「ほっ」と。キャンペーン

たまゆらデザイン日記

<   2005年 11月 ( 13 )   > この月の画像一覧




129 北斎展

展示作品総数500点。
これだけのもの(実際はそれ以上)を、ひとりの人物が手掛けると聞くだけでもすごい。観るともっとすごい。過去に訪ねた中でも、圧巻という印象を残した展覧会でした。(その分人の多さにも圧倒されましたが!)画号の遍歴(春朗期、宗利期、葛飾北斎期、戴斗期、為一期、画老狂人卍期)による6つのコンテンツは、時系列で北斎を追うのにわかりやすい内容でした。そしてそれらを俯瞰して初めて、『冨獄三十六景』が北斎の一部に過ぎないことがわかります。『和楽』11月号(ブログ記事102参照)にあった〈北斎=版画のイメージは『冨獄三十六景』の功罪〉という大胆な見出しが、なるほど頷けます。実は肉筆画が凄い北斎だからこそ、浮世絵版画も素晴らしいのだと。
ゲストキュレーターは、太田記念美術館の永田生慈氏。および浮世絵所蔵の多い千葉市美術館の小林忠氏、浅田秀剛氏の協力を迎えての開催は、浮世絵の時代の渦中にいた北斎を感じます。

しかるに北斎とは、版画ではディレクションのセンスを最大限発揮、肉筆では髪の毛の生え際の1本1本から、大胆な構図の古典ものまで、人物、風景、静物、漫画、何でも描けちゃうぞ〜の大天才だったということです。貪欲で器用な人物と想像してしまいますが、『冨獄三十六景』を制作したのは50代に入ってから。それを思うと地道にこつこつと積み上げる北斎像も見えてきます。戴斗期の『北斎漫画』の絵手本、為一期の『冨獄三十六景』『諸国瀧廻り』などの風景版画の時代を経て、80歳を過ぎると肉筆画制作に心中を注ぐ北斎。描くことへの執念でしょうか、描かずにはいられなかったのでしょうか。晩年の卍期に描かれた『弘法大師修法図』は圧巻。

「天才」北斎が今では消滅してしまった伝統工芸、大森の麦藁細工を題材にした浮世絵版画があったことに驚いたり、昔手がけた本の装丁に使用した相撲の版画を見つけて嬉しくなったりと、個人的な喜びの発見もありました。そして見どころのひとつは、『富獄三十六景』の見比べ。3種類の『凱風快晴』はギメ美術館、ケルン美術館の所蔵に比べ、版を重ねたという東京国立博物館所蔵のものは、見た目が全然違います。残念ながら期間限定の、もっとも優れているとされるメトロポリタン美術館の『神奈川沖浪裏』は、東京国立博物館所蔵の展示になっていました。これは図録で観ても色のメリハリ感が全然違います(この違いを表現する現代の印刷所も大変だったと思います)。
浮世絵版画はおよそ最初の百刷りが初版とされて、再版時に版元(職人)が変わったり、版木がつぶれてきたりと、色合いがかなり変化してしまいます。そして北斎などの日本の名品とされるものの多くが、海外にあるという事実を突き付けられたような感は今回の展覧会を通しても、やはり拭えません。

来春、数多くの日本の名品を備えた米国フリーア美術館(所蔵品はフリーア氏の遺言で門外不出とされる)では、北斎の肉筆画を基軸に再構成された北斎展が開催されるそうです。 《世界中で「グレートウェーブ」と呼ばれ、親しまれている『富獄三十六景/神奈川沖浪裏』は、モナリザにも匹敵する数少ない象徴的な芸術作品のひとつでしょう》フリーア美術館・館長ジュリアン・ラビー氏の図録の紹介文の言葉です。
新春2日からは江戸東京博物館でも『富獄三十六景』展が開催されるそうです。
この1年以内に私が知っている限り、5度目の『富獄三十六景』が披露されるというわけです。(…「功罪」という言葉が頭をよぎります)
d0009581_21325598.jpg
チラシです。濃い江戸紫は文字がよみずらいと高齢者の方々に指摘されそうです(ふだんの自分の仕事だわ)。ノープロブレムだったとは、ある意味すごい。
d0009581_21331274.jpg
総頁数400ページの分厚い図録は束が32ミリ。斤量の軽い用紙を使用しているとあって、見た目よりは重くありません。右が表1(最晩年の90歳の作品『扇面散図』)、左が表4(『富獄三十六景/神奈川沖浪裏』)。上記のポスター・チラシとは別の制作者が関わっているようなので、デザインの統一はされておりません。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-27 22:11 | 展覧会

128 東京国立博物館

11月某日。
はずせない用事で半日は仕事を休まなくてはいけない事情があったのですが、おもいきってもう半日、自分のための時間を取る…つまり仕事は休むことにして、栄養補給に当てることにしました。連日のPC集中作業のせいで、乾いた心に潤いが欲しかった(笑)。めざすは北斎展。

平成館での開催の特別展に足を運ぶのは2度目。
数年前の雪舟展もすごい人だったので、覚悟してのぞみましたが、10時前なのに(開館は9時半)すでに人だかりが。何せ、浮世絵版画などの小さな仕事の多い北斎なので、壁に人がひっついています。
う〜む、これは潤おいを求めるには厳しい状況?
人ゴミの隙間を縫うように、あるところではじっくりと、後は流して観て回るという慌ただしい観覧にふみきりました。というのも、何年か振りの東博だったので、入り口正面のどーんと構えた本館(昭和13年に開館した建物は、関東大震災で破損した旧本館に変わり建築されたもので、「帝冠様式」の代表作)に立ち寄らずにはいられなかったのです。

1階は日本美術の分野別展示。2階は「日本美術の流れ」(古代から近代までの代表的な日本の伝統美を俯瞰して眺めることができますが、季節に沿って展示内容が変わるようです)。ちょうど狩野秀頼作、国宝『観楓図屏風(かんぷうずびょうぶ)』(室町〜安土桃山時代)の展示期間で、こちらの方はゆっくりと味わうことができました。
春の桜(花見)に対して、秋は紅葉・楓(観楓)。この観楓図は洛北の高尾を描いたもの。楓の下で宴遊を楽しむ人々のそばには、一服一銭の茶を売るお茶屋のおじさんが登場しています。茶・花・能の芸能文化が花開いた時代の屏風絵と思うと、たいへんに興味深いものがあります。
その他に、「禅と水墨画」(雪舟、能阿弥などの名品が並ぶ)「屏風と襖」「能と歌舞伎」「浮世絵」。室内の空間、静けさといったら…なんて贅沢な空間なのでしょうか!(北斎展がうらめしいです)建物奥の窓からのぞむ中庭の眺めも素晴らしい。
特集陳列の「東京国立博物館コレクションの保存と修理」も気になりました。館内では見学ツアーもあるそうです。(本館の建物の広〜い地下(半地下という感じ)は修復の現場になっているのです。)
そして本館地下にあるミュージアムショップを覗くのも楽しみのひとつ。一般書店では手に入らない、他の美術館の図録などもあり充実しています。『和楽』の北斎特集号、『芸術新潮』の光琳の特集号もしっかりと置いてありました。絵葉書、メモ、バック、ミニチュア屏風などのお土産も見ているだけで楽しい。

約2時間ほどのスピード観覧を終えた後『観楓図屏風』のごとく、本館前の黄金に色づいた大きなユリノキの下のベンチで、持参したおむすびを広げ、余韻にひたるひとときを楽しみました。(これが燕子花の咲くほとりだったら、八橋の下りになるのかしら?)
ああ、今回も東洋館に、法隆寺宝物館にも寄れなかった〜。東京国立博物館をちゃんと回ろうと思ったら1日あっても足りません。上野にある博物館、美術館、全部回ったら何日かかるんだろう…。そう思いつつ後ろ髪を引かれながら次の用事に向かうのでした。

d0009581_5235553.jpg『観楓図屏風』の絵の友の会案内。1年で10,000円。お得です!
(注:館のまわし者ではありません)
・京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館の平常展も合わせて何度でも
・特別展を計12回分の無料券
・ミュージアムショップの割引
・イベント情報
・有料のイベントチケットの割引
・ニュース・情報提供
・素敵なプレゼント(ミュージアムショップのメモ帳とか)

[PR]



by tsukinoha | 2005-11-26 05:26 | 展覧会

127 ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ

d0009581_5415925.jpg
ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ
(CD:1996年/LP:1972年)
イーストウエスト・ジャパン




1 アイ
2 きみの友だち
3 ベイビー・アイ・ラヴ・ユー
4 ビー・リアル・ブラック・フォー・ミー
5 ふられた気持ち
6 フォー・オール・ウィ・ノウ
7 恋人は何処に
8 愛が芽生えて
9 カム・イェ・ディスコンソレイト
10 ムード


ソウルとは何たるか…がこのアルバムを聴くことでわかるような気がする。
ボーカルというこれ以上ない美しい楽器が、静かに深く晩秋を温めてくれる。
「良いものは言葉なんか通じなくとも伝わるのよ」
美輪(明広)さん流に言えば、そんな感じ。

時代の流れに敏感に反応してきた、黒人たちの世界観の表明として存在してきたアメリカの黒人文化(特にジャズ)が、70年代を境に、もっとナチュラルに、率直に(自分たち黒人のことを)表現しようという意識が芽生えはじめてきた。(LP発売当時(1972年)の解説より要約)
ダニー・ハサウェイとロバータ・フラックの共通する世界観はそこにあった。大物シンガーであり、同志でもある2人の見事なコラボレーションが堪能できる作品である。

残念ながらダニー・ハサウェイは33歳の若さで旅立ってしまう。
一方、ロバータ・フラックは今年4年振りの来日を果たす。1940年2月10日生まれ。
う〜ん、ステージで酔ってみたい…。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-24 05:47 | 音楽

126 酉の市を過ぎて

職場が新宿・花園神社の近くだった頃、休憩兼ねてくり出したことがありました。
都内でしたら他に浅草・鷲神社などが有名でしょうか。
二の酉の昨日、地元の小さな大森・鷲神社もこの日ばかりは大賑わい。
神社から駅に続く沿道は屋台でいっぱいになります。保育園のお迎えの帰り道、興奮気味の娘と連れ立って歩くのも、今日が最後とちょっぴり感傷的になります。

日曜日は浮世絵版画の摺師の実演を見に、再び大田区立郷土博物館に足を運びました。
開始時刻を少し回った頃に着くと、すでに職人さん(40代くらい?)をぐるりと人(観客は職人さんよりもひとまわり上といった感じ)が取り囲んでいました。子連れの(じっとしていられない!)私は、じっくり見ることは諦め、再び展覧会「特別展・高橋松亭(弘明)版画の世界」の方を回ります。ある作品に目がとまりました。

d0009581_6313922.jpg
監督 高橋弘明
葛飾応為作、無題
仮題「吉原青楼夜景の図」


図録に説明はないし、解説をメモしなかったので、記憶で書きますが…
葛飾応為(かつしかおうい)とは北斎の娘。
北斎からいつも「オーイ!」と呼ばれていたことから、画号にした、とありました。
知りませんでした!
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-22 06:33 | 展覧会

125 あまのしげる

d0009581_1446268.jpgあまのしげる
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
(2004年3月31日)





1 かくれんぼ鬼は誰
2 電信柱 帰り道
3 淋しがり屋かごろつきか
4 もう一度 逢えたら
5 恋は終わりのない追いかけっこ
6 歌は世につれ
7 野良猫夜話
8 黄昏に語りて
9 追想の詩
10 コンサートが始まる (ボーナストラック)
11 チグハグな夜 (ボーナストラック)
12 優しさがわかりかけて (ボーナストラック)
13 スターダストテレフォンライン (ボーナストラック)


高校時代もそうだったように、中学時代は部活を中心に日常が回っていたように思う。
部のボスでもあった友人のひとりは、CHAR(チャー)の大ファンで、私がNSPが好きだと知ると「CHARは天野さんにすっごいお世話になって〜」などと、ことあるごとにまるで自分の身内のことのように話すのだった。
ファンは当然のことながら知る人ぞ知る、CHARはデビュー前に、NSPのコンサートツアーのバックを務めていたのだ。デビュー曲『ネイビー・ブルー』の詞は天野滋によるもの。デビューアルバムにもいくつか詞を提供している。今年の7月1日に天野さんが逝かれた直後のCHARのライブでは、ステージ終了後にNSPの曲が流れていた…CHAR流の追悼の思い。業界関係者を集めて開かれた9月の「天野滋を送る会」で、CHARは、今年3月12日(事実上最後のコンサートになってしまった)以来誰も触っていなかった天野さんのギブソン・ハミングバードを鳴らし、自身のデビューアルバムに収録されている『空模様のかげんが悪くなる前に』を歌ったということをNSPのメンバー平賀氏のメッセージで知った。



この4月に、新作『Radio Days』『水のせいだったんです』とともに、昨年再版された1976年発表の『あまのしげる』を入手したのだが、実は新作よりもこちらばかりを聴いていた。なんというか、懐かしさもさることながら、耳にすっごく新鮮だった。CHARをはじめ、高中正義、芳野藤丸、後藤次利、佐藤準…参加ミュージシャンとアレンジの影響と効果が大きいのだろうか。70年代を彷佛させるロックのリズムに、か細いビブラートのボーカル。「チョコレートの後のみかんがすっぱい」なんて、朴訥(失礼)とも言えそうな歌詞に、独特の天野ワールドは広がる。
後の名曲『歌は世につれ』は、レコーディングの寸前に出来上がった最後の曲だという。今ひとつ気にいらなかったらしく、NSPのアルバム『八月の空へ翔べ』でアレンジを変えて歌い直している。それでも不満が残るようなことを当時のエッセイでつぶやいていたものの、ステージのラストで良く歌われた曲だ。NSPの3月12日のステージのラストも『歌は世につれ』だった。



実家に置きっぱなしのLPがある、しかも家ではレコードを聴けるという環境にも関わらず、わざわざこのCDを入手した理由はボーナストラックがあるからだった。後にNSPのアルバム『瞬(まばたき)』に収録された『スターダストテレフォンライン』以外の3曲はアルバム未発表曲。
「音質は決して良いものではないが、おまけがついていた方が良いのではないか」
1976年のソロアルバム『あまのしげる』から6年経っての初めてのソロコンサートの模様。CDで『あまのしげる』に続けて聴くと、6年の歳月の距離を感じる。田舎の匂いを振り切った天野滋の、大人のラブソングが聞こえる。
そしてこの収録された1982年草月会館でのコンサートの客席に10代だった私がいた。
「君の中に住む少女と女にとまどう」
語りかけるような歌詞。
天野さんの詞の住人たちの気持ちが理解できるような歳を過ぎていたんだな。そんなことを感じていた折、ふいに天野さんは旅立ってしまった。
「過去の作品を聴くのは少しの懐かしさを除くとあまり気持ちのいいものではない。欠点が目立つのだ」
ソロアルバムを再リリースすることへの思いが語られているコメントは、こう結ばれている。
「後はこのアルバムを手にした君が、どう感じ受け止めてくれるか、それだけだ」
記された日付は、2004年1月29日。病の宣告を受けた時期ではないかと憶測する。

合掌。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-19 14:56 | 音楽

124 古事記

d0009581_22373261.jpg

神社本庁・監修
伊沢やすと・画
全国神社保育団体連合会 発行

今宵寝る前の一冊。
絵本というか、マンガです。中綴じ表紙を含めて22頁。(紙取りが8の倍数ではないので無駄がでるのではと余計なことを思いつつ)気軽に読めます。
2年前に両親の(念願の)お伊勢参りの際、売店で見かけて孫の土産にと、もらった絵本。「おばあちゃんが読んでもおもしろいわ〜」と、70過ぎの母は言ってました。しかし、私が見てもおもしろいです。

因幡の白兎、海幸山幸など、物語として断片的に記憶されている古事記。何故これらをもう少しちゃんと、小学校などで教えてくれなかったんだろう?と素朴な疑問を持ちつつ、黄泉の国から追っ手を振払って戻ってくる際に、最後にイザナギノミコトが投げたのは何故桃の実だったのか、毎年決まった時期に訪れるヤマタノオロチとは、川の氾濫を意味していたとか、コノハナサクヤヒメは桜を指している…などなど、日本の意匠の源流と深く関与しているに違いない謎解きに、興味はつきません。

子どもは子どもなりに、鉾で海水をぐるぐるかき回すと陸ができたとか、クシナダヒメが櫛に変身してしまうのとかが単純におもしろいらしいです。
超常現象の元祖ですね。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-16 22:40 |

123 学校公開日

日曜日は娘の就学予定の地域の小学校の学校公開日でした。
例によって学校公開日って何だろう?くらいのノリで出かけます。
何しろ小学校なんて20数年振り…。
受付は保護者の方、地域の方とという風に分けられ、自分の小学校時代の記憶のクラスの授業参観という枠を超えて、保護者と地域の住民が丸1日自由に学校内の様子を見学できるというものでした。いただいたプリントには1時間目から6間目まで授業の内容が記されています。給食もありますが一年生は午前中でおしまい。4年生以上は給食、掃除の後、6時間目まであります。特別授業として、2時間目は全校児童の防犯教室と避難訓練。
で、実際は1年生(約30名で2クラス)の1時間目の授業を見学した程度で終わりました(笑)。

ここの小学校も、私たちが子どもの頃は、やはり5〜6クラスはあったそうです。当時は1クラス40名以上はいたでしょう。それでもこの近辺は元社宅、元工場跡などの住宅建設がよく見られるので、それなりに子どもの姿があります。たまに帰る実家(松戸の北東部)の地域の方が閑散としていて、おそろしく子どもが減っている印象を受けます。このあたりは田んぼや畑だったところを宅地にしたのが、ある一時期に集中しているので、世代が交代してしまったんですね。
近年になって、それを見越した多世代型の街づくりがはじまっているのを見かけます。にしても、この実現が可能なのは都市近郊部のみではないかと…。田舎の過疎化は進む…。芋づる式に疑問や問題が頭をかすめて埒があかなくなってしまいます。

なにはともあれ、はつらつとした元気な小学生の姿に、ほっとする自分がいました。
娘は早く小学校へ行きたくてたまらない様子でした。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-15 06:00 | 子ども

122 エプロンおじさんのこと

約1年前。
保育園で絵本の読み聞かせ講座があるというので、特に予備知識があるわけでもなく、エプロンおじさんって何者?という感じで、そのときはなんとなく参加したのです。ところが、予期せぬその中身のすばらしさに私は感動しました。感動を言葉で伝えるということは、ほんとうに難しいのですが、記憶があたたかいうちに記しておかなければと思いました。
その日は大人向けの講座でしたが、たまたま土曜保育で園にいた子どもたちを集めて読み聞かせをする、という即興をやってくだり、そんな現場をみる、という不思議な体験からはじまりました。

職場の日報宛の所感に書いた走り書きが残っていたので、記します。



先週末は保育園主催の講習会で、絵本の読みきかせで全国をまわっているというエプロンおじさんこと、別院清さんの講演があった。絵本の営業のかたわら、小、中、高と、荒れた学校を選んで?よみきかせをするそうだ。
とても充実したお話を伺うことができ、2時間があっというまだった。
自分の言葉に置き換えると、とても陳腐なものになってしまうのだが、手短に言うと(絵)本を読んでも読まなくても人生はおくれる。しかし、本を通していかに味わい深い人生をおくることができるかというものだった。
別院さんは特別学歴があるわけではない。終戦を大陸で迎えた戦争孤児。引き取られた親戚の両親も亡くなり、2度目の養子先の牛乳屋を引き継いだが、40才で転職。現職に就いたという。
エプロンをつけたただのおじさんではない。数少ない私の今まで出会ったどの講演よりも説得力のある話は本当に素晴らしかった。

(2004年11月2日)


ご興味のある方はエプロンおじさんのページをどうぞ。エプロンのひみつも語られています。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-13 06:33 | 子ども

121 あさえとちいさいいもうと

d0009581_647813.jpg
あさえとちいさいいもうと
筒井頼子・作
林 明子・絵
福音館書店
1979年




娘が『はじめてのおつかい』と一緒に借りてきたものです。
いもうとの面倒をみるおねえちゃんのはなし。
さて、この絵本にもしかけがあります。
街角に『はじめてのおつかい』に出ていたおばさんとおじさんがいたり、公園にはおつかいに行ったあの女の子がいるのです。作画の林さんのあそびごころでしょうか。

ところで2册の絵本の細工のことをすでに知っていた娘。
「先生が教えてくれたの?」と聞いても、首を横に振ります。
私は福音館の編集者に教えていただきましたが(笑)。

真相はさておき、数年前には保育園の夏祭りのウルトラマンを怖がっていたのが、今年はすすんで前に出ていって握手。後から「もう怖くないの?」と聞くと、
「だってね、うしろにファスナーがあってね、にんげんがはいってるんだよ」と言う始末です。
6歳くらいになると、いろんな場面で「目覚めてくる」ようです。

世阿弥は『風姿花伝』で「(稽古は)七歳をもて初めとす」(数えでだから、ちょうど6歳くらいでしょう)と言っていますし、シュタイナーも、7歳までは幻想のなかで生きていると指摘しています。

そんなことを思いがけないときに実感するものです。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-12 06:56 |

120 はじめてのおつかい

d0009581_5564854.jpg
はじめてのおつかい
筒井頼子・作
林 明子・絵
福音館書店
1976年




保育園の図書室から娘が借りてきました。
園では4歳児クラス以上になると、子どもが自由に本を借りることができるようになっています。

この絵本は読み聞かせ講座(ブログ記事064)で紹介された一冊でもありましたが、某TV局の「はじめてのおつかい」はこの絵本が元になっているということを、このときはじめて知りました。

あかちゃんの世話やご飯の支度で忙しいお母さんは、ひとりで行けるかしらと、5さいのみいちゃんに牛乳を買ってきてと頼みます。おつかいに行って帰ってくるまでのどきどき感が、あたたかい絵に溢れているお話です。絵本とは「行きて帰りしものがたり」であることのテキストとしてお話していただいたこの絵本を、ふたたび思いだしながら読みました。

さて、この絵本にはしかけがいっぱいあります。まず舞台になっている絵本に描かれた風景は、昭和40年代の東京・自由が丘の某所の実際の風景。お店に辿りつくころに描かれた道端の掲示板に、さがしていますの猫の貼紙と電話番号が書いてあります。この猫は本文中の街の俯瞰図のなかに小さくあって、この猫を見つけた子どもがこの電話番号に電話してきたということがあったそう。この電話番号、実は当時の編集部の番号だったとか!

さて、おつかいに行くまでのどきどき感は子どもだけのものではありません。
集合ポストから新聞をとってくる係のうちの娘。
行き交う車が気になりますが、そろそろ次のステップへ行かせないと…。
[PR]



by tsukinoha | 2005-11-11 06:03 |

日々のよろずデザイン観
by tsukinoha
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新のトラックバック

試合で勝つための“8つの..
from オリンピック総合コーチが教え..
もう中学生 最新情報 -..
from Nowpie (なうぴー) ..
ペニーオークション詐欺
from ペニーオークション詐欺
保育士の求人
from 保育士の求人
ルービンシュタインのシュ..
from クラシック音楽ぶった斬り
皇室の名宝ー日本美の華 ..
from Art & Bell by ..
バドミントン練習 バドミ..
from バドミントン練習 バドミント..
道路地図
from 道路地図
ミネラルウォーター
from ミネラルウォーター
阿修羅さま
from 裕子ねーんね

お知らせ

記事と関連のないコメントやトラックバックは予告なく削除させていただく場合があります。予めご了承ください。

検索

ブログジャンル

画像一覧