224 〈日本美術〉誕生
〈日本美術〉誕生
近代日本の「ことば」と戦略
佐藤道信
講談社メチエ92
1996年
「どうして?」と根源をついてくる質問をする子どもに、「そう決まっているから」としか答えられない親がハタと考えるのに似ています。あたりまえのように使ってる「日本美術」ということばはどこからきたのか・・・。
〈日本美術〉誕生 目次
序 章 美術の言語と言説
第一章 「近代日本美術」とはなにか-----時間と空間の枠組
1「日本」を考える
2「美術」「日本美術」「日本美術史」
3「近代」の範囲と意味
第二章 美術の文法
1造語の方法論
2「美術」はどう造語されたか
3「絵画」の成立
4「彫刻」か「彫塑」か
5「工芸」という包括概念
第三章 ジャンルの形成-----「日本とは何か」
1 森鴎外反駁す
2 対概念としての「日本画」「西洋画」
3「歴史画」
4 人間と自然
5「近代美術」と「現代美術」
第四章 美術の環境-----階層・行政・団体・コレクション
1 美術と階層
2 美術行政
3 美術団体の誕生
4 コレクションの社会学
終 章 「日本美術史」の創出
「日本美術」「日本美術史」という概念と歴史体系は近代にできあがった。「美術」「絵画」「歴史画」「風景画」「写実」・・・基本的な用語にジャンル用語、哲学的用語に至るまで、それらの美術用語の多くは西欧概念の移植・翻訳として成立したものである。(本文より抜粋)・・・私たちが普段あたりまえのように使っている美術言語はどこからきたのか、その疑問や謎が紐解かれます。
少なくとも本書に触れることで、容易に「絵画」とか「美術」とか言えなくなってしまう、またはそのひとつひとつのことばに今までにない重さを感じるようになる、そんな実感と、ことばとは暗黙の了解でイメージする力がある・・ということを意識する体験が待っているのではないかと思います。現在私たちの知る日本美術史とは近代に体系立ててつくられたものです。ここに江戸以前と以後との価値観がすっかり変わってしまったということも汲み取れるのではないでしょうか。
ことばによる美術史。
本書のような美術言語の根源をついた書籍が意外に少ないのではないかと思います。「ものを見る」ということが、目に写すことではないように、「日本美術」が誕生した背景を知ることで、ようやっと絵画のひとつひとつに一歩近づくことができる、そして何より絵画にいっそうの愛おしさを感じるようになることではないか、そんなふうに感じます。
近代日本の「ことば」と戦略
佐藤道信
講談社メチエ92
1996年
「どうして?」と根源をついてくる質問をする子どもに、「そう決まっているから」としか答えられない親がハタと考えるのに似ています。あたりまえのように使ってる「日本美術」ということばはどこからきたのか・・・。
〈日本美術〉誕生 目次
序 章 美術の言語と言説
第一章 「近代日本美術」とはなにか-----時間と空間の枠組
1「日本」を考える
2「美術」「日本美術」「日本美術史」
3「近代」の範囲と意味
第二章 美術の文法
1造語の方法論
2「美術」はどう造語されたか
3「絵画」の成立
4「彫刻」か「彫塑」か
5「工芸」という包括概念
第三章 ジャンルの形成-----「日本とは何か」
1 森鴎外反駁す
2 対概念としての「日本画」「西洋画」
3「歴史画」
4 人間と自然
5「近代美術」と「現代美術」
第四章 美術の環境-----階層・行政・団体・コレクション
1 美術と階層
2 美術行政
3 美術団体の誕生
4 コレクションの社会学
終 章 「日本美術史」の創出
「日本美術」「日本美術史」という概念と歴史体系は近代にできあがった。「美術」「絵画」「歴史画」「風景画」「写実」・・・基本的な用語にジャンル用語、哲学的用語に至るまで、それらの美術用語の多くは西欧概念の移植・翻訳として成立したものである。(本文より抜粋)・・・私たちが普段あたりまえのように使っている美術言語はどこからきたのか、その疑問や謎が紐解かれます。
少なくとも本書に触れることで、容易に「絵画」とか「美術」とか言えなくなってしまう、またはそのひとつひとつのことばに今までにない重さを感じるようになる、そんな実感と、ことばとは暗黙の了解でイメージする力がある・・ということを意識する体験が待っているのではないかと思います。現在私たちの知る日本美術史とは近代に体系立ててつくられたものです。ここに江戸以前と以後との価値観がすっかり変わってしまったということも汲み取れるのではないでしょうか。
ことばによる美術史。
本書のような美術言語の根源をついた書籍が意外に少ないのではないかと思います。「ものを見る」ということが、目に写すことではないように、「日本美術」が誕生した背景を知ることで、ようやっと絵画のひとつひとつに一歩近づくことができる、そして何より絵画にいっそうの愛おしさを感じるようになることではないか、そんなふうに感じます。
by tsukinoha
| 2006-06-24 05:40
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