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たまゆらデザイン日記

377 ドナルド・キーンと渡辺華山

今日は9月9日重陽、菊の節句です。
昨日、半年間行なわれる〈子ども伝統教室〉のお茶のおけいこ初日では、「五節句のうちのひとつですよ」と先生がお話をされながら、菊の練りきりが振舞われました。
重陽とは、中国で〈陽〉とされていた奇数が〈重〉なるという意味だそうです。菊酒を飲み(菊は薬用とされていた)、邪気をはらい長寿を願いました。他の節句(1月、3月、5月、7月、9月を合わせて五節句)と同じように日本に伝わり、平安時代・宮中の儀式から江戸時代・武家社会の行事へと伝わりました。



さて先週の「新日曜美術館」は「この人が語る私の愛する画家」で、ドナルド・キーン氏が渡辺華山を紹介していました。ちょっと記憶を頼りに残しておきたいと思います。(よって実際の言動と異なる箇所があるかもしれませんので、あしからず)

渡辺華山といえば国宝「鶴見泉石像」(BRUTUS 2007年9月15号/104頁)という肖像画を見たことがある・・・くらいの認識でしたが、家計を助けるために得意の絵で身を立てたこと、遠近や陰影などの手法を取り入れ、従来の日本の画にない肖像に挑戦し続けていた武士、と、はじめて知りました。そんな華山に、戦前から日本文学という未開の山野に踏み入ったキーン氏は、自らを重ねていらした。『渡辺華山』という著作も発表されています。ふと〈プライス氏と伊藤若冲〉の関係に近いように思いました。
故郷アメリカの古書店で安く手にいれた『源氏物語』が日本文学研究のきっかけになったとキーン氏。戦争中当時、この物語りの美しさに感銘。『源氏物語』も「死」はあるが、物語であるはかなさという美学が描かれている。戦争は理不尽な「死」でしかない。


約1ヵ月ほど前、読売新聞に昨年連載されていた『私と20世紀のクロニル』(中央公論社)の単行本化に合わせて、新聞にキーン氏の記事が2回に渡って掲載されていました。自伝的な作品『日本との出会い』でも、日本人の遺留品にあった日記を翻訳し感動したという逸話がありますが、戦場で必死で日本語を学んだというキーン氏は、日本文学の伝道師という任務があるのだとという思いで生きてきたと言います。
戦前戦後と言葉遣いも、旧仮名と新かなの違いも明らかに違っていたこと。横書きの日本語が苦手で、理解するのに倍かかるなど、日本人である私たちのほうが教えられることが沢山あると思いました。



by tsukinoha | 2007-09-09 06:13 | 日本の伝統文化

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