たまゆらデザイン日記

カテゴリ:展覧会( 83 )




300 特別展江戸城(江戸東京博物館その1)

d0009581_2034923.jpg

この冬の休み中はこれといって外出していなかったので、休みの最後にと8日は今年最初の物見遊山・・・江戸東京博物館へ行ってきました。約4年ぶりです。ちょうど前日からお隣の両国国技館で大相撲初場所がはじまっており“おすもうさん”の姿に娘も嬉しそう。


まずは特別展江戸城へ。
築城550年を記念して、江戸城の全貌を明らかにする初の「江戸城展」と言うことです。見所は幻の天守閣や、江戸城の本丸御殿を再現したCG(上映12分)でしょうか。絢爛豪華な城内や有名な“松の廊下”。なかなかおもしろかったです(2回見てしまいました)。映像を観た後で天守閣の模型など再度見直すと、さらに感慨深く浸れるものがあります。6畳以上はあろうかと思われる大広間の平面図も圧巻でした。その他にも江戸名所図屏風(出光美術館所蔵)や江戸図屏風(国立歴史民族博物館所蔵)などの名品も揃っています。開館から30分経った時間ですでに混雑しており、要所要所を見て歩くるような展覧会でしたが、思いがけず楽しめました。おすすめです。3月4日まで。

第1章 江戸城のなりたち
第2章 天下人と城
第3章 徳川将軍の城
第4章 登城
第5章 儀礼 政治の舞台
第6章 大奥と将軍の暮らし
[PR]



by tsukinoha | 2007-01-10 20:36 | 展覧会

290 一木に込められた祈り

d0009581_21551042.jpg
会期ギリギリになって駆け込むようにして東京国立博物館を訪れました。「特別展 一木に込められた祈り 仏像」を見るためです。前回訪れたプライス展から気がつけばもう半年も経っています。時間はつくるものとて、あるべきところにおられる仏さまたちが博物館の一角に集められるということに、やはりひっかかりを持ってしまい足を運ぶのを遅らせてしまいました。私のような俗人はこのような機会でしかお目にかかることができないとわかっていながらです。

「明治のすさまじい廃仏毀釈を通ってのこり得た仏像」(『仏像に想う/上下巻』1974年/梅原猛+岡部伊都子/講談社現代新書より)岡部さんの言葉を胸に抱きつつ会場時間とともに入館します。すでに入り口付近のちいさな壇像の周辺は人だかりができていました。そこを一気につっきって導かれるように中程の十一面観音菩薩(滋賀・向源寺)の前へと進みました。

息を呑むような圧倒的な存在感に、このお方にお会いするために来たんだという確信のようなものがありました。でもそれは私の自我の幻想なのかもしれない・・・いつのまにか涙が溢れ出ました。いろいろの思いを巡らせた一瞬後、ただひたすらに「有り難い」という気持ちに満たされていました。美しいそのお姿。今にも蓮台の前へと進み出でそうな足の運びは真横からはっきりと見てとれました。菩薩さまは今まさに救済に向かわれようとしているのです。

よく聞かれるように、造形を造るために木を彫ったのではなく、もともと木におられる仏を彫りおこしたのだということ・・・実物を前にするとそれが実感できるようでした。木目も荒々しい木の様相そのままに残されているお姿のものも多い。身体と木とが一体化しています。仏が導き出された木のなかにはご神木であったものも数あると聞きます。仏に姿を変えた木の魂。過去日本においてはまさに神と仏は一体であったのです。名もなき工(たくみ)たちは一体どんな想いで刻んだのでしょう。

薄暗い博物館のなか照明で浮かび上がった仏たちの影に見入りました。
見えないところに「たましい」は確かにあるのだ・・ふとそんな思いがよぎりました。
[PR]



by tsukinoha | 2006-12-07 21:59 | 展覧会

267 広重 二大街道浮世絵展

d0009581_21594986.jpg
えー、前の記事で東海道という前置きをいたしましたが、千葉市美術館で「広重 二大街道浮世絵展」が10/9まで開催中です。二大街道とは東海道、木曾街道です。
広重の東海道といえば、私などはやっぱりお茶づけです。いつも「庄野」の雨の風景のカードばかりが当たって不満だったのを思い出します。
現在は東海道本線沿い(我が家からほど近い馬込の高架橋を走る東海道新幹線に、第一京浜を走る箱根駅伝)に居住していることもあり、今や東海道は第二の故郷の道でしょうか!?ちなみに第一の故郷の道は水戸街道です。第三が奥州街道〜?

千葉までは品川から総武線の快速が直通なので行こうと思えばすぐ行けますが、やはり遠い・・・。余談になりますが、千葉へは県内の実家にいたときも遠いイメージでした。常磐線と総武線は私にとってはまったく別ものです。「(試合で)千葉に行ってくる!」って言うと、遠征に行く感じでした(笑)。

近年行方がわかった唯一現存する旅行絵日記「甲州日記写生帳」が、110年振りに里帰りというニュースをたまたま観ていて、これは行かねば!と思っていました。実物は手のひらサイズの小ささ。スケッチ手帳ですからね・・・でも、ささ〜っと描かれた筆さばきが見事!

街道絵というと「東海道五十三次」の方が一般には知られていると思いますが、初摺の全作品揃っての展覧は殆どなかったという「木曾街道六十九次」も見所です。初摺とは、木版が作られて、最初に摺られたものを言いますが、この時点の配色等は、絵師の指定に忠実なのだそうです。

d0009581_22305171.jpg

同美術館で2003年に開催の「ホノルル美術館蔵浮世絵風景画名品展」の図録表紙絵がこの「宮ノ越」でした(画像右/今回の図録より)。この時の展覧会を訪れた時は、ちょうどボランティアの方のギャラリートークの時間だったので、説明を聞きながら一緒に見て回りました。かなり緊張されつつも、熱心に話をしてくださった案内の年輩の男性は、この日がギャラリートークのデビューの日だとおっしゃつていました。最後は拍手喝采。そんな心温まる千葉市美術館がますます好きになりました。

同時展示に「江戸近郊八景」「近江八景」がありますが、次は「富士三十六景」をぜひ見てみたいものです。北斎の「冨嶽三十六景」ではありません。広重の「富士三十六景」です。
一枚一枚に解説の入った図録が丁寧で良くできています。行った事のない土地に浮世絵版画を見て思いを馳せていた、江戸人のごとく、遠くを見つめてしまいます。

追記
下記の地域に巡回するそうです。
佐川美術館(滋賀)2007年 4/21〜5/27
郡山市立美術館(福島)2007年 9/15〜10/21
[PR]



by tsukinoha | 2006-10-03 22:23 | 展覧会

259 国宝 風神雷神図屏風

先週明けの月曜の早朝、東京地方は今年一番の雷雨に見舞われました。
雷鳴が轟く中、公開されたばかりの「風神雷神図屏風」のことを思っていました。
d0009581_649756.jpg

俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、三つの風神雷神図屏風が66年振りに一堂に展示。
それは貴重な、少々大袈裟に言うと、歴史的なある瞬間に立ち会うことになるのです。

でも、本心は俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が目当て。
これまで幾度となく、豪華本で見てきたあの名品に出会いたい一心でした。
休日はとんでもなく混雑して見るどころではない・・との情報を得ていた折、運良く仕事帰りに立ち寄る時間が出来たのです。神さまの思し召しをありがたく受けることにしました。出光美術館じたい3年振りくらいでしょうか。近くにあってもなかなか行かないというか行けないと言いますか、時間が思うままにならないからこそ、行けるとなった時のパワーは昔よりも強くなった気がします。おっと話がそれてしまいましたが、何はともあれ、小雨降るある夕刻に実現を果たします。

胸の奥から込み上げてくる感情と同時に拝みたくなるような気持ちにかられ、涙が出そうになります。久し振りに何かに取り憑かれた感覚がしました。言葉を変えると、絵を通して別の感動が訪れると言ったらよいでしょうか。これは絵に限ったことではありませんし、もちろん国宝に限ったことでもありません。昔の人の感覚で言うならばありがたくて、平伏したくなるような絵や仏像を前にしたときの気持ちなのかもしれません。

さて、宗達の「風神雷神図屏風」を偶然発見したのは、なんと光琳でした。落款も何もないこの屏風絵を、まごうことなき宗達の作であるとした光琳の、宗達に対する敬愛の眼差しが汲み取れます。配置が微妙にずれているものの、ピタリと一致する風神雷神の輪郭。光琳は宗達の絵をトレースしたと明らかになったそうなのです。そして一方の抱一は、宗達の作を知らずに、つまり光琳のオリジナルと思い込み、模写をしたそうです。

いずれにしても、尊敬する先人の模写をするというのは、かつてのならわしのようなものです。
これは『花伝書』を著した、世阿弥の芸事は物真似であるとする・・に通ずるものがあります。または写しという手法であり、日本文化を読み解くひとつの鍵が潜んでいることが伺えます。

恐れながら、経験の浅い20代の頃の私がデザインやレイアウトで悩んでいる時分、当時の師匠から、「まずやってみたいものの真似をしなさい、そしてもっと良いものを見なさい」と良く言われました。これは大変です。やってみたいものが、まずわからない、何が良いものかもわからない。そこから修行が始まるわけです。真似をすることで、修得するものがあります。またそのような行為が抑制した自己から現れるその人自身のものが滲み出るのです。作為が見られないこと、それが本来の個性というものなのではないでしょうか。もっともその窮地に達することは並大抵のことではないことを記しておきたいと思います。
[PR]



by tsukinoha | 2006-09-17 06:50 | 展覧会

258 秋草図の遺伝子

いつもは学童保育から帰宅する娘を気にかけながら駆け足で家路に着く日々ですが、およそ1年振りくらいに仕事帰りに美術館に立ち寄るということをしました。
俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が目的でした。冊子や豪華本でこれまで幾度となく見てきた風神雷神との対面で胸がいっぱいになるのですが、その他の展示にも驚くました。その予想外の展開で、さらに胸がいっぱいいっぱいになります。


琳派芸術の継承と創造
  梅を愛でる
  秋草図の遺伝子
  燕子花図の変容
  受け継がれる琳派

という章立てで、宗達、光琳、抱一らの屏風絵やらがどど〜んとありました。
梅も燕子花もすばらしいのですが、今の季節、やはり秋草がピタリと来ます。ちょうど前の晩に秋草のことを思っていたばかりだったので、何かが引き寄せたという感じです。

俵屋宗達「月に秋草図屏風」
照明にふわりと浮かんだ六曲の金泊のススキに萩や桔梗がちらちら見え隠れ。まるで黄金のススキ野原をひとりで佇んでいるような錯覚にとらわれます。月は光悦好みの半月。

酒井抱一「夏秋草図屏風草稿」
東京国立博物館所蔵の屏風絵「夏秋草図屏風」の、いわゆる下絵。近年見つかったものだそうです。東博の常設展は諦めていた矢先、まさかここで下絵にお目にかかれるとは思いませんでした。

鈴木其一「秋草図屏風」
抱一の愛弟子だった其一の作。抱一のが屏風絵ならば、こちらは襖絵。たらし込みの技法を用いています。


秋草図は武蔵野や嵯峨野など、古来歌枕として知られた秋の名所のイメージが強い。

と、パンフレットにあります。中国から渡ってきた山水画に対してやまと絵と称される障屏画などの絵の殆どは、歌が元になっています。それは逆を言うと歌のない絵はないということです。
そう見てみると、尾形光琳没後に誕生した若冲、応挙など写生画の人たちが、いかに革新的だったかが伺えます。

目の前の皇居の風景はすっかり夜になっていました。
小雨降る夕刻の美術館はゆったりと時間が過ぎていくようでした。
d0009581_5483923.jpg
光悦好みの半月。画は俵屋宗達、書は本阿弥光悦。
[PR]



by tsukinoha | 2006-09-15 05:56 | 展覧会

255 花鳥 愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉第5期

d0009581_2182221.jpg
今度、今度と思いながら、やっとというか、とうとうこの展覧会の図録を入手しました。若冲に関する著作が増え続けるなかで、動植綵絵と同時に展示してあった絵の数々を今一度記録に留めておきたい気持ちが膨らみました。動植綵絵はというと、観音開きの全30幅と、部分図が掲載されていますが、印刷の状態がかなり良く、30幅全体図を広げると圧巻です。ちなみに1〜30まで作品番号がふられています。この図録とは別に動植綵絵の図録があります(未入手)。
展示の見どころは若冲と円山応挙・森徹山の孔雀図との対比。個人的に嬉しかったのは長崎派の柳沢其園の絵を見ることができたことです。
動植綵絵の展示は以下の順でした。

老松孔雀図
芙蓉双鶏図
薔薇小禽図
群魚図(鮹)
群魚図(鯛)
紅葉小禽図


さて・・・
僭越ながらではありますが、今回の展示を通して、若冲の絵から感じられる特徴を3つ上げてみたいと思います。

まずは、ベストショットを描く(「芙蓉双鶏図」)。d0009581_2192034.jpg
若冲はなんといっても鶏です。庭先に飼っていた鶏を観察しつくした目線で描く鶏は、狩野派のマニュアル的な花鳥(花鳥というテーマを辿るとお手本は中国)とは全く違うものです。絵を描くにあたってその光景のベストショットを描いている・・つまり絵を描く段で絵師自身がすでにトリミングしてしまっている、瞬間を捉えた絵です。どこでも切り取ることができる狩野派の花鳥画に比べて、若冲らの写生画と呼ばれる時代の絵になってくると非常にトリミングしずらい。それはそうと、この雄鶏のポーズはすごい(画像だとわかりずらいですが、両足のあいだから頭を尻に向けて出しています)。ほんとにこんな格好していたのでしょうね。



次に、想像の景色(「群魚図(鮹)」)。d0009581_2110354.jpg
ありえない光景を描いてしまうということ。これは当時としては画期的な思いつきだったのではないかと思います。天下太平の江戸時代、博物学が盛んになった下地や背景があったからこそ生まれた絵でしょう。当然というば当然ですが、魚はもとより、貝にしても、虫にしても若冲が実際にすべて見て描いたものではないと言われています。ここに、行ったことのない琉球を(模写して)描いた北斎と、共通するものを感じます。鮹の足先に子鮹がしがみついているのがなんともご愛嬌。洒落っ気のある若冲を想像してしまいます。





最後に、神は細部に宿る(「紅葉小禽図」)。d0009581_21121044.jpg
今回は娘を連れて行きましたが、今回のお気に入りがコレでした。レースのような羽の孔雀や、ももいろの薔薇よりも、紅葉がいいなんて、子どものくせに渋い奴です。もっとも紅葉が花のように見えたのかもしれません。
真っ赤なモミジが彩る景色にただ感動して一所懸命描いたのでしょうか。ともするとただの紅葉の景色がそうならないのは、ギリギリのところの枝ぶりのライン。際にこだわるあたりがひとつのポイント。そしてもうひとつは、ひとつひとつ丁寧に描かれた葉。手描きですから同じようで全部違う。よく知られた言葉の「樹を見て森を見ず」・・細部ばかり見て全体を見ない悪い例えは、若冲の絵を見ていると別の目線があるということがよくわかります。神は細部に宿る・・ひとつひとつが全体を輝かせるのです。もっともこの感覚は日本画全体の流れに言えることなのかもしれません。


さて、動植綵絵、いよいよ来年は相国寺に里帰りです。およそ117年振りですか。
廃仏毀釈の波から宮内庁に渡った動植綵絵一同が、若冲が寄進した相国寺に帰るのです。ほんとうに散り散りにならないで良かった。良かった・・と、思わず手を合わせたくなります。
京都のみなさんも、遠方のみなさんも、またとない機会です。是非お出かけくださいね。
そして行けない人の分も味わってくださいませね〜。
[PR]



by tsukinoha | 2006-09-06 21:28 | 展覧会

245 大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水展

暑中お見舞い申し上げます。
酷暑だったり大雨だったり忙しい天気が続きます。

先週の日曜日のことです。
ポケモンスタンプラリー(JR東日本の策略・笑)やりたいという娘につきあうも、このためだけに出かけるって、なんだか納得行かない私・・。大森駅から1駅ずつ北上し、新橋駅まできたところで、「ちょっと涼みに行こう!」と銀座線に乗り換えて渋谷方面へ。途中の赤坂見附で下車して川瀬巴水を観ようという魂胆。場所はニューオータニ美術館。どうみても場にそぐあない母子2人、ホテル内の美術館へ・・・。

比較的余裕の館内。目の前までじりじりと寄っては、すばらしい版画技術を堪能。郷愁をさそう風景の数々の裏には、素晴らしい版画技術の粋が込められています。そしてもともとは行灯のもとで楽しんだという浮世絵版画、接近しないとそのよさを十分には味わえません。雨、雪、夕暮れ、月、鮮やかな色の濃淡といい、線の細かさといい、ためいきもの・・・。見れば見るほどオフセット印刷(現代の一般的な印刷方法)がうらめしくなってきてしまいます。

d0009581_6461831.jpg
2006年7月25日〜9月3日まで(月曜休館)
前期(13日まで)後期(15日から)で、大幅な展示変えがあるそうです。

昨年の「高橋松亭版画の世界展」で見ることができた「版画に生きる川瀬巴水」のビデオ上映もされていました。前にも見たよねと言いつつ、娘は何故か熱心に版画ができあがる行程の映像を見ていました。おみやげ(自分用)の絵はがきも慎重に選んでいました。

しかし、ちょっとのはずが、結局のんびりと過ごてしまいました。美術館を後にして渋谷駅に出る頃に夕方4時を回ってしまいスタンプラリーは終了。娘にさんざん悪態をつかれたことは言うまでもありません・・・。


以下参考までに、川瀬巴水に関する以前のブログ記事です。
美の巨人たち 川瀬巴水
浮世絵版画の近代

d0009581_6463912.jpg思えば巴水に関する画集や資料的なものが手元になかったので、今回は図録も入手。あっちもこっちも代表作の「馬込の月」(後期)が顔です。この作品の画題の場所は、環七と第二京浜が交差する近くですが、今やこんな面影もなし!大田区立郷土博物館の文士村のコーナーの一角にこの版画が制作された昭和初期の風景写真がありますが、第二京浜が通る以前の馬込は田園がつづく田舎だったことがよ〜くわかります。
図録にはいくつか解説が寄せられていましたが、やはり時代の変遷とともに歩んできた版画の道程を綴った、版元の三代目・渡邊庄三郎氏の手記はリアルで興味深いものがあります。今回の展示品のほとんどは、渡邊木版美術画舗所蔵。

以上、私が父から聞いたこと、版画制作や商売の上で感じたことを中心に、取りとめもないことを長々と書き連ねたが、私は絵画商・版元であり、研究者ではない。したがって文章の書き方の基本を心得ておらず、どうか不備の点は平にご容赦いただきたい。(解説より抜粋)
文末の言葉に、浮世絵版画への愛情が滲み出ているではありませんか?
[PR]



by tsukinoha | 2006-08-12 06:54 | 展覧会

241 熊田千佳慕展と山名文夫と熊田精華展

d0009581_2210498.jpg
目黒区美術館で開催中の「熊田千佳慕(くまだちかぼ)展」と「山名文夫(やまなあやお)と熊田精華(くまだせいか)展」に出かけました。画像はA3二つ折りのチラシです。

熊田千佳慕さんは、昆虫や植物の絵や絵本の原画などを手掛ける、今年95歳を迎えた現役の美術家です。
今年の年頭に豊富を語る熊田さんの姿をたまたまテレビで観ていて、そのパワー、エネルギーに、ただただ恐れ入りましたが、はじめて原画を目の当たりにして、その美しさにほれぼれとしてきました。
熊田さんの絵は色鉛筆(と水彩)で描かれています。(確か、黒は使用されていない)
『ファーブル昆虫記の虫たち』『みつばちマーヤの冒険』『ふしぎの国のアリス』などなど、微細に書き込まれた動植物たちの表現、まばゆい色彩は、原画だけが放つ美しさがあります。で・・・今回は印刷物になった図録は購入しませんでした。逆に若冲のときは購入しなかったポストカードを5枚セット2種を手にしました。比較的忠実に再現しています。ほんものはもっと色の発色が鮮やかです。
フェアリーシリーズより、「水辺」「キノコの村」。
d0009581_22135864.jpgd0009581_22142676.jpg
絵本が置いてあって自由に読めるスペースや、おえかきコーナーがありました。同行した娘は、展示を見る時間より、おえかきコーナーにいる時間の方が長かったです。


同時展示の山名文夫(デザイナー時代、千佳慕さんが師事されていた)と熊田精華(千佳慕さんのお兄さん)展では、書簡を中心とした作品展示でした。
山名文夫はアールデコ全盛期の時代に資生堂の意匠部で活躍したイラストレーターであり、デザイナーであります。(ちなみに私が昔通っていた専門学校の初代校長)
さて、展示品を見ていると、お二方がそれぞれ自分用の原稿用紙を持っておられていたことを発見。(すみっこにネームが印刷されていたので)
で、昔、原稿用紙のデザインをしたことを思い出しました(唐突ですが・・)。今から13年前くらいのことです。原稿が書きやすい編集者用と写植指定がしやすいデザイナー用と2種類。5ワード、5行単位で印(ドット)を入れたと思います。廉価なアイボリー系の用紙に、茶系1C(1色)。すみっこにはロゴマークを入れて・・・社内用でした。

以前目黒区美術館を訪れたのもちょうど13年前。「ピリエ」という美術館ニュースが、写植版下の時代からDPTに変わったであろうに、ほぼフォーマットを変えずに存続して置かれていたのに驚きました。
何でもかんでもリニューアルしてしまうのがよしとされるような風潮に、流されていないものがあるのです・・・(それともリニューアルという考えが及ばないとか、あまり発行されていないからとか、予算がとれないとか、著名なデザイナーに手掛けてもらったフォーマットだからとか、他に理由が・・・!?)! 左・NO.81992年/右・NO.22 2006年。
d0009581_22191945.jpg


出かけた当日は目黒区のお祭りで、美術館周辺にいろいろな催し物が点在していました。
野外テントに設けられた、タイルのはめ絵のワークショップに娘が挑戦。
15センチ四方の木枠に砕いてバラバラになった色のタイルを、好きに組み合わせて、最後に石膏で固めてもらい、タイルの抽象画のできあがり。得意になって翌日の学童保育へ持参し、先生に見せたようでした。
[PR]



by tsukinoha | 2006-08-01 22:26 | 展覧会

238 花鳥 愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉第4期

宮内庁三の丸尚蔵館での展覧会。早いもので、もう4期に入りました。
上野のプライスコレクションとのかけもちはさすがにこたえるので、日を改めて出かけました。しかしながら、同日かけもちされている方がちらほら。それとなく聞こえてくる会話や、カタログ持っているのですぐわかります。


動植綵絵の今回の展示の導入に同じく若冲作「旭日鳳凰図」が待ち構えておりました。
これは・・・見て度胆を抜かれる一枚です!!!あでやかでなまめかしい2対の極彩色の鳳凰。でも決して下品でない。そんな絵を・・・想像してみてください!!
展示解説にの中に
若冲は元なる図像を自分なりに消化し変容させる感性にすぐれていた。
とありました。鳳凰・・・この想像上の瑞鳥は、江戸時代以前の調度品などで随所に見ることができますが、これらは奈良時代までに入ってきた大陸文化(中国)の流れの一貫です。羽にはクジャクのような五色の紋があり、声は五音にかない気高いとされるそうです。

画像の方は動植綵絵の「老松白鳳図」。

d0009581_20551186.jpg梧桐(ごどう)に住み、竹の実を食べ、醴泉(れいせん)の水を飲むとされた・・・という鳳凰。描かれたものには必ずといって言いほど、桐がセットになっています。といってもこの絵、松の方が堂々としていますね。それになんと言ってもハート型の羽文様に釘付け。ちなみに「旭日鳳凰図」では、桐ではなく、あしらわれているのは、竹。
今回の動植綵絵の6点は以下の通り。
  老松白鳳図
  向日葵雄鶏図
  大鶏雌雄図
  野鶏図
  池辺群虫図
  貝甲図


d0009581_2055483.jpgなんだなんだ〜これは〜〜〜!と思うのが、「池辺群虫図」。
かわいいじゃありませんか。カエルさんが。とおもいきや(この画像ではわかりずらいのですが)おたまじゃくしがうじゃうじゃいます。
さながら昆虫図鑑と言うか、水辺のいきもの博覧会。思いついちゃったんでしょうかね。こんな構図・・・。
カブトムシ、カタツムリ、カマキリ、バッタ、アリ、などなど、63種にもおよぶ生物が描かれています。







d0009581_2056494.jpgそして極めつけは「貝甲図」。その数146種!

自分なりに消化し変容させる感性にすぐれていた。

確かにそうでしょう。書籍「目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』」の解説によると、「奄美や沖縄でしか採集できない熱帯産のものも含まれる」のだそうです。
実際にありえない光景を描くというそのこころは・・・?
若冲流博物誌は、博物学が盛んになってきたこの時代を反映しつつも、流派を踏襲しない独自の方法を実験したとも言えるかもしれません。“写実”を越えた“写実”とでも言ったらいいでしょうか。単なる旦那の道楽(京の青物問屋のボンボンだった)を遥かに越えているように感じます。


さて、今期のその他の展示ですが、前回の中国絵画の流れとはうって変わって、ほぼ同時期の江戸時代の流れ。
「東都時名画帖」(1804〜18)に、博物誌では若冲の「貝甲図」に合わせてか「奇貝図譜」(1775)というのがありました。そして見どころのひとつが、江戸琳派として名高い酒井抱一(1761〜1828)の「十二ヶ月四季花鳥図」。プライスコレクションの展示(「十二ヶ月花鳥図」)に合わせたのでしょうか。
余談ですが手元に平成15年に日本郵政公社設立記念に発売された酒井抱一画「四季花鳥図」(東京国立博物館蔵)の記念切手があります。切手なので画像アップできませんが、トリミングされた10カットの花鳥の80円切手シート。コレクターでなくとも、さすがにこれは使用できず(笑)。
[PR]



by tsukinoha | 2006-07-21 21:28 | 展覧会

237 親と子のギャラリー

話題は東京国立博物館のプライスコレクションの続きから・・・です。
d0009581_6232984.jpgd0009581_6234951.jpg
チラシ(左)と
屏風仕立てのパンフレット(右)。








「あなたならどう見る?ジャパニーズアート」という別枠のコーナーを設けて、図録にもきちんと掲載されているプライスコレクションのうち、8点が常設展の料金のままで見ることができる!というすごい企画です。ひとつひとつに絵の解説とプライスさんの感想がファイリングされていて、ルーペもあったり、ちょこっとお座敷もあったりと、小さなスペースながらも超贅沢な空間です。
展示のなかに、未完成のまま残されている珍しい屏風絵があります。森徹山作「松に鶴図屏風」(江戸・19世紀)これも画集かなにかで見たことありましたが、ほんものにドキドキ・・・日本画家の松井冬子さん曰く、「書きかけのものが存在するというのは(途中のものでも見せられるのは)、絵描に力量があると言う事・・・(6月25日放送「新・日曜美術館」甲斐庄楠音の回にて)」
さて、ひとつめのワークショップはあなたがこの絵を完成させるとしたらどんな色をつけますか?と、「松に鶴図屏風」の輪郭が印刷された用紙と色鉛筆が置いてあり、塗り絵ができるようになっていました。娘は早速塗り絵を。あなたがつけたタイトルを書く欄にこのように書いていました。
   まっかなゆうひのつる(左隻)
   あさのひかりにあたるき(右隻)


d0009581_624610.jpg








本館でもこういうことやってますから、行ってみてくださいね〜。と言われて行ったのは、本館1階の14室。「親と子のギャラリー」博物館の動物園と題されたワークショップ。(画像はパンフです)動物をモチーフにした縄文時代の土製品から水滴、現代の白磁までがずらりと展示してあります。これらを用意されたポストカード(無地や檻、虫眼鏡があらかじめ印刷されたもの)にスケッチしてオリジナルカードを作ろう!という企画で、気に入った作品をスケッチして、色を塗って・・・と、ここでも30分以上過ごしました。

でもって、これだけじゃないんです。

休憩(正面のベンチで持参したおむすびでお昼)の後は、本館の入り口でたまたま配られていたクイズ形式のたんけんマップ(作成:東京国立博物館生涯学習ボランティアとなっています)に沿って、再び平成館、本館、東洋館、法隆寺宝物館とぐるりと回ることに。疲れているんじゃないか〜?と思いきや、娘は何故かやる気満々。
クイズの中身は、例えばミイラの棺を包んでいる布の種類は次のうちどれでしょう?のクイズに挑戦するために実際に東洋館の展示を見に行く・・・というわけです。本館ではちょうど尾形光琳の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」が問題で出ていました。

結局この日は9時30分から午後2時30分近くまで博物館で過ごしました。でもですよ・・・混雑したアミューズメントスポット行くより全然お得でおもしろい!と思いませんか?(もちろん自分の趣味っていうのもあるけれど・・・)なんたって東京国立博物館は高校生以下は無料です。(特別展は中学生以下無料)
東京国立博物館は充実のミュージアムショップも楽しいし(はにわの馬なんかのぬいぐるみはすごいですけどね)、迷ったときの夏休みのお出かけにイチオシ!


追記(7月17日)
本館の常設展は夏の趣です。
本館2階の浮世絵のコーナーには7月7日記事アップの
広重の「七夕祭」もありました。
[PR]



by tsukinoha | 2006-07-16 06:34 | 展覧会

日々のよろずデザイン観
by tsukinoha
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

最新のトラックバック

試合で勝つための“8つの..
from オリンピック総合コーチが教え..
もう中学生 最新情報 -..
from Nowpie (なうぴー) ..
ペニーオークション詐欺
from ペニーオークション詐欺
保育士の求人
from 保育士の求人
ルービンシュタインのシュ..
from クラシック音楽ぶった斬り
皇室の名宝ー日本美の華 ..
from Art & Bell by ..
バドミントン練習 バドミ..
from バドミントン練習 バドミント..
道路地図
from 道路地図
ミネラルウォーター
from ミネラルウォーター
阿修羅さま
from 裕子ねーんね

お知らせ

記事と関連のないコメントやトラックバックは予告なく削除させていただく場合があります。予めご了承ください。

検索

ブログジャンル

画像一覧