たまゆらデザイン日記

326 志野と織部 風流なるうつわ

小さい子は砂場で遊ぶのが大好きです。
とにかく黙々とひたすらに砂を掘ったりまるめてだんごにしたり。
土というのは生命の源につながるなにかがつまっているんじゃないかという気がしてきます。
子どもはなるべく土に近い階層に住まうのがいいとも思います。

娘が小学生になってから一緒に砂場に行く機会はめっきりなくなってしまいましたが、保育園時代はよく砂遊びに付き合わされました。まったりとした時間の中、手捻りの茶碗のことをよく思い出しました。
ろくろを使わず手捻りで作る美濃焼(織部や志野、黄瀬戸などを総称して呼ぶ。戦火を逃れた陶工たちが美濃の地域へ入り多くの工房ができたと言われる)の茶碗。丸い土の固まりを手で茶碗のかたちにしていく・・・トポロジー的でもあります。友人に誘われ年に2、3度参加した陶芸講座。最後に通ったのは今から8年前。30代は私たちくらいなもので、殆どは子育てが一段落したような年代の女性の方々。「赤ちゃんがいるのね。それじゃしばらく来られないわね」エプロンで隠したつもりでしたが・・・。名残惜しい気持ちになったのが昨日のことのように思い出されます。

「ゆがみの美」とも呼ばれている織部。
土をうつわのかたちにする過程で、最初からゆがんだものを作ることはできません。陶芸の講座の先生が手本でかたちが整った土の茶碗をぐにゃりと歪ませました。作為がないのが「ゆがみの美」であるとふうに見てとれます。千利休が大成させた茶を継承しつつ、大胆かつ自由な気風を好み、茶器製作に携わった武将で茶人の古田織部。均整の整ったうつわの歴史が桃山時代日本独自の審美に変貌した・・・という事実に興味はつきません。

ものを見る目が養われていないことをはっきりと自覚した20代、工芸とはまったくの無縁で育った環境を少なからず恨めしく感じていました。そんな愚痴を工芸のまち金沢で生れ育った同僚が黙って聞いてくれました。「悔しい」だけが先立っているうちは愛情は生まれて来ない・・・そんなことを思いつつ、未だ煩悩にまみれて進歩のない自分。

d0009581_21463194.jpg









いろいろなことを頭によぎらせながら、出光美術館で開催中の「志野と織部 風流(ふりゅう)なるうつわ」を見てきました。ふっくらとした志野の白、美しい鼠志野、斬新な黒織部。なかでも織部の緑の色は独特です。大陸から渡ってきた三彩などの緑とは全く違う。苔むしたような地味な鈍い緑。そんなうつわに惹かれてからどのくらい経ったでしょうか。


「出来上がった茶碗は眺めるだけでなく是非使ってみてください」と言われていたのを思い出しました。しまったままの自作の織部や志野の茶碗・・・。そばにあるものを愛でること。それはうつわ本来の目的なのかもしれません。いえ、遠い昔、神にささげたであろううつわというものが、用の美と呼ばれるまでに幾年の月日を越えてきたのか。
美術館をひと巡りした後、皇居方面を見渡す夕焼けが、しばしの余韻のひとときを包み込んでくれました。
[PR]



by tsukinoha | 2007-04-03 21:53 | 展覧会

日々のよろずデザイン観
by tsukinoha
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

最新のトラックバック

試合で勝つための“8つの..
from オリンピック総合コーチが教え..
もう中学生 最新情報 -..
from Nowpie (なうぴー) ..
ペニーオークション詐欺
from ペニーオークション詐欺
保育士の求人
from 保育士の求人
ルービンシュタインのシュ..
from クラシック音楽ぶった斬り
皇室の名宝ー日本美の華 ..
from Art & Bell by ..
バドミントン練習 バドミ..
from バドミントン練習 バドミント..
道路地図
from 道路地図
ミネラルウォーター
from ミネラルウォーター
阿修羅さま
from 裕子ねーんね

お知らせ

記事と関連のないコメントやトラックバックは予告なく削除させていただく場合があります。予めご了承ください。

検索

ブログジャンル

画像一覧