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たまゆらデザイン日記

002 グラフィックデザインのこと

昨日、3月はじめに手がけた仕事が手許に届きました。
主に語学学校などで使われる、中国語のテキストの表紙デザインが2册。
1册はシンプルにとの注文でしたが、この「シンプルに」というのは意外に難しい。
もう1册は、メインは日本語タイトルで、中国語(フォントがないので、作字します)と、ローマ字の発音読みのものを組み合わせて、さらに本文で使用のイラストを入れて…楽しい雰囲気にしてください。というオーダー。
「シンプル」も「楽しく」も非常にどちらも感覚的なものに変りはないのですが、そんな感覚をヴュジュアルで提案していくという何とも感覚的な仕事であります。付け加えると、当然私は中国語ができません…。

中国語で思い出すのは、十数年前に事務所にアルバイトに来ていた中国人のことです。
彼は上海から語学の勉強に来ていた画家でした。覚えたてのカタコトの日本語でコミュニケーションをとるのに四苦八苦していた時に、私たちがとった意思疎通は「漢字」でした。
ボディランゲージよりも何よりも、紙に書いた漢字の一文字で、意味がわかってしまう。漢字とはなんと素晴らしいヴュジュアルコミュニケーションツールなのでしょう!

かつてグラフィックデザインのことは、視覚伝達デザインと呼ばれていました。
視覚伝達はヴュジュアルコミュニケーションとも訳されていますが、グラフィックという言葉事体も、絵画や写真のような“絵”を指すばかりでなく、記号や図象などの意味までを含んでいます。
大先輩のデザイナーからは、グラフィックの語源には、指示とか指定、つまりディレクションの意を含んでいたとも伝え聞きました。

しかし現実は、グラフィックデザインとは、web以外の印刷物の総称として、あるいは見栄えのことのように認識されていることが常のようです。実際に辞書などで引いても、
「主に印刷で大量生産される、絵画や写真を用いた広告やポスターなどを指す云々…」
という解説が殆どです。商業デザインなら、まだ許される範疇ですが、
「印刷によって大量に複製されるデザイン」、
などと表記されているのには本当にがっかりで、グラフィックデザインが、何故、印刷デザイン(プリンティングデザイン)と呼ばれていないかなどと、到底考えるに及ばないのだなぁと、思います。

グラフィックデザインという言葉の見栄えだけが残って、真意がどこかに置き去りにされてしまったら、何のためのデザインなのを見失っていくのではないかと、相変わらず危惧しているのです。



by tsukinoha | 2005-04-02 06:35 | デザイン

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