たまゆらデザイン日記

290 一木に込められた祈り

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会期ギリギリになって駆け込むようにして東京国立博物館を訪れました。「特別展 一木に込められた祈り 仏像」を見るためです。前回訪れたプライス展から気がつけばもう半年も経っています。時間はつくるものとて、あるべきところにおられる仏さまたちが博物館の一角に集められるということに、やはりひっかかりを持ってしまい足を運ぶのを遅らせてしまいました。私のような俗人はこのような機会でしかお目にかかることができないとわかっていながらです。

「明治のすさまじい廃仏毀釈を通ってのこり得た仏像」(『仏像に想う/上下巻』1974年/梅原猛+岡部伊都子/講談社現代新書より)岡部さんの言葉を胸に抱きつつ会場時間とともに入館します。すでに入り口付近のちいさな壇像の周辺は人だかりができていました。そこを一気につっきって導かれるように中程の十一面観音菩薩(滋賀・向源寺)の前へと進みました。

息を呑むような圧倒的な存在感に、このお方にお会いするために来たんだという確信のようなものがありました。でもそれは私の自我の幻想なのかもしれない・・・いつのまにか涙が溢れ出ました。いろいろの思いを巡らせた一瞬後、ただひたすらに「有り難い」という気持ちに満たされていました。美しいそのお姿。今にも蓮台の前へと進み出でそうな足の運びは真横からはっきりと見てとれました。菩薩さまは今まさに救済に向かわれようとしているのです。

よく聞かれるように、造形を造るために木を彫ったのではなく、もともと木におられる仏を彫りおこしたのだということ・・・実物を前にするとそれが実感できるようでした。木目も荒々しい木の様相そのままに残されているお姿のものも多い。身体と木とが一体化しています。仏が導き出された木のなかにはご神木であったものも数あると聞きます。仏に姿を変えた木の魂。過去日本においてはまさに神と仏は一体であったのです。名もなき工(たくみ)たちは一体どんな想いで刻んだのでしょう。

薄暗い博物館のなか照明で浮かび上がった仏たちの影に見入りました。
見えないところに「たましい」は確かにあるのだ・・ふとそんな思いがよぎりました。
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by tsukinoha | 2006-12-07 21:59 | 展覧会

日々のよろずデザイン観
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