たまゆらデザイン日記

167 伊藤若冲の『動植採絵』

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目をみはる伊藤若冲の『動植採絵』
狩野博幸
小学館
2000年








はじめて伊藤若冲という人の絵を知った時の驚きは、何も知らなかった自分への衝撃になりました・・・。こんな職業についているから、なんでも知っているかというと大間違いで、大学で専攻でもしていない限り、美術史を学ぶような術はありません。
自国のことを何もわかっていないで、一体デザインを学ぶ現場って何なんだ・・・。
激しく疑問を持ちながらも、それでもこんな職業のお蔭で、ひたすら図版をめくり続ける必要にせまられる機会が廻ってきたのは、仕事をはじめてから、4〜5年経っていたでしょうか。今はそのきっかけに感謝するばかりです。

さて、若冲を代表する『動植採絵』は、奇跡的にも日本国内で、しかも宮内庁の御物として大切にされています。もともとは若冲自身が後世のためにと、京都・相国寺(しょうこくじ)に寄進し、同寺で、永く大切に保管されていました。しかし、明治の廃仏毀釈の波で危機にさらされ、京都府の斡旋で宮内省に献上となったのがいきさつ。これによって、海外への流出を免れたのだそうです。

見事な色づかいの『動植採絵』は、全三十帖。しかしこのリアルに描かれた植物・動物は、実際には存在しない風景(配置)から、写実系に属するものと決めつけることはできないそうです。美しい「菊花流水図」、妖艶な「老松白鳳図」、摩訶不思議な「貝甲図」、タコもイカもカエルも、あらゆるいきとしいけるものが若冲の不思議空間に漂っている・・・。
江戸は鎖国の時代といっても、時代が進み治安が落ち着くようになると、長崎からあらゆる文化の輸入があります。蘭画や浮絵(うきえ=浮世絵で建物の遠近感を出す手法)、そして若冲の精神的なあこがれともなる「煎茶道」もしかり。

光琳にあらず、応挙にあらず(1)

若冲の着彩画は一見、かなり濃密に見えますが、実際は驚くほどの薄塗りなのだそうです。


バロックもシュルレアリスムもない。文人の気負いすらない。そこには「一部始終」があった。 〜中略〜 今度、若冲は仏教画のように見えた(2)


もうここまできたら、実際に確かめに行くしかなさそうです。
今年は宮内庁三の丸尚蔵館のその動植採絵の一般公開がされるとのこと。(何度かに分けて)
しかも無料!来春は相国寺に里帰り展示があるそうです。


(1)明治18年以前の京都博覧会で、公開された六帖の『動植採絵』を前に、竹本正興(谷文晁の弟子に学んだといわれ、ひとかどの知識をもっていたと言われる画家)はその彩色に呆然としたと、ある。
(2)『日本数寄』より。『動植採絵』を見たときを思い出しながらの松岡正剛氏の記述より。

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by tsukinoha | 2006-02-22 22:27 |

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