たまゆらデザイン日記

397 特別展 川瀬巴水〈前期〉

「日光華厳の滝」の版木、「若狭……久出の濱」34度刷りの行程、掛け軸に屏風、人形画集、巴水デビュー作「塩原おかね路」の展示もされており、前期から見所満載の展覧会が開催中。

今回なかでも注目したのは版下絵。実際の版画と並べて陳列されています。最初、版下絵だということに気がつきませんでした。版下絵だから完成予想図ということになるわけですが、これはもうひとつの絵として完成されています。変な言い方ですが、完成されている絵をわざわざ版画というかたちに置き換えていることをしているようにも見えます。それにはこのようないきさつがありました。・・・明治に入り、廃れてゆく江戸版画に心を痛め、その技術の存続と復興を志した渡邊庄太郎(版元)。目をつけたのは、風景画を得意とする川瀬巴水。従来の日本画の技法に洋画のリアリズムをミックスさせたような巴水が描く風景の再現を版画に求めます。・・・

絵師であり、アートディレクターとしての巴水の手腕。そして巴水の筆を忠実に再現するに挑んだ、彫りや摺りの職人たち。従来の技術とは全く違うものを要求した渡邊庄太郎の裁量。それらが凝縮し、新版画の魅力につながっていますがこのすばらしい技術の結晶を目の当たりにすると、自分が関わっている現代の量産された便利なシステムの仕上がりの軽さに空しさを感じてしまいます。


展覧会は大々的な宣伝はしていなさそうなのがもったいない気がしますが(さすがに渡邊木版美術画鋪ではアナウンスされています)、逆手にとれば余裕でじっく鑑賞でき、展覧会を味わうということに関して申し分ありません。こんな好機はもう訪れないかもしれないと3度訪問。2年前の「浮世絵版画の近代」の時同様、図録は売り切れる可能性があるので入手したい方は要注意かもしれません。
博物館内3階の常設では大田区の昭和の暮らしや、産業などが紹介されています。巴水が描いた海辺の森ケ崎(大森)や池上あたりの空気の片鱗を感じることができると思います。

さて、ここからはおまけ。
「馬込の月」(後期展示と思われる)の場所である三本松へは、博物館から徒歩約15分。博物館を右手に出てバス通りに出たら左折して、第二京浜を越えて行きます。この三本松は昔は交通の目印だったそうですが、枯れてしまったそうで現存はしていません。環七にかかる陸橋に「馬込の月」のレリーフを残すのみ。あまりの景色の変わり様に愕然・・・。このあたり、昭和初期は田んぼの風景がひろがる地帯でした。
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三本松近くの馬込橋陸橋から大森方面を臨む。下は環七。遠く左手高架橋は新幹線で、手前(歩道橋の向こう側)を第二京浜が走る。
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by tsukinoha | 2007-11-09 19:34 | 展覧会

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