たまゆらデザイン日記

カテゴリ:展覧会( 83 )




384 静岡県立美術館のこと

トイレの弁座に腰掛けた時のポーズは「考える人」がいい。
これから静岡県立美術館へ行こうとしていた日の朝、たまたま観たテレビ(ローカル番組かなぁ?)でそんなことをやっていました。頭を支え、かかとを上げる前傾姿勢が大・小の通りをよくするそうなので、以来気にしてみていますが、ほんとに良くなっているような気が・・・みなさま実践を。

2005年に政令指定都市となった静岡市ですが、葵区、駿河区、清水区(旧静岡市と合併した元清水市全域・・清水といえば「ちびまる子ちゃん」ですね)の3区しかないそうでちょっと驚きました。最大面積を持つ葵区なんて面積の殆どが人の住んでいない山だとか。美術館は最少面積の駿河区にあたり、同じ区内の妹の家からは車で10分くらい。丘の上の眺めの良い風光明媚の気持ちの良い所。静岡市の中心部をすぐ近くまで山々が囲んでいる地形がよくわかります。

近年では伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」を所蔵していることで知られている静岡県立美術館ですが、やはりここの目玉はロダン館にあるのではないかと思います。オープンしてまもない頃に出かけた以来の、およそ13年振りの訪問となりました。ガラス屋根の明るく広々とした空間にロダンの彫刻が点在しています。フラッシュなしだったら撮影もOK(後日画像アップ予定?)。でも体操している人、いませんでしたヨ。

「大正モダン」「ロダン館」に加え、所蔵品展の「戦前の日本の美術」を観て歩いてからミュージアムショップに寄りました。残念ながら大正モダン展の「海辺の二少女」の絵ハガキはなく・・・娘はルノアールの【イレ−ヌ・カーン・ダンヴェール嬢】を選んでいました。
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by tsukinoha | 2007-09-30 18:16 | 展覧会

383 大正シック展(静岡県立美術館)

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春から夏にかけて東京都庭園美術館で開催だった展覧会の巡回展が静岡県立美術館で開催中。たまたま訪れたらこの会期だったという巡り合わせの妙もまた楽し。

画像は同じ素材を使用して庭園美術館とは微妙にデザインを変えたチラシ。この中村大三郎の『婦女』(1930)はおよそ70年ぶりの里帰りだそうですが、それにしても江戸期の浮世絵版画といい、ホノルル美術館の所蔵品に日本ものが豊富なのに驚かされます。

娘は華風の『海辺の二少女』(1920)の作品の前で立ち止まっていました。海辺で洋装と和装のふたりの少女が腰を下ろしている風景。そばにはコスモスが揺れています。女の子がいかにも好きそうな甘〜い雰囲気の大きな絵・・・私も惹かれました(爆)。
コスモスは今でこそ「秋桜」などと書かれ私たちが慣れ親しんでいる花ですが、明治時代に渡来したこの外来種、当時はさぞかしモダンな花だったのでは・・・。そして花言葉は〈少女の純真〉〈乙女の純潔〉。そんな視点でこの作品を観てみると、コスモスの花は少女たちの象徴でもあり、時代の象徴でもあるんだな〜と思ってしまいます。そんな推測をしながら観るのも、展覧会の醍醐味のひとつ。
(コスモス・・・メキシコの高原地帯が原産地。18世紀末にスペイン・マドリードの植物園に送られ、そこでコスモスと名付けられた。キク科)

こうして絵画や工芸を通して大正期を観てみると、この時代にしかない独特の空気を感じます。ハート文様の女性の羽織など、斬新なきもののデザインにも度胆を抜かれました。固定観念に縛られない豊かな発想・・・とでも言うのでしょうか。でもこれは〈文様や絵画を着る〉という、世界でも例を見ない過去の下地があったからこそとも感じます。

庭園美術館のあの空間で観ていたらもっと違っていたんだろうな・・・とついつい思ってしまいましたが、都内だけでなく巡回展があることに意義を感じました。
会期中のイベントには、フロアレクチャー、シルクスクリーンの実技講座、子ども鑑賞講座、お煎茶サービスなどが用意されていて、美術館のがんばっている様子を伺い知ります。


静岡県立美術館についてはまた後日追記します。
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by tsukinoha | 2007-09-28 05:56 | 展覧会

380 川端龍子名作展-2

大田区の川端龍子記念館では今年企画の常設展の2段目が開催中。

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龍子が生み出す碧の世界
7月1日(日)〜12月21日(金)
大人200円
小人100円

碧の世界というか・・・水を感じさせる画が多かったです。
上記チラシに掲載の「渦潮」が入口近くにで〜んと迎えてくれます。阿波の鳴門を取材し描いた71歳の時の名作。白波に龍が浮かび上がります。
一緒に行く!と着いてきた娘。受付の方から小学生用にと、ルビのふった龍子の生い立ちからの略歴を辿ったテキストをいただきました。但し、書いてある内容を理解してふむふむと思うのは大人かも!?
そしてお客は私たちの他に約1名のみ(汗)。
なんて贅沢な空間!(汗)。

「買うつもり」(記事378参照)で観ることはやはりなかったのですが、娘が自分のお土産用に選んだハガキはこちら。実物はもっと碧が色鮮やかで大型の作品「龍巻」。
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そういえば展覧会に行くとショップに必ず立ち寄ってハガキを真剣に選んでいます。そうかこれが「買うつもり」につながっているのかもしれない・・・。

関連記事
347 川端龍子名作展
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by tsukinoha | 2007-09-20 20:59 | 展覧会

379 予告:特別展 川瀬巴水

娘がお友達の家へお泊まりに行く(徒歩1分)ので手みやげにと久々にクッキーを焼きました。おかしづくりとなるとふだんあまりお手伝いしない娘もはりきります。バター・卵・砂糖などのオーソドックスな材料に、ラムエッセンス(間違えて買った。ほんとはバニラエッセンス)シナモンを混ぜた小麦粉とベーキングパウダーをふるい、砕いたコーンフレークを加え、天板にスプーン2個遣って生地をポトポト落すだけのカンタンクッキー。レシピではチョコチップと刻んだナッツ類が入る事になっていますが、ドライフルーツを入れてもいいかも。と、これはケンタロウさんのレシピ(昔の通販カタログに掲載してあったのを切りぬいてとっておいた)。ザクザク感とシナモンの香りが好評。気をよくして翌日はあまった材料でバナナケーキを作りました。砂糖をあまり使用せず完熟バナナの自然の甘さがポイント。耐熱ガラスを使い、しっとり焼き上がりました。

と、おかしづくりに精を出す休日ですが、ここから本題。
久し振りに大田区立郷土博物館に行ってみると、文士村散策の方々と思われる観光客で賑わっていました。さて、私の目的は来月から開催の「川瀬巴水 没後50年展」の情報仕入れ。かろうじてポスターは貼ってあったものの、チラシはありません。案内のモノクロテキストがあるだけと、かなり地味な印象。大田区の中央・南馬込に住み、活動の拠点とし、晩年を池上で迎えた巴水。ここは区民として宣伝しておきましょう。

特別展 川瀬巴水
旅情詩人と呼ばれた版画絵師 没後50年

10月21日(日)〜12月2日(日)
前期:10月21日(日)〜11月11日(日)
後期:11月13日(火)〜12月2日(日)
休刊日:月曜
入館料:無料
開館時間:午前9時〜午後5時

画業を回顧し版画製作の重要な拠点となった大田区との関わりも紹介します。
(案内テキストより)

●会期中の催し
講演会「川瀬巴水 作品の魅力と渡邊版画店に伝わる逸話」
講師:渡邊章一郎氏(株式会社渡邊木版美術画鋪)
11月18日(日)午後2時から当日先着80名

映画会「版画に生きる 川瀬巴水」
10月21日(日)、11月11日(日)、23日(金・祝)、25日(日)、12月2日(日)
いずれも午後2時から当日先着80名

博物館講座「浮世絵入門」
初歩からわかりやすく解説する4回連続講座
講師:新藤茂氏(国際浮世絵学会常任理事 編集委員委員長)
10月27日(土)、10月28日(日)、11月3日(土・祝)、4日(日)
午後2時から4回参加可能な方 10月11日(木)午前9時30分から電話受付03-3777-1070

交通
・都営浅草線西馬込駅より徒歩7分
・JR大森駅北口(山王側)東急バス荏原町駅入口行き(4番のりば)「万福寺」下車徒歩2分
など

公式ホームページにアクセス方法・マップがあります。
馬込の全体地図はこちらの散策マップがわかりやすいです。
馬込文士村へようこそ

これまでの関連記事
117 浮世絵版画の近代
156 美の巨人たち-川瀬巴水
165 馬込文士村の時代
245 大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水展
349 ある日の風景 龍子記念館から郷土博物館
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by tsukinoha | 2007-09-17 07:11 | 展覧会

365 金比羅宮 書院の美

d0009581_7293930.jpg金比羅宮 書院の美 応挙・若冲・岸岱
東京藝術大学美術館

待ち焦がれていた展覧会に行ってきました。
(1週間経ってしましましたが)

実際の書院を再現したということが売りでもある今回の展示。金比羅さんからやってきた現物を交えて、インクジェットで出力した(キャノンが全面協力)バーチャルな絵画をはめ込んで書院に見立てた構成が功を奏し、会場は刺激的でした。展覧会はやはりモノだけでなく、どう演出するかで大きく変わってきます。

まずは岸岱の蘭陵王(衝立)がお出迎え。これだけで(私は)気分が一気に盛り上がります。
つづいて展示室手前の書院障壁画の円山応挙の空間。他を寄せつけない圧倒的な存在感。七賢の間、山水の間、虎の間と、隙を与えぬ落ち着きを感じさせる空間はさすが大御所。
娘はさっそくお気に入りをみつけて襖絵の前に突っ立ってにらめっこ。やっぱりコレか〜とついつい微笑ましくなる『遊虎図』(下左)円山応挙。おみやげ用に選んだハガキもこれです。一緒に『芦丹頂図』(下右)も。小学生がシブイ選択。印刷もなかなかよい出来です。
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そして奥書院へ。ここはもともと伊藤若冲画による間だったそうですが、四つのうち三つは、描かれてから80年経った頃には痛みが激しく(ほんとか〜!?)大改修が行われたとのこと。その時申し出た岸岱によっての作画になっています。岸岱はもともとあった若冲のテーマを踏襲したということですが、『群蝶図』など若冲がどんな構図で描いていたかと思うと・・・とは言っても岸岱もなかなか素敵でした。個人的には菖蒲の間が印象に残りました。

そして今回のメインイベント若冲の花丸図。その空間は濃厚で息がつまるんじゃないだろうかと思うくらいです。が、実際、ほんとうにその場に行ったらどうなんでしょう。違う感覚が待ち受けているのかもしれません。さて、そのひとつ蓮の花に注目するわけですが、同じく並んだ牡丹の花の色味が濃厚だったのに対し蓮の花は色が薄めでした。同じ画面でも微妙に描き分けていたんだ〜と発見。過去に思いを巡らしながらお別れを言ってきました。

最後の部屋は応挙の表書院の背面に位置するという二部屋。
邨田丹陵(むらたたんりょう)明治時代に描かれた『富士山図』『富士巻狩図』。端正な雰囲気の画面に、後味のよいデザートをいただいたような感覚でした。

そしてトリに『富士山杉樹図屏風』伝狩野永徳
力強い垂直の杉と円錐の富士の対比が特徴的な屏風絵。解説に、狩野永徳と伝えられているが、どちらかというとこの表現は長谷川等伯に近いとあります。遠くから見た時、てっきり長谷川一派かと思った私。これには納得です。
図録も見応えたっぷりです。
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右から表1(応挙『遊虎図』“水呑みの虎”に岸岱『水辺花鳥図』の鳥が・・・)、表4(若冲『花丸図』)


d0009581_7413733.jpgそれにしても秋に公開という本家・金比羅宮で観ることができたなら・・・(左のチラシ10/1〜12/2、12/29〜1/31)。当初は若冲の花丸図だけが念頭にあったものの、やはり金比羅さん全体を見てみたい・・・
と、ここから余談になりますが、実は金比羅さんへは、私、行ったことがあるのでした!
何もわけわからない時代・・・高校の修学旅行の時立ち寄ったのですが、長い石段しか憶えておりません。同県の回遊式庭園で有名な栗林公園にも行きましたが、ほんと高校生にはもったいなかった〜。今思えば贅沢なコース(広島・原爆ドーム→松山城・道後温泉→金比羅さん・栗林公園→後楽園・倉敷)だったと思うのですが、本土と四国の交通はフェリーでしたので、移動時間が多く、京都5日間自由行動主体だった前年度の上級生をうらやましく思ったものでした。
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by tsukinoha | 2007-07-29 07:46 | 展覧会

364 思い出の展覧会

夏休みに入ったので(子どもが、です)早速ある展覧会へ出かけたのですが、
感想が後回しになっています。

さて、こちらでこのような記事を拝読後、思考が過去の時空へと遡ってしまい、せっかくなので記録として留めておこうと思いました。ほとんど自分の思い出に浸っているわけですが・・・これでもほんの一部です。芋づる式にあれこれ思いを巡らしてしまいます。


*もう一度観たい展覧会
「シルクロードのかざり 中央アジアとコーカサスの美術」
千葉市美術館
1998年 11月
工芸品が主体の展覧会。織物品などのまばゆい色彩と質感に圧倒されました。会場のディスプレイや照明もとてもよかったのを記憶しています。印刷物の落差にがっかりして図録は購入しなかったのですが、今思えば惜しい事しました。余談ですがまだ脊椎動物への進化以前の娘がお腹ににいました。

「曾我簫白展」
千葉市美術館
998年3月
曾我簫白に注目していた頃のことですから記憶にしっかりと残る展覧会でした。当時は美術史家・辻惟雄氏が館長をされていた頃です。ボストン美術館所蔵の『商山四晧図屏風』を観ることができて幸せでした(展示室の情景まで憶えています)。このときはしっかり図録を入手しました。


*曾我簫白つながりで・・・
「奇想天外江戸絵画展」
板橋区立美術館
1997年 秋
この時はじめて目の当たりにしたあのサイケな『群仙図屏風』。
なにしろこんな地味な美術館に!?と思うほど豪華なラインナップだったのです。長澤芦雪の『白象黒牛図屏風』も(プライスコレクションだったか?この作品は確か2通りあるはずなので)このときはじめて実物を観ました。残念なのはやはり図録が手元にないことです。

*写真展では・・・
「アンセル・アダムス展」
原美術館
80年代後半
アンセル・アダムスが捉えたアメリカの大自然に圧倒されました。原美術館のシチュエーションともよくマッチしていました。アンセル・アダムスは後に2度ほど展覧会へ足をのばしています。tsukinoha文庫に写真集が一冊。後年、武満徹がインスピレーションを得るものとして作曲時にアンセル・アダムスの写真集を観ると知って驚きました。


*かなり過去に遡って・・・
「シャガール展」
プランタン銀座
1984年頃
フランスのデパート、プランタンの上陸を記念しての第一段の展覧会だったと記憶しています。「サラ・ムーン(写真)」や「一竹辻が花(きもの)」など、当時は見応えのある展覧会がぞくぞくと開催されていました。今は完全に足が遠のいている場所。

「イヴ・クライン展」
セゾン美術館 
1985年 
軽井沢という立地もあって、違う世界に迷いこんだようでした。それまで以上に「青」の世界に惹き込まれるようになりました。イヴ・クラインの青は独特です。その後買い求めた顔料は、大事にしまってあります。「青」といっても純粋にBLUEだけでなく藍もあればにひすいのような緑まで総合的に大好きな色です。

「ジョナサン・ボロフスキー展」
東京都美術館 
1987年 
アメリカ現代アートの巨匠と呼ばれるボロフスキー。作品はまったく憶えていないのですが、強烈に印象として記憶に留まっています。確か壁の一部が壊されていたような・・・。


みなさんの思い出の展覧会は何ですか?
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by tsukinoha | 2007-07-27 21:46 | 展覧会

354 パルマ イタリア美術、もう一つの都

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久々にしかも平日に時間ができて、そうだ展覧会に行こう!・・・・滅多にない貴重な時間。何にするかいろいろ迷って・・・パルマ展に!パルマと言えば、パルミジャーノ・レッジャーノ!にプロシュット(生ハム)など食べ物しか頭になかったので絵画でパルマ展とは何やら新鮮な響き。展覧会のお蔭でヴェルディやトスカニーニもパルマと認識しました。

いつもと違う楽しみ方をしようと思って、はじめて音声ガイドを借りみてました。「どちらの耳ですか?」に咄嗟に答えられなくて、「じゃあ右でいいですね?」と耳にセットしてもらい、機器を首からぶら下げ、けっこう重たいかも・・・と思っていると、なんか違和感・・・利き耳は左だったことに気づくのでした(ま、いっかと展示室へ)。
解説を聞きながらの鑑賞ってケースバイケースだと思うのですが、まったくのパルマ美術初心者にとってはありがたい味方。案内役はテノール歌手の錦織健さん。ミラノに留学されていたそうで、パルマにもよく通われていたとのこと。チェンバロの流れにのって「ボンジョルノ!」と粋な出だしに、ちょっとしたイタリア観光気分。
スペイン王国への人質にされたという「アレッサンドロ・フェルナーゼ」の肖像画の場では、17世紀のスペイン系の作曲家による哀愁漂う音楽の演出も(音楽はいずれも古楽アンサンブル《アンネットロ》のCDからとのこと)。

パルマ美術とはルネサンス期からバロック初期までの16〜17世紀の時期に、イタリア北中部都市パルマに咲いた美術を指すそうですが、この定義が難しいのだそうです。展覧会は、当初は西洋美術館所蔵のパルマに縁の二つの絵画をもとに小企画展として準備されていたものが、調査をすすめるなかで、西洋美術館とパルマ・ビアチェンツァ美術監督局のスタッフの熱意で、世界で初めてパルマ派の絵画を紹介する大きな展覧会へと結実したとのことです。

ブックデザインフェチな私などは、最初の美しい実物のミニアチュールの譜面を見ただけでも感無量!でもこれはほんの序の口でした。特に圧倒された2点をご紹介。見て感じて、聴いて納得して・・・。

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パルミジャニーノ《ルクレティア》1538-40年頃
パルミジャニーノ(パルマっ子というニックネーム/本名:フランチェスコ・マッツォーラ)柔肌と編み上げた髪の毛の質感に思わず吸い込まれそうな引力を感じました。錬金術による中毒で、若くして生涯を閉じたパルミジャニーノ生前最後の傑作。


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パルトロメオ・スケドーニ《キリストの墓の前のマリアたち》1613年頃
まるで20世紀のアメリカのポップアートを先取りしたようなテクスチャーを感じ、「古いものが新しいという感覚はこのことか!」と目がさめるような衝撃を受けました。

その他も見所がたくさん。音声ガイド抜きでももちろん楽しめると思います。
とても充実した展覧会でした。
先日新日曜美術館で紹介されていたわりに、余裕で入館。余裕でじっくり鑑賞。混雑していない・・・これすごく重要。


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休憩後はお決まりのように常設展を周りました(9月に改修工事に入ってしまいます)。その一角にある、パルマ展とほぼ同時期に開催の「祈りの中世ロマネスク美術写真展」に立ち寄りました。フランス、スペインの修道院の造形美と風景写真に、遠く思いを馳せました。
心のBGMはもちろんあの「スペイン」ですとも(笑)。
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by tsukinoha | 2007-06-28 22:02 | 展覧会

347 川端龍子名作展

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大田区龍子記念館で開催中(〜6/21まで)の、川端龍子名作展「龍子を取り巻く豊かな自然」にぶらっと行ってきました。入館料は200円。

日本で初めて個人で建てられた美術館として龍子自ら設計にかかわったそうです。変わったかたちはタツノオトシゴ。高床式にしたのは、この一帯は昔は海岸も近かく(近くの小学校の校歌に「東京湾をのぞみ見て」とあるくらい)、湿地帯で大水が出ることが多かったから。昔は展示室の中庭にあたる部分をカーテン開け放して作品を展示しており(それも画家の意向だったとか)、行き交うご近所の人がそれを眺めて通る・・・ということをされていたということですが、大田区に寄贈後、空調設備を整え、現在では展示室は暗がりの中(日焼けは作品によくないので)です。

d0009581_7165714.jpg今回は御形荘(アトリエ)、大森にちなんだ所蔵作品からの展示。といっても、自然風景、植物などの画題が中心なので、とても親しみやすい展開になっています。今回でいちばん印象的なのは六曲二双の屏風絵「草の実」。紺地(限りなく黒に近い)に黄金色の草花が描かれ、まるで蒔絵のような美しさでした。小品ながら目を惹いたのは「水中梅」(左画像)。水面に写った梅花の中を泳ぐ鯉。即興的に描かれたものだそうです。
チラシの絵になっている「爆弾散華」がトリ。終戦前の8月13日龍子の家にも爆弾が落ち、その穴が池になっているのですが、爆弾で何もかもが(野菜たちまでもが)こなごなになってしまった・・・という悲しい絵なのだそうです。

ここに来たら、絵を見るだけでなく、目の前にある龍子公園を訪れることをおすすめします。
日に3回(11時〜、13時〜、15時〜)、スタッフのガイドつきで公園内を見ることができます。戦前に建てられたの龍子のアトリエや、宗達(俵屋)の襖絵を立てるためにしつらえられた間のある日本家屋を、静寂な庭の緑とともに満喫できます。一巡して再び絵を味わうのもまた良いものです。疲れたら近くの馬込桜並木入り口のパン屋さんのカフェで一服しましょう。

記念館までは大森駅西口からのバスが便利です。ついでに馬込散策をされるのも一興。三島由紀夫邸がわりと近くにあります。ただ道が複雑なのが難なのと、馬込文士村といっても今はただの住宅街なので・・・。
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by tsukinoha | 2007-06-03 07:23 | 展覧会

326 志野と織部 風流なるうつわ

小さい子は砂場で遊ぶのが大好きです。
とにかく黙々とひたすらに砂を掘ったりまるめてだんごにしたり。
土というのは生命の源につながるなにかがつまっているんじゃないかという気がしてきます。
子どもはなるべく土に近い階層に住まうのがいいとも思います。

娘が小学生になってから一緒に砂場に行く機会はめっきりなくなってしまいましたが、保育園時代はよく砂遊びに付き合わされました。まったりとした時間の中、手捻りの茶碗のことをよく思い出しました。
ろくろを使わず手捻りで作る美濃焼(織部や志野、黄瀬戸などを総称して呼ぶ。戦火を逃れた陶工たちが美濃の地域へ入り多くの工房ができたと言われる)の茶碗。丸い土の固まりを手で茶碗のかたちにしていく・・・トポロジー的でもあります。友人に誘われ年に2、3度参加した陶芸講座。最後に通ったのは今から8年前。30代は私たちくらいなもので、殆どは子育てが一段落したような年代の女性の方々。「赤ちゃんがいるのね。それじゃしばらく来られないわね」エプロンで隠したつもりでしたが・・・。名残惜しい気持ちになったのが昨日のことのように思い出されます。

「ゆがみの美」とも呼ばれている織部。
土をうつわのかたちにする過程で、最初からゆがんだものを作ることはできません。陶芸の講座の先生が手本でかたちが整った土の茶碗をぐにゃりと歪ませました。作為がないのが「ゆがみの美」であるとふうに見てとれます。千利休が大成させた茶を継承しつつ、大胆かつ自由な気風を好み、茶器製作に携わった武将で茶人の古田織部。均整の整ったうつわの歴史が桃山時代日本独自の審美に変貌した・・・という事実に興味はつきません。

ものを見る目が養われていないことをはっきりと自覚した20代、工芸とはまったくの無縁で育った環境を少なからず恨めしく感じていました。そんな愚痴を工芸のまち金沢で生れ育った同僚が黙って聞いてくれました。「悔しい」だけが先立っているうちは愛情は生まれて来ない・・・そんなことを思いつつ、未だ煩悩にまみれて進歩のない自分。

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いろいろなことを頭によぎらせながら、出光美術館で開催中の「志野と織部 風流(ふりゅう)なるうつわ」を見てきました。ふっくらとした志野の白、美しい鼠志野、斬新な黒織部。なかでも織部の緑の色は独特です。大陸から渡ってきた三彩などの緑とは全く違う。苔むしたような地味な鈍い緑。そんなうつわに惹かれてからどのくらい経ったでしょうか。


「出来上がった茶碗は眺めるだけでなく是非使ってみてください」と言われていたのを思い出しました。しまったままの自作の織部や志野の茶碗・・・。そばにあるものを愛でること。それはうつわ本来の目的なのかもしれません。いえ、遠い昔、神にささげたであろううつわというものが、用の美と呼ばれるまでに幾年の月日を越えてきたのか。
美術館をひと巡りした後、皇居方面を見渡す夕焼けが、しばしの余韻のひとときを包み込んでくれました。
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by tsukinoha | 2007-04-03 21:53 | 展覧会

325 レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の実像

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予定していたことが急遽キャンセルになってしまった日曜、東京国立博物館へ出かけました。
思わぬことで早まった『受胎告知』との対面にどきどき。1974年に『モナリザ』を展示した場所と同じ普段は閉じられている本館第5室での公開です。
チラシの隅に「日本におけるイタリア2007」というイベントプロモーションのタイトルが小さく入っています。レオナルド・ダ・ヴィンチ『白貂(しろてん)を抱く貴婦人』を観に横浜美術館へ出かけたのが「日本におけるイタリア2001」の時でした。下はその時のチラシ。
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土砂降りの中こんな悪天候だったら人も多くないんじゃないか?という考えはあさはかでした。9時に到着すると同じ様な考えの人たちの列が早くもできておりました。それでも約100名ほどの第一陣の群れとして展示室へ。手荷物検査、金属探知機をくぐって厳重な警戒の中展示室へ入ります。

第5展示室の中央奥に向かって、ジグザグになっているスロープを進むと、遠くからでも神々しいまでのオーラを放つ『受胎告知』が徐々に大きく現れます。近づくと細部に渡って絵画の状態がとてもよいのに驚きます。そして何よりレオナルド弱冠20代前半の作だということにも。
ちなみに絵全体を眺めるのには先頭列から2段目の高い位置からがベストポイント。ガラスケースがあるということが全くわかりません。いちばん先頭で下斜から見上げて、ようやくガラスがあるということがわかるのです。

第2会場の平成館では今年1月までイタリア・ウフィツィ美術館で開催された企画展の展示があります。こちらの方はざっくりと観てきました。というか『受胎告知』だけでエネルギーを使い果たしました・・・。しかしながらこちらを観てからまた『受胎告知』観るとより深い視点で観ることができそう・・・と最後の空気遠近法の模型を見ながら、会期中にもいっかい観たい!と思ったのでした。
第2会場の展示
 1 レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯
 2「受胎告知」思索の原点
 3 レオナルドの書斎
 4 「かたち」のとらえ方
 5 万物の運動
 6 絵画への結実

d0009581_2151130.jpg左はポストカード。
大天使ガブリエルのトリミングがお気に入り。
向こうの遠くの景色が気になります。
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by tsukinoha | 2007-03-29 21:56 | 展覧会

日々のよろずデザイン観
by tsukinoha
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