たまゆらデザイン日記

187 桜児(さくらこ)の説話

まだ山に咲く桜が桜であった頃。古代の人々にとっての桜は、その年の吉凶を占う大切な農時の暦であり、聖なる樹でした。厳しい冬が去り、再び山にうっすらと色づく桜に生命の循環を写していたのでしょうか。

時代が下って、庭という「里の自然」に桜が降りてくると、桜にまつわる挿話も、より人間の心理に近づいたものになってくるようです。この、桜児(さくらこ)の説話もそれを象徴しているかのようです。

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美しいをとめ桜児は、二人の男に求愛されますが、男たちの激しい争いに悲しんだ桜児は、自分がいなくなれば争いも鎮まると、自らの命を断つことを選択します。
『万葉集』巻第十六では、残された二人の男が嘆き悲しんで詠んだといわれる歌があります。

春去らば 挿頭(かざし)にせむと 我思ひし 桜の花は散りゆけるかも 3786
  春になったら髪飾りにしようと思っていたのに・・桜の花は、もう散ってしまった・・・。

妹が名に 懸けたる桜 花開(さ)かば 常にや恋ひむ いや年のはに 3787
  桜の花が咲くとあの娘の名前を思い出す。
  そうして毎年、桜児(さくらこ)のことを恋い慕うだろう。



二男一女の物語の元祖ともいうべき話ですが、純粋すぎるほどの純愛を感じます。

8世紀、王朝の桜には、そこに華やぐ生命、儚い生命はあっても、死の影はない、と言われます。桜と死が結びつくことは、ソメイヨシノ以降に現れた美意識であると指摘されていることが多いようです。

私もそのように感じます。
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by tsukinoha | 2006-04-06 05:41 | 日本の伝統文化

日々のよろずデザイン観
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