たまゆらデザイン日記

156  美の巨人たち—川瀬巴水

数年前、明治・大正の風景(水辺の、という限定)浮世絵をテーマにした、大型カレンダーの制作を手がけた機会がありました。
書物や画集などを通して、江戸浮世絵には親しんだ感がありましたが、近代ものは私にとって、その時がはじめての密なる出会い。
小林清親、吉田博をはじめとした作家陣、なかでも群を抜いて多くセレクトすることになったのが、川瀬巴水。12ヶ月のうち、8ヶ月分は、川瀬巴水の版画で構成することになりました。
さて、私は選択された12ヶ月の絵の並びを見て、そこにから醸し出される、北斎や広重の風景版画とはあきらかに違う雰囲気を、ぼんやりと感じていました。

そのとき感じた、江戸浮世絵とは違う雰囲気の正体。それが、新版画と呼ばれた、江戸からの伝統を踏襲しつつ、画家の描いたものを忠実(リアル)に再現するという、新しい手法を追い求めた技術であるということを後に知ります。明治時代、海外に流出する数々の浮世絵に心を傷め、日本の伝統工芸の灯を途絶えさせてはならないと、自ら版元にと奮い立った若き渡邊庄三郎の存在がありました。

年齢が行き過ぎているという理由で、一度、鏑木清方の入門を断られた失意の巴水は、洋画を学んだそうです。それでも日本画を諦めきれず、再度門を叩き、許された頃、27歳になっていました。しかし、後にそれらの経験が、日本画でも洋画でもない、川瀬巴水の新版画を生み出す糧になったのです。

そして川瀬巴水と渡邊庄三郎との出会い。
川瀬巴水の新版画は、作家、版元、優れた技術を持つ職人によって実現しました。木版画という芸術は協同作業で生み出されるものなのです。

番組で紹介されていた『馬込の月』は、地元のパンフレットの表紙にもなっています。もはやこのような風景は見られない、現代の馬込の景色に、郷愁を写します。
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最新号のタウン誌『おとなりさん』では、今月号の表紙に。(『池上本門寺』/昭和6年)
奇遇にも、先日記事で取り上げた、北原白秋が特集。
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現在三代目、銀座の渡邊木版美術画鋪は、海外にも有名。
そして、『美の巨人たち』今週の一枚の絵を。
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by tsukinoha | 2006-01-30 22:47 | 日本の伝統文化

日々のよろずデザイン観
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