354 パルマ イタリア美術、もう一つの都
いつもと違う楽しみ方をしようと思って、はじめて音声ガイドを借りみてました。「どちらの耳ですか?」に咄嗟に答えられなくて、「じゃあ右でいいですね?」と耳にセットしてもらい、機器を首からぶら下げ、けっこう重たいかも・・・と思っていると、なんか違和感・・・利き耳は左だったことに気づくのでした(ま、いっかと展示室へ)。
解説を聞きながらの鑑賞ってケースバイケースだと思うのですが、まったくのパルマ美術初心者にとってはありがたい味方。案内役はテノール歌手の錦織健さん。ミラノに留学されていたそうで、パルマにもよく通われていたとのこと。チェンバロの流れにのって「ボンジョルノ!」と粋な出だしに、ちょっとしたイタリア観光気分。
スペイン王国への人質にされたという「アレッサンドロ・フェルナーゼ」の肖像画の場では、17世紀のスペイン系の作曲家による哀愁漂う音楽の演出も(音楽はいずれも古楽アンサンブル《アンネットロ》のCDからとのこと)。
パルマ美術とはルネサンス期からバロック初期までの16〜17世紀の時期に、イタリア北中部都市パルマに咲いた美術を指すそうですが、この定義が難しいのだそうです。展覧会は、当初は西洋美術館所蔵のパルマに縁の二つの絵画をもとに小企画展として準備されていたものが、調査をすすめるなかで、西洋美術館とパルマ・ビアチェンツァ美術監督局のスタッフの熱意で、世界で初めてパルマ派の絵画を紹介する大きな展覧会へと結実したとのことです。
ブックデザインフェチな私などは、最初の美しい実物のミニアチュールの譜面を見ただけでも感無量!でもこれはほんの序の口でした。特に圧倒された2点をご紹介。見て感じて、聴いて納得して・・・。
パルミジャニーノ(パルマっ子というニックネーム/本名:フランチェスコ・マッツォーラ)柔肌と編み上げた髪の毛の質感に思わず吸い込まれそうな引力を感じました。錬金術による中毒で、若くして生涯を閉じたパルミジャニーノ生前最後の傑作。
まるで20世紀のアメリカのポップアートを先取りしたようなテクスチャーを感じ、「古いものが新しいという感覚はこのことか!」と目がさめるような衝撃を受けました。
その他も見所がたくさん。音声ガイド抜きでももちろん楽しめると思います。
とても充実した展覧会でした。
先日新日曜美術館で紹介されていたわりに、余裕で入館。余裕でじっくり鑑賞。混雑していない・・・これすごく重要。
休憩後はお決まりのように常設展を周りました(9月に改修工事に入ってしまいます)。その一角にある、パルマ展とほぼ同時期に開催の「祈りの中世ロマネスク美術写真展」に立ち寄りました。フランス、スペインの修道院の造形美と風景写真に、遠く思いを馳せました。
心のBGMはもちろんあの「スペイン」ですとも(笑)。
by tsukinoha
| 2007-06-28 22:02
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