284 古代から来た未来人 折口信夫
NHK教育の「知るを楽しむ」。
月曜夜の辻信雄先生の「ギョッとする江戸の絵画」もいよいよクライマックスですが、ひそかに楽しみにしている火曜日の中沢新一が語る折口信夫も来週が最終回。
後にわかったことなのですが、折口が晩年を過ごした東京・大井の出石(いづるいし/現・西大井3丁目付近)地区は、私が最初にひとり暮らしをはじめた場所でした。そんな単純な理由でずっと折口信夫が気になっていたのですが、とにかくよい機会の訪れでした。
テキストの三波晴夫との取り合わせがなんとも妙です。
4週間で終了する講座なので一緒になっています。
(三波晴夫のテキストもなかなか興味深い)
第1回 「古代人」の心を知る
第2回 「まれびと」の発見
第3回 芸能史という宝物庫
第4回 未来で待つ人
さて、テキストだけでも十分に読みごたえがありますが、やはり映像で訴えてくるものはまたひと味違っていて、中沢新一の話に吸い込まれるようにして世界に浸っており、また、びっくりするような“発見”をさせてもらっています。その体現はこれまで謎につつまれていたこころの中にあるいにしえ(根源の部分)がつつかれて、次々に解き明かされていくような気分です。そういった意味でひとことでまとめるのが難しい!
ところで、折口は師の柳田国男の考え方をいつも尊重していた一方、柳田は折口の「まれびと」の考え方に批判的だったそうです。二人の“神”に対する考え方が違っていたからということです。共同体の同質性や一体感を支えるものこそが神・・・先祖の霊こそがそれにふさわしいとした柳田に対し、折口が考えた「古代人」の“神”とは、共同体の「外」からやってきて、なにか強烈に異質な体験をもたらす精霊の活動であると考えた。さらに言うとそれは“神”以前のもので、上から降りてくるものではなく、水平にやってくるもの。「あの世」と「この夜」をつなぐ精霊の働き、これが「まれびと」のイメージへと結びついていった。折口の考えたこの「古代人」とは古代国家以前のとてつもなく古い心の働きのことを指す。文字の記録がはじまった奈良朝の時代にはすでに「古代人」のこころは理解されなくなっていた・・・と言うのです。
折口は夏至と冬至の祭りに注目しました。そして「ふゆ」ということばは、「ふえる」「ふやす」をあらわす古代語の生き残りと考えたのです。夏の盆では霊を客人として迎えるのに対して、冬は精霊の増殖と蓄えがおこなわれた。「花祭」「冬祭」・・・男鹿の「なまはげ」なんかもそうなのかもしれません。そんなことを思ったりしていると、祭がまったく違って見えてくるようです。
月曜夜の辻信雄先生の「ギョッとする江戸の絵画」もいよいよクライマックスですが、ひそかに楽しみにしている火曜日の中沢新一が語る折口信夫も来週が最終回。
後にわかったことなのですが、折口が晩年を過ごした東京・大井の出石(いづるいし/現・西大井3丁目付近)地区は、私が最初にひとり暮らしをはじめた場所でした。そんな単純な理由でずっと折口信夫が気になっていたのですが、とにかくよい機会の訪れでした。
テキストの三波晴夫との取り合わせがなんとも妙です。
4週間で終了する講座なので一緒になっています。
(三波晴夫のテキストもなかなか興味深い)
第1回 「古代人」の心を知る
第2回 「まれびと」の発見
第3回 芸能史という宝物庫
第4回 未来で待つ人
(前略)ことばは思考の源泉であり、母国語の深みで私たちは思考を越えた存在の根にふれることができる。折口信夫の思考と文章をとおして、日本語というローカルなことばの全能力は開かれ、思考のことばが根になまなましいほどの感触をもってすれる奇跡が実現されている。(中略)柳田国男、折口信夫、南方熊楠の三人の巨人の頭脳と心が生み出したものは、日本人に残されたもっとも貴重な宝物である。私はこの宝物をしっかりと護り未来に伝える水の中の龍でありたいと願う。(私のこだわり宣言・奇跡のような学問/中沢新一より抜粋)
さて、テキストだけでも十分に読みごたえがありますが、やはり映像で訴えてくるものはまたひと味違っていて、中沢新一の話に吸い込まれるようにして世界に浸っており、また、びっくりするような“発見”をさせてもらっています。その体現はこれまで謎につつまれていたこころの中にあるいにしえ(根源の部分)がつつかれて、次々に解き明かされていくような気分です。そういった意味でひとことでまとめるのが難しい!
ところで、折口は師の柳田国男の考え方をいつも尊重していた一方、柳田は折口の「まれびと」の考え方に批判的だったそうです。二人の“神”に対する考え方が違っていたからということです。共同体の同質性や一体感を支えるものこそが神・・・先祖の霊こそがそれにふさわしいとした柳田に対し、折口が考えた「古代人」の“神”とは、共同体の「外」からやってきて、なにか強烈に異質な体験をもたらす精霊の活動であると考えた。さらに言うとそれは“神”以前のもので、上から降りてくるものではなく、水平にやってくるもの。「あの世」と「この夜」をつなぐ精霊の働き、これが「まれびと」のイメージへと結びついていった。折口の考えたこの「古代人」とは古代国家以前のとてつもなく古い心の働きのことを指す。文字の記録がはじまった奈良朝の時代にはすでに「古代人」のこころは理解されなくなっていた・・・と言うのです。
折口は夏至と冬至の祭りに注目しました。そして「ふゆ」ということばは、「ふえる」「ふやす」をあらわす古代語の生き残りと考えたのです。夏の盆では霊を客人として迎えるのに対して、冬は精霊の増殖と蓄えがおこなわれた。「花祭」「冬祭」・・・男鹿の「なまはげ」なんかもそうなのかもしれません。そんなことを思ったりしていると、祭がまったく違って見えてくるようです。
by tsukinoha
| 2006-11-23 07:00
| 日本の伝統文化
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 |
最新のトラックバック
以前の記事
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2012年 05月
2012年 03月
2012年 01月
2011年 09月
2011年 01月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2013年 09月
2013年 08月
2012年 05月
2012年 03月
2012年 01月
2011年 09月
2011年 01月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
お知らせ
記事と関連のないコメントやトラックバックは予告なく削除させていただく場合があります。予めご了承ください。