たまゆらデザイン日記

229 甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと)

昨夜の「美の巨人たち」では、外伝・京都日本画ルネサンスと題し、円山応挙、池大雅、曾我簫白、与謝蕪村、長澤芦雪、伊藤若冲という豪華な顔ぶれでした。18世紀江戸時代。同時代に京の町に生きた絵師たち・・・これはすごいことです。全体的には導入編といった感じで、濃縮された30分でした。いよいよ来週は伊藤若冲の特集です。そしていよいよ4日からは東京国立博物館での開催「若冲と江戸絵画展」。



えー、話の本題はですね。またまた一週間前の「新・日曜美術館」(NHK教育)です。
いえ、録画しておいたのを昨日やっと観たものでして・・・で、こういうのは時間経っても内容に入りこめるから便利です。余談ですが「新・日曜美術館」にはホームページがありません!今どきかえって珍しいですね。

大正画壇で活躍した画家、甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと/明治27〜昭和53年)。
生涯かけて美人画の本質というものを追求した人です。
20代で描き上げた「横櫛」という作品で、歌磨の再来と絶賛されるも、やがてその絵は美人画の枠を越えていきます。美も醜も入り交じった生身の人間が合わせ持つような女性像。そんな絵は土田麦僊に「きたない絵」と非難されるに至ります。しかし甲斐庄は「きたない絵で奇麗な絵に勝たねばならん」と自らの方向を定め、それによって美人画の真実を導き出そうとしました。
美人画の題材に歌舞伎の楽屋に通いつめ、果ては自ら女形姿になり、女を知ろうとした楠音。昭和に入ってからは徐々に画壇を離れ、映画界でその才を発揮しました。昭和30年には溝口健二監督の『雨月物語』でアカデミー賞衣装部門にノミネート。


さて、甲斐庄楠音の妖艶とも、なんとも言い難い美人画に圧倒されるのですが、ゲスト陣にも圧倒されました。
新進気鋭の美人日本画家、松井冬子さん、そして編集工学研究所所長の松岡正剛さんです。おふたりが並んだ構図にびっくりです。松岡さんは病気をされてからなんか、お歳を召されたな〜という印象。でもひとつひとつの話になるほどと思わせるものは健在です。番組の終盤で語られたお話を要約しておきましょう。


通常の美人画というものは浄土(あちら側)を描いたもの。楠音は穢土(えど/こちら側)を描いた。
日本画の近代史は岡倉天心がスキャンダルで追放されて以来、大小の傷ついた歴史だと思う。きれいごとばかりでないもの(絵)がいっぱいあるはず。そうやって今一度(日本画の近代史を)見直さなくてはだめだ。



いわゆる全集などで知られることのなかった画家が、紹介される機会が多くなっているように感じる昨今。近年になってようやく見直されてきた・・・という絵がこれからも増え続けるのかもしれません。ここに歴史が価値観を変えゆく姿を垣間見ることができるのです。
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by tsukinoha | 2006-07-02 07:43 | 日本の伝統文化

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