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たまゆらデザイン日記

288 いやいやえん

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いやいやえん
中川李枝子
1962年
福音館書店



新しい書籍との出会いは新鮮な風をもたらせてくれますが、過去に読んだものを読み返すということは、さらに味わいに深みを出すもののような気がします。
そういった意味では、今自分が繰り返し読んで(あげて)いるのは絵本や童話かもしれません(笑)。いくつかの童話は自分自身が子どもの頃読んで好きだったものがあります。
『いやいやえん』もそのひとつ。しかしどうして好きだったか、私は子どもの頃の気持ちを忘れてしまいました。そのかわり、大人になって読んでみてはっとさせられることもあります。

まい日、おべんとうがおわると、ほしぐみは「じのほん」、ばらぐみは、「えのほん」をせんせいによんでもらいます。(本文2ページ)

ここでいうほしぐみは年長で、ばらぐみは年中、年少ということになっています。

えのほん・・・絵本はビジュアルを読むという視覚からの情報があることに対して、字の本というのは想像力が必要です。大きい組の子は経験数が増えた分だけ想像の幅が大きくなっていることがわかりますが、私たちがふだん本を読むという行為などで感じる気持ちの振幅そのものは“ビジュアル以前”なのだという気がしてきました。

字の本に秘められた想像の源泉がいかほど無限なものであるか。ビジュアルというのはいかに人の心理を固定化させてしまうか。これはふだんの仕事に反映させてみるてもとても納得させられるものがあります。ラフの段階では想像の幅に広がりがあるのに対して、ブラッシュアップしたものにはかなりイメージが定着してまっている。
人同士のやりとりではやはりその過程が重要です。


保育士だった頃の経験が、絵本や童話へとつながっていった中川李枝子さん。『いやいやえん』も『ぐりとぐら』も勤められていた保育園から生まれたお話だそうです。1935年生まれ。
トトロの『さんぽ』の作詞も中川さんです。



by tsukinoha | 2006-12-01 06:19 |

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