たまゆらデザイン日記

342 フローラ逍遥 澁澤龍彦

埼玉県立美術館で開かれている「澁澤龍彦 幻想美術館」展によせて・・・。(5月20日まで)

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フローラ逍遥
澁澤龍彦
平凡社
1987年5月15日発行
(A5変形/226頁/上製本、函入り)


20年前に大枚はたいて(3,800円)購入した書籍。(ちなみに第四刷)
きらびき(経典などに使われた雲母引き紙を模擬して出来た現代のファインペーパーの銘柄名)に銅版手彩色のツバキ(『サミュエル・カーチス/ツバキ属の研究』1819/ツバキの図譜としてはごく初期に属する)の函の装丁が中身の美しさを引き立ててくれます。

昭和59年7月から61年6月まで雑誌「太陽」に連載されたものに一篇を加えた、花にまつわるエッセイの単行本化。
水仙、椿、梅、菫、チューリップ、金雀児、桜、ライラック、アイリス、牡丹、朝顔、芋環(オダマキ)、向日葵、葡萄、薔薇、時計草、紫陽花、百合、合歓、罌粟(ケシ)、クロッカス、コスモス、林檎、菊蘭・・・25種の花が一項目につき8頁で構成されている(扉タイトルとカラー図版の見開き、エッセイ4頁をはさんでカラー図版2頁(見開き))のに加えて、巻末には図版提供者の八坂安守(やさかやすもり・植物文化史研究/八坂書房・・・主に植物関連の博物学や歳事記などを中心に取り扱う知る人ぞ知る出版社)氏の詳細な解説。
澁澤のエッセイを読み、ヨーロッパ・ボタニカルアートや日本の本草図を鑑賞し、さらには博物画の解説と、三重構造の贅沢な内容、それらを壊す事なく室らわれたブックデザイン。さりげなく濃厚な書籍です。

装飾ばかりが氾濫し外身と中身が伴わないような書籍がますます増えるなか、店先でこういうすてきな本との出会いに期待が持てなくなってきているのが残念に思います。単行本は絶版ですが、文庫本(平凡社ライブラリー)で手に入れることができます。

『フローラ逍遥』は澁澤龍彦生前最後の出版本となりました。
最期を花で終えるとは・・なんとも言い難いものがあります。

書物の中で出会ったフローラ、記憶の中にゆらめくフローラが、現実のそれよりもさらに現実的に感じられる私の気質にとっては、あえていえば、個々のフローラに直接に手をふれることなどはどうでもいいのである。(あとがき/昭和62年4月/より)
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by tsukinoha | 2007-05-17 22:16 |

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