーで開催中の「高島野十郎展」に行ってきました。
チケットを購入する受付。娘の姿を見て「三鷹市内の小学校ですか?」と聞かれてたので「いいえ」と答えると、「市内の小学校で無料で配布されているものです。お母さんと楽しんで観てきてね」そのひとことと、いただいた三つ折りの小冊子、それだけでもはるばる出かけたかいがあるというものです。
開催中の「高島野十郎展」は、福岡県立美術館と三鷹美術ギャラリーの巡回で、没後30年、展覧会としてはじめて大々的に催されたものです。


一体、高島野十郎とは何者なのか・・・。
「世の画壇と全く無縁になる事が小生の研究と精進です」
生前、どの画壇にも属せず、ほぼ無名であったと思われる画家がその名を世間に知られるようになるのは、最初に福岡県立美術館で回顧展があった没後20年にあたる昭和61年。少し遡った昭和55年にひとつの作品が展覧会の壁に飾られていたのを現・福岡県立美術館の学芸員の方に「発見」されてからだそうです。そしてさらに時を隔てた今年、没後30年。


明治23年、福岡県久留米市に生まれる。本名は弥寿(やじゅ)。東京帝大農学部水産学科を首席で卒業。周囲の期待に反して画家の道を志す。昭和36年(70歳)に都心を離れて千葉県柏市の田園のなかにアトリエを建てる。昭和50年(85歳)野田市の老人ホームで息をひきとる。


ただただ、このような画家が現代に存在していたことに驚きます。
袈裟姿の自画像、静物、風景、日月、蝋燭の炎・・・野十郎はいっさいの画に解説をつけなかった。克明な写実に臨むことを「慈悲」であると説明していたそうです。それはまるで禅そのものへの問いかけのようでもあり(厳格な九州の旧家の影響/若き頃より仏門に親しんでいあた)、通り一遍の感想を受けつけさせないようななにかが潜むようです。そして、気がつくと強力な引力にすっかり引きずり込まされている・・・そんな気分にさせられ、すっかり打ちのめされてきました。


まずは入り口の自画像から圧倒されます。最後まで手離さなかったという水産学の研究のための魚介類の観察の精巧なスケッチも印象的でした。娘の気にいりは「お皿ガッシャ〜ン!」(割れた皿)だとのこと。
展示の後半は、柏で過ごした日々に描かれたという「月」「蝋燭」の連作が続きます。電気も水道もひかず、蝋燭の火で過ごしたという頃の(池には蓮も栽培していたそう)です。
暗い照明のなか10点ほどの蝋燭が照らされていました。そして最後は絶筆の睡蓮の花。蓮の花に抱かれて仏に帰依したと言うのでしょうか。
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by tsukinoha | 2006-06-28 22:58 | 展覧会

225 色占い

一週間に一度は占いの日、というわけではありませんが、こんなのもあります。
色占い

2色の組み合わせのボトルカラーが102種類。
生年月日による「あなたの本質の色」を診断してくれます。

私の場合をご紹介。

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新たなメッセージ
New Message
ヴァイオレット/ターコイズ
スピリットのハートレベルでのコミュニケーション

他人を教える才能に恵まれおり、その人のさまざまなレベルに合わせていくことができます。高潔でやりがいのある仕事に積極的に取り組み、有能な人と関わってもいけますし、世話焼きで他人からとても好かれる質をもっています。また他人に対しては、自己愛を目覚めさせることができるという、カリスマ性ももっています。
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実際の自分よりもかなりハイレベルなことを書かれているようで、というか・・・「誰?」って感じです(笑)。


さて、早いもので、今年も半年を過ぎようとしていますが、『色っぽい人々』を皮切りに色に関する書籍をぽつぽつと読んでいます。といいますか、どの書籍にもそれぞれの「色」があるなぁと感じながら・・・。


昨日は念願の「高島野十郎展」に行って参りました。
胸がいっぱいです。落ち着いてから感想書きたいと思います。
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by tsukinoha | 2006-06-25 06:56 | 随想

224 〈日本美術〉誕生

d0009581_532989.jpg〈日本美術〉誕生
近代日本の「ことば」と戦略
佐藤道信
講談社メチエ92
1996年



「どうして?」と根源をついてくる質問をする子どもに、「そう決まっているから」としか答えられない親がハタと考えるのに似ています。あたりまえのように使ってる「日本美術」ということばはどこからきたのか・・・。


〈日本美術〉誕生 目次

序 章 美術の言語と言説
第一章 「近代日本美術」とはなにか-----時間と空間の枠組
    1「日本」を考える
    2「美術」「日本美術」「日本美術史」
    3「近代」の範囲と意味
第二章 美術の文法
    1造語の方法論
    2「美術」はどう造語されたか
    3「絵画」の成立
    4「彫刻」か「彫塑」か
    5「工芸」という包括概念
第三章 ジャンルの形成-----「日本とは何か」
    1 森鴎外反駁す
    2 対概念としての「日本画」「西洋画」
    3「歴史画」
    4 人間と自然
    5「近代美術」と「現代美術」
第四章 美術の環境-----階層・行政・団体・コレクション
    1 美術と階層
    2 美術行政
    3 美術団体の誕生
    4 コレクションの社会学
終 章 「日本美術史」の創出




「日本美術」「日本美術史」という概念と歴史体系は近代にできあがった。「美術」「絵画」「歴史画」「風景画」「写実」・・・基本的な用語にジャンル用語、哲学的用語に至るまで、それらの美術用語の多くは西欧概念の移植・翻訳として成立したものである。(本文より抜粋)・・・私たちが普段あたりまえのように使っている美術言語はどこからきたのか、その疑問や謎が紐解かれます。

少なくとも本書に触れることで、容易に「絵画」とか「美術」とか言えなくなってしまう、またはそのひとつひとつのことばに今までにない重さを感じるようになる、そんな実感と、ことばとは暗黙の了解でイメージする力がある・・ということを意識する体験が待っているのではないかと思います。現在私たちの知る日本美術史とは近代に体系立ててつくられたものです。ここに江戸以前と以後との価値観がすっかり変わってしまったということも汲み取れるのではないでしょうか。

ことばによる美術史。
本書のような美術言語の根源をついた書籍が意外に少ないのではないかと思います。「ものを見る」ということが、目に写すことではないように、「日本美術」が誕生した背景を知ることで、ようやっと絵画のひとつひとつに一歩近づくことができる、そして何より絵画にいっそうの愛おしさを感じるようになることではないか、そんなふうに感じます。
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by tsukinoha | 2006-06-24 05:40 |

223 ワルツ・フォー・デビィ

d0009581_2232865.jpgワルツ・フォー・デビィ
ビル・エバンス






1 My Foolish Heart
2 Waltz for Debby
3 Detour Ahead
4 My Romance
5 Some Other Time
6 Milestones

ビル・エバンス(p)スコット・ラファロ(B)ポール・モチアン(Dr)

1961年6月25日、ニューヨークのクラブ、ビレッジバンガードでのライブ録音。珠玉のインタープレイと名高いアルバム。

音楽の対話、心の対話の相手としてビルにとってラファロ以上の人は現れなかったといっていいだろう。(LP解説より抜粋)

当時ビル・エバンス(1929〜80)が新しく結成したこのピアノ・トリオは、ピアノ主体でベースとドラムがバックでリズムを支えるという従来の形式を脱し、新しいピアノ・トリオのスタイルを生み出したと、後に言われるようになる。しかし残念なことに、ベースのラファロはこのギグの10日後に自動車事故でこの世を去ってしまう。



ある夕食時、「音楽を聴こう!」と、このアルバムをかける。
(いくらチック・コリアが好きでも、食事どきにはかけない)
すると娘がひとこと。
「レストランでお食事しているみたいね」
うちはファミレスも滅多に行かないが、レストランなどに連れて行ったことは無論ない。
この子にとってのこの音楽のイメージは、「レストランでお食事」だということと、「レストラン」というイメージがこういう音楽だということ、二重構造の感想がおもしろかった。
その日以来、我が家では、ビル・エバンスの『ワルツ・フォー・デビィ』はレストランの音楽になってしまった。
しかしこのライヴ録音のアルバム、客席でアルコールとつまみをいただくような気分にぴったりとはまる。ちょっとスリリングでロマンティック、な、感じ。
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by tsukinoha | 2006-06-19 22:06 | 音楽

222 あなたのマジカルパターン

一日中雨・・・でした。
今日は娘の遊ぶ相手(同じマンションの1年生のお友達)が来てくれたので、
親の方は助かりました(笑)。

さて、ネームカードというのを作成しました。
左下の方にあります。
いちおう名刺ということなんですが、たいしたこと書いていません(汗)。

ひやかしに私のマジカルパターン(運勢・性格判断)というのをのっけています。
「満月グループのびのび組の黒ひょう」でした。
あたっているかどうかは、まぁ、遊びなので・・・。
みなさんも、よかったらお試しになってください。
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by tsukinoha | 2006-06-18 18:08 | 随想

221 花鳥 愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉第3期

梅雨特有のどんよりした空模様。
しかし、ふだんデスクワークの私にとってはそんな空気さえもみずみずしく感じます。今月〜来月は製作物が大変多く(それ自体はありがたいことなんですが)、そんな時はやはり「風」が欲しくなります。短時間で密度の濃い若冲「動植綵絵」を嗜むことができるのは、なんて贅沢な時間なのでしょうか。しっとりと落ち着いた皇居の緑とともに身体に染み渡り、心身に新しい空気を吹き込むことがができたようです。
出かけた時間帯が良かったのか、前回2回よりは人の波が落ち着いていました。


今回は若冲が影響を受けた流れ・・14〜16世紀(元、明、清)の中国絵画とともに味わう「動植綵絵」です。なかでも若冲や応挙(円山)に影響大だったと言われる、沈南蘋(しんなんぴん)の絵巻があったのには、感動しました。当時の(江戸以前まで)ステイタスだった中国からの文人の流れ、「拙を尊ぶ」という思想、絵を通してしばし浸ってみました。


第3期の「動植綵絵」の展示は「梅花小禽図」「秋塘群雀図」「紫陽花双鶏図」「老松鸚鵡図」「芦鵞図」「蓮池遊魚図」の6点。小品ながらも、若冲の魅力溢れる作品群です。
中国からの花鳥画(この場合は思想ではなく、描かれたアイテムとしての意)の流れで追っていくと、若冲がいかに風変わりな花鳥画を描いていたのかがわかります。
d0009581_783070.jpg
コピー&ペーストを繰り返したような「秋塘群雀図」。意図的にでしょうか、白い雀が混じっています。これは若冲自身でしょうか・・・?社会の流れに沿ってはいるんだけれども、自分だけは何か違和感を持っているような・・・なんて勝手に解釈してしまいそうな絵です。
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老松に何故か鸚鵡。これもとっても不思議で魅惑的。
近所で野生化した緑のインコを見かけることがありますが、やっぱり日本の風景に異質な呈を醸し出しますが、同じ様な空気感です。老松という年季の入った保守的な景に、新参者が溶け込む様そのものを描いたように感じます。
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前回の「菊花流水図」といい、どこの空間から描いているのか?の「蓮池遊魚図」。泥沼から美しい花を咲かせる蓮花は、仏教の教えの象徴の花でもあります。江戸以前の絵画に描かれている植物は、ほぼ、背景に意味の暗示を含んでいるそうなのですが、それは意図して描くというよりは、自然とそうあるという風に言うべきでしょうか。咲き誇る花に、朽ちかけた葉、そのなかでいきいきと泳ぐ魚たち。輪廻さえ感じさせるようです。「今度『動植綵絵』は宗教画のように見えた」(by『日本数寄』松岡正剛)の発言が少しわかるような気がしました。
蓮の水墨の屏風絵や、襖の花弁図にと、若冲は蓮の花もよく描いています。
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by tsukinoha | 2006-06-17 07:14 | 展覧会

220 まんが人物館

このところ、娘は毎週学校の図書室から本を借りてきます。
先週、先々週と「かいけつゾロリ」のクイズの本が続いていたので、今日もその続きの巻なのかな〜と思って見てみると、コレでした。

小学館版 学習まんが人物館
自然を愛した「人間博物館」南方熊楠(みなかた・くまぐす)
監修:荒俣宏


ええ〜っ???なんで南方熊楠なんだろ〜???

先生に何か言われなかった?と聞くと、
「しゅみいいねだって」
真意はわからず。

早速その日の就寝時のお話本に決まり。
娘が途中で眠りについてしまったので、続きは目読で一気に読みました。
まんがで通読するととてもわかりやすいことに、あらためて気がつきます。


簡単に情報が手に入ってしう現代においては、熊楠少年のように旺盛な意欲を持ち、形にとらわれない根っからの学問好きの人物なんてもう生まれてこないんではないかと、ついつい思ってしまったりします。


1867年和歌山県で生まれる。
20代。ロンドンで存分の学問生活を送っていた熊楠は、ある諍いがもとで英国博物館を追放されてしまう。失意の帰国。故郷和歌山近くの熊野の地で隠遁のごとくの生活。粘菌類の研究に没頭。そんな熊楠は、日本ではじめて自然保護を訴えた人でもありました。多くの神社や木が取り壊されること、それは人のこころと自然を破壊してしまうことと、「神社合祀令(じんじゃごうしれい)」(1906年に発令)に反対し、民俗学の柳田国男に協力を依頼。また、雑誌「日本及日本人」に「神社合祀令反対意見」を発表。努力が実って1918年に「神社の合祀は国を破壊する」と議決。
1929年は昭和天皇にご進講をする。1941年74歳で没。

未だ愚かな人類を感じずにはいられない脱力感と、一方で、
勇気が沸いてくるような感覚を憶えます。
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by tsukinoha | 2006-06-14 22:19 |

219 七歳までは夢の中

d0009581_11153928.jpg七歳までは夢の中
松井るり子
学陽書房
1994年






子ども自身が最も必要としていることをしましょうという考え方の集大成が、シュタイナー教育である。そうである証拠に、日本の教育現場で活躍しておられる先生方の心打つ手記を読むと、シュタイナーとの共通点をたくさん見い出すことができる。

何が何でもシュタイナーじゃなくちゃ駄目だとか、かたくなになってしまうと、せっかくのよさが死んでしまう。

この本はシュタイナー教育の専門書ではなくて、それに励まされて言う「子どもをもっとかわいがろうよ」というメッセージの本です。

(以上本文より抜粋)



『ミュンヘンの小学生』(ブログ記事no.196参照)に感銘を受けたという著者。私がこの本を図書館で借りて読んだのは娘が1〜2歳の頃でしょうか。シュタイナー学校に行かずとも、シュタイナーにこだわらなくとも、親にできることがあるんだ!と目覚めさせてくれたように思います。
折しも娘が七歳を迎える今年、実家近くの古本屋で見つけたので、持ち帰ることにしました。(100円也)
さぁて、最初に読んだ4〜5年前から空白の数年のあいだ、我が家では実践できたことがあったでしょうか。というわけで、小見出しに沿っていくつか現況を自問自答。

歌を歌う
・クラシックにしたってBGMのように垂れ流しはよくないとのこと。(前記事の武満さんも、対談集で嘆いておられました)子どもといっしょに歌をうたう・・あまりできてませんね。いや、お風呂のなかではあるかな。
抱っこをする
・いまだ言われなくとも突進してくる。「あかちゃんねぇ」とつい言ってしまう。でも子どもの匂いっていい匂い。いつか抱っこできなくなると思うと親の方が寂しいかも。
習い事をさせない
・バレエに通っている。発表会に出させてあげられない(費用がめちゃくちゃかかる)ので、子どもながらに屈辱的ではないかと思い、親の方が「やめてもいいんだよ」というも、「やめない」と頑固(?)。
テレビを見せない
・極力自分が見ないようにするも、アニメなどは観せてしまいますね・・(今もアンパンマンを・・・)。ゲームは親がやらないのでしないものの、たまに“ラブ&ベリー”をやりたいとせがまれ渋々。
遊びのために・・手作りおもちゃ
・手作りおもちゃは作っていませんね〜。いっしょに絵を描くとか、そのくらい。おもちゃではありませんが、家にあまっていた生地でゴムの入っただけの簡単スカートを作ったり、給食用のランチョンマットを作ってあげたりすると、とっても喜んでくれます。(人が喜ぶ姿にのせられている私)
毎日昔話を語る
・寝付きがよくなったせいか、最近怠っている寝るまえのおはなし。読むときは「感情をおさえて淡々と」ただし、心をこめて。これは昨年の保育園の絵本の読み聞かせ講座の、福音館書店の編集者のお話(ブログ記事no.064参照)でも同じようにありました。
自然食をめざす
・うーん。これは難しい・・。気を使っているのは、朝はご飯とお味噌汁を基本にしているとか、インスタントや冷凍食品はあまり買わないことくらい。あとたまに一緒に手作りおやつを作る。


シュタイナー教育では、子どもの成長を7年をサイクルに考えられています。最初の7年は、乳歯が永久歯に変わる頃。娘も1本乳歯が抜け、大人の歯が顔を覗かせています。
そうこうしているうちに、タイムリミットが。

娘が七歳まであと43日。
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by tsukinoha | 2006-06-11 11:26 |

218 音楽

d0009581_21381258.jpg音楽
小澤征爾 武満徹
新潮社文庫
昭和59年(1984年)刊
(※昭和56年4月新潮社より刊行された)





展覧会に、先日は日曜美術館で過去の録画が放送されたりと、武満さんに触れる日々が続いたので、10年振りにこの文庫を開いてみました。

青字は本文より抜粋

少なくとも僕の場合はね、音楽をどうしてやったかを考えるとね、音楽に飢えていたからなんだよ。音楽が今のように自由にすぐ手に入らなかったことが、実際にはむしろ僕をかりたててきた。勿論それだけじゃないけど。今は簡単に音楽がすぐ聴こえてくる。音楽はやっぱり受け身になってやるもんじゃないよ。いつでも自分がするものだよね。聴くにしても。




武満:最初のデビュー曲の時だけど新宿で新聞買ってね、ちらっと見たら、きついこと書いてあるんだね。

小澤:何て書いてあったの。

武満:「音楽以前である」と一言。それで終わり。目の前が真っ暗になって・・・。目の前にちょうど映画館があったから、切符を買って中に入って、真っ暗い中で、一人すみっこで(笑)泣きたいだけ泣いてね、もうおれは音楽をやらなくていいと思ったの。




昭和59年といえば、私が10代最後の年。当時通学していたデザイン学校の概論の授業で唯一憶えていることがあって、「アンアンやノンノばかり見ていないで、マリ・クレールでも読みなさい」の先生の一言。そこでおそらくコラムかなにか連載を持たれていたのではなかったかと記憶していますが・・・武満徹という人を知りました。当時のマリ・クレール誌は、文学・音楽・絵画・演劇・シネマ・・・と、カルチャーマガジン誌として、とても充実した一冊でした。

『音楽』を、今読み終えてなお、現代の日本の音楽事情への批判や危惧、対談を通して、お二人の音楽への情熱と愛情をひしひしと感じます。実際にこの文庫を手にとったのは、武満氏が亡くなられた直後ですから約10年前。10年経った今、音楽を取り巻く状況ははたして良い方向へと変化していったのだろうかと思うわけですが、これは音楽に限ったことではないのですが、漠然と感じるのは、危惧と不安の方が大きいということです。しかし、そんな不安があればこその音楽や芸術(などと言われているものの)存在の意義もあろうかとも、思ったりもまたしています。

最後に武満さんのあとがきを添えます。

言葉によって「音楽」の核心に迫ることはかなり困難なことだ。現象的な事柄の分析や批判に話題が傾きがちだったのはそのためであるが、しかし、こうして語りあったことが、私たちの音楽も無言の空間の質を幾らか違ったものにするであろうことは確かだ。けれども、私たちの「音楽」は、この本の最終ページを繰った後に起こってくるのだ。
〜中略〜
私が設計した木造の帆船が小澤の舵で大洋に漕ぎ出し、そこに乗り合わせた多くのひとびとと共に「自由」の航海をする。(私たちの)この対談は、そのための貴重な準備であった。そして、この対談で私たちがあらためて確認したことは、未だに私たちが音楽への無限の渇望の中に在る、ということであった。
                      Feb.3,1981 武満徹



本書のなかで、小澤征爾氏は武満さんのみてくれを「火星人みたい」と言っているのですが、あながち間違いではないようで・・・武満徹氏は、どうも宇宙人的な気質をお持ちだったようです。
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by tsukinoha | 2006-06-08 21:49 |

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